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ビジネス・エコノミクス

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ビジネス・エコノミクス関連のレポートを書いていきたいと思います。生煮えのものが多いかもしれませんがスピード重視で。 それから過去に書いたちょっと古いエッセイも”その後”の追加を含…
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#会計学

#147 もう一つのレバレッジ「営業レバレッジ」とは

レバレッジって”てこ”のこと。 借入を使った投資レバレッジは知っていると思います。 財務レバレッジが大きいと、リターンが伸びれば利益もグーンと増えることになり、売上が落ちれば損失もガーンと落ちます。 全体のリターンが大きくなれば自己資金や株主資本のリターンが大きくなります。逆に全体のリターンが落ちれば自己資金や株主資本のリターンもガーンと落ちます。借入金利より小さいときを逆レバレッジと言います。リスクも大きくなっているわけです。 私の説明では、”歯磨きのチューブを絞る

#146 CCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)の短縮化は良いことか?

#145 CCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)について説明しました。 最近はこの指標を取り上げて「短くしましょう」「アップルはマイナス」という論説が見受けられます。 この指標を使って、管理して無駄を無くすことは大事なこと。 ただし、元は運転資本のことだから無理に小さくすることまで必要ない。そのことを書きます。 2019年3月15日付レポートの再掲です。 _______________________________ [キャッシュ・コンバージョン・サイクル

#145 CCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)とは

仕入れの支払い ~ 売上代金の回収 までの期間に時間差が出るものです。 つなぎ資金が必要になるときもあります。 短ければよいし、長いと効率や安全性に問題がありそうです。 このことをCCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)という数字でみます。 定義は、 ①売上債権回転日数+②棚卸資産回転日数-③仕入債務回転日数 です。このとき、 ①売上債権÷売上高×365日  ※ 受取手形+売掛金-前受金 ②棚卸資産÷売上原価×365日  ③買入(仕入)債務÷売上原価×3

#144 WC:会社が大きくなると運転資本(WC)が増えていくもの

会社経営すると日々のお金が必要になるもの。 年間で帳尻が合ったとしても短期的に見れば費用と収益は常に一致しない。キャッシュで考えても入金と支払いにズレが生じるなど。 そのためのお金が運転資本。ワーキング・キャピタル、運転資金といいます。 WCは売上が成長するにつれて増加するものです。これが不足すると資金ショートの恐れが出てきます。 管理会計では「運転資本」としてこの短期資金化をみるわけです。 初心者が戸惑うのは、日々のフローの話なのに、バランスシートの数字で定義され

#143 DESノート

DESとはデット・エクイティ・スワップ。債務の株式化です。 事業再生で使われます。利息や元本返済はなくなります。 債権者にとって債権放棄よりマシということです。 例:シャープのDES 2015.06を紹介します。 欠損874億円でした。 6月末までに2250億円増資(新株)し、半分が資本金、残りは「資本剰余金」の「資本準備金」へ計上しました。 6月末までに資本金5億円に減資(最初は中小企業1億円の話もあったけど批判をうけてぽしゃった)。 みずほ1000億円と三菱東京UFJ

#141 「負ののれん」とは何か?

#140 は暖簾(のれん)でした。 ときどき負ののれんが出てきます。これは何でしょうか? M&Aで、その会社の純資産簿価(負債は引いている)より高く買ったときの差額がのれんでした。 逆に純資産簿価より安く買った差額が負ののれんになります。 ディスカウント、ワケあり・・・ですね。 どういうときか? 損害賠償請求、偶発債務の負担が確定しそう、リース債務(簿外債務)の引き受け可能性、割増退職金の見込みが高額、不動産価格や所有株が暴落なときなど 会計処理は、発生時に特別

#140 「のれん(暖簾)」は会社法上の正式用語です

Goodwill、のれん、暖簾 のれん  信用、ブランド、技術、ノウハウのこと 「のれん」経済上の優位性を表わすものであり、以前は「営業権」(企業の超過収益力)、「連結調整勘定」と言われた。 営業権というのは,ある企業が有能な経営者や従業員などの人的資源,技術,財務,製品など,仕入先・得意先関係,立地条件などの点で有利な立場にあって,同業他社の平均的な利潤を上回る利潤 (超過利潤) を継続してあげられる能力を資産化したものです。 営業権は有償または合併により取得した場合

#120 会社のカタチ:販管費の配分

販管費で会社の特徴がみえることがわかりましたね。 原価率と営業利益率は業界内で差は出ないのですが、その後で変わってくるわけです。 バランス配分はそれぞれ個性が出ます。 業種+ビジネスプロセス+SG&Aで社員の働き方も決まってくる 会社イメージや社風も変わる だから、販管費はコストではなくインプットと見做すべき!

