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森林破壊を止めたければ割り箸は避けるべき?

答えは端的に言うと「モノと場合による」「避けといたほうが無難」ということになるような気がします。身も蓋もないですね…。ただし、もし割り箸を使いながらも「私は森林破壊をしていないです!」と自信を持ちたいのであれば、FSCなど、森林認証のマークがついた割り箸を使ってください。

割り箸に関する曖昧な議論

昨年はプラスチック有料化が環境保護に繋がるか否かの議論が盛り上がっていましたが、一昔前に「割り箸は森林破壊に繋がるから、マイ箸を持とう」という派閥と「割り箸は林業振興になるから、むしろ森林保護に繋がる」という派閥が戦っていたことを思い出す方も多かったのではないでしょうか。

キャプチ2ャ

わりと曖昧なまま、議論は終息していったような気がします。曖昧になるのは仕方ないですよね…。森林破壊/保護と割り箸について議論するのは、たとえば「ファストフードは素晴らしい」「いや、そんなことはない」と話すようなものです。全ての定義が不明瞭で、対象が幅広すぎます。

そこで言う森林破壊/森林保護の定義は何なのか?単なる伐木行為を指すのか、伐採後の造林率に言及しているのか?それとも生物多様性の維持についての議論なのか。割り箸は、中国のアスペンを使ったものか、吉野の建材端材か?変数があまりにも多く、一概に答えは出せません。

林業も同様に曖昧な存在

割り箸は身近な存在で使い捨て=もったいないイメージがあるから話題に上りやすいですが、実は長期的に利用する建物の材料としての木材にも同様の議論が起こったりしますし、素材生産を行う林業という産業そのものについても言われたりする話でもあります。

ざっくり言うと「昔からある木を伐るなんて許せん、森林破壊だ」という派閥と「手入れしないと維持できないから、これは森林保護」という派閥の戦いですね。あとは自伐型林業VS他の林業、みたいな構図もよく見かけるやつです。その文脈だと西粟倉はわりと敵視されがち。

しかし、林業なんて本当に千差万別なので、割り箸同様にヒトコトで片付けるのはとても無理があります。森林破壊に繋がる林業の代表格は、広い面積を皆伐してそのまま放置!というやつで、森林保護をしながらする林業の代表格は「林ヲ営ム」に出てくるような篤林家さんでしょう。

割り箸は避けるのが妥当

ということで、結局のところ、割り箸や林業は森林破壊にも森林保護にも繋がる可能性があるし、事実どちらも担っているという結論しか出せません。つまり「森林破壊を止めたければ割り箸の利用は避けるべき?」は「モノと場合による」にしかならない、ということになります。

しかし。

もしあなたがどうしても「森林破壊を止めたい」という立場ならば「モノと場合による」などとお茶を濁されてしまったものは、幾らプラスの可能性があったとしても、マイナスの可能性を考慮して忌避するのが健全な対応だと思います。よって「避けといたほうが無難」。

つまり、いち消費者にオススメできる指針としては「森林破壊を止めたければ割り箸の利用は避けるべき」ということが言えると思うのです。いかにも炎上しそうな結論ですが…反論があれば是非ともコメントをお願いします!追記して紹介します。

それでも、使ってほしい

でも、関係者としては忌避してほしくない!割り箸も、林業も。そこで割り箸メーカーや、僕たち林業関係者はあの手この手で説明をしていくわけです。しかし、やってる本人が言うと信用ならない。「アットホームな職場」を名乗る職場に、どこか闇を感じてしまうことが多いように。

これはあらゆる業界・あらゆる問題で起きる話ですよね。医療の世界なんかは顕著かもしれません。「確かに適当で危険な治療法も巷にはあふれているが、俺たちのやってる治療法は効果があるんだ!信じてくれ!」という話。

そこでどうするか?第三者による審査を活用することが最も適切だと思います。カンタンなのは口コミ・レビューみたいなやつですが、多いのは○○認証ですね。「俺たちは信用できなくても、この審査機関を信用してくれ!」と言うことができるようになります。

※もちろん、これさえあれば全て解決!という万能なものではありません。結局その審査機関も信頼できない、というのもちょくちょく見かける話ですから。実際問題、適当な審査もあったりしますし。クリーンウッド法なんかは実効性が無いと批判されたりしていますね。

FSC認証がオススメですよ

西粟倉ではFSCの認証を受けています。正直審査は時間がかかるし、対応項目も多くてメンドクサイです。今年はILO基準で「下請け業者に対して各種ハラスメントの窓口を案内していない」と怒られちゃいました。でも、良い森林管理をしていると主張するために、続けています。

というわけでこの制度、対応が大変な割に、日本では世間的にあまり知られていないので、ぜひ知っていただきたいです!FSCはForest Stewardship Councilの略で、意味合いとしては"森林を預かって管理するヤツら"的なところになっています。

FSC will promote environmentally appropriate, socially beneficial, and economically viable management of the world’s forests.

世界の森林について、環境的に適切で、社会的に有益で、経済的に存続可能な管理を行うことがFSCの目的です。よって、認証の審査において伐採量や手法が適切であるかはもちろん、地域社会・生態系への影響、雇用者の状況なども細かく審査されます。

ちょっと長いですが、審査基準はこちらで確認できます!

FSCの目的や審査内容にご賛同頂けるようであれば、先程の「森林破壊を止めたければ割り箸の利用は避けるべき」に次の一文を追加して欲しいなと思う次第です:「ただし、FSC認証を受けた割り箸なら安心」と。ぱっと調べると下川町さんの割り箸が出てきました。

まとめとして

結局のところ「ウチ頑張ってます!」という話になっちゃいました笑

ちなみに、この記事では「割り箸を使うべきではない!」とか「割り箸を使うならFSCを使え!」とかいう主張をしたいわけではありません。ただ、もし「森林破壊を止めたい」という意見を持っている人で、割り箸をつかうべきだろうか?と迷っている人がいたら、こういう指針で考えるのはどうでしょう?と提案しているつもりです。そして、意外とそういう人っているんじゃないかな、と。

林業というのは山林に何かしらのストレスを与える作業であることは間違いないです。その度合や、作業が終わったあとにどういった環境を目指していくのか。その辺りには自覚的でいられるようにしたいと考えています。その前提のもとで、どういう施業や取り組みをするべきか、一緒に議論したい方は、ぜひ西粟倉へ!コメントやメッセージももちろん歓迎です。森作りの仕様書を、オープンソースみたいな形で作っていければいいのですが…。

願わくば、印象や感情による抽象的な議論ではなく、具体的な基準やデータによる議論が可能になりますよう。がんばっていきましょう。

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岡山県の西粟倉村というところで山林の管理をしている会社です。