#119 販売関係費と管理費

販管費(SG&A)の3つ目です。 販売関係費  人件費(販売、販促、管理) 減価償却費  賃借料/店舗関係費用 このようなものがあります。 攻めのコストからすると、各業界に合った投入が必要になります。 飲食等なら立地が重要ですから店舗の家賃でしょう。 自社で建ててることもあります。 工場や物流施設も同じです。 店舗、本社、物流センター等設備の減価償却費がかかることになります。 物流経費もあります。アマゾン(2014)は、販管費17%のうち「Fulfilment

#117 研究開発費の上位ランキング

さて、研究開発費はどのくらいでしょうか?どの国、どの業界が大きいのでしょうか? まずは国別。企業だけでなく大学や公設も入っている数字です。 第1位アメリカは60.7兆円 第2位中国は58.0兆円 第3位日本の19.5兆円(2018年) ドイツは14.8兆円、韓国は10.3兆円 「企業部門」、中国の44.9兆円、アメリカの44.2兆円に次ぐ、世界第3位の14.2兆円。 「大学部門」アメリカの7.8兆円、中国の4.3兆円、ドイツの2.6兆円に次ぐ、世界第4位の2.1

#116 研究開発費になるソフトウェアとならないソフトウェア

ソフトウェアは研究開発費になるのか?資産か費用なのか? 有形じゃないから無形資産? 場合によります。 以下の区分に応じて会計処理します。 (1)受注制作のソフトウェア 受注制作のソフトウェアの制作費は、請負工事の会計処理に準じて処理することとされており、「工事契約に関する会計基準」の適用対象となります。 (2)市場販売目的のソフトウェア 市場販売目的のソフトウェアの制作費用のうち、「最初に製品化された製品マスター」の完成時点までの制作活動は研究開発と考えられ、ここま

#115 研究開発費の会計処理:なぜ医薬品業界はIFRS?

攻めのコストの2つめです。 研究開発費(R&D費) これは費用処理でしょうか?資産計上でしょうか? 1999(平成11)年3月期までは、開発費について資産計上が認められていたました。 現在は、研究開発活動と将来の収益との対応関係が不確実であるという米国会計基準の考え方を踏襲し、研究開発費はすべて発生時に費用として処理します。 一方、IFRSにおいては、一定の開発費については資産計上します。 「研究から生じた無形資産を認識してはならず、これに関する支出は、発生時に費

#114 日本企業の広告宣伝費

「攻めのコスト」の1つめです サンクコストであって、これが参入障壁になると書きました。 これは、攻めのコストによって売上増加させます。それによって単位当りコストは小さくなります。そうなれば「規模の経済」でコスト優位性が生まれるというわけです。 広告費は消費財が多い。 ブランド構築になります。 化粧品、トイレタリー、スポーツ、食品飲料、自動車の各業界が多い。あと、情報通信、レジャーなどが大きい ソフト企業 モノより夢を売る企業が増えています。 ちょっと古いデータですが

#113 販管費も業界で異なるけど、全てカットすべきは間違い

広告宣伝費、研究開発費、従業員教育費、資源探索費などは回収不能です。 このお金は返ってこないので埋没費用=サンクコスト といいます。 会計上の費用かどうかとは別の話です。むしろ経済的な見方になります。 回収できないからリスクとか問題であるということもあります。 しかし、これは参入阻止の源泉になると考えるのです。 つまり「攻めのコスト」、「最大防御のコスト」になります。 “顧客創造の実現は、マーケティングとイノベーションだけである”(ドラッカー[1954]「現代の経