小説

258

本

物語です。

運営しているクリエイター: ひゃくま

ひゃくま

2019年9月28日 01:37

『この中に裏切り者がいる』『必殺技で倒すヤツ』

　「お兄ちゃん……!!　お願い、間に合って……!!」
　宇野聖花（うの　せいか）は夜の街を走っていた。
　『この中に裏切り者がいる』
　その事実に気づいたのは先ほどだった。
　ここ半年ほどの兄の巻き込まれた多数の事件の情報の整理を行っている時に気づいたのだ。
　明らかに『組織』からの介入が多いという事実に。
　元々『協会』と『組織』は互いに対立していたし、介入してくるのは当たり前なのだが、明らか

もっとみる

ひゃくま

2019年9月19日 01:18

　父親が嫌いだった。
　ろくでもない奴が、なまじ権力と武力の両方を持ってしまえば、ソイツがどういう振る舞いをしてきた奴だったのかは語らずとも多くのヒトが想像できるであろう。
　数年前、その件の父親が死んだ。
　病気で恐ろしくあっさりと急死した。
　いつか殺してやろうと思っていた人間が死んだ事実は、思っていた以上に心が動かず、さらに言えばそれは俺だけではなかったようで城の人間から魔界の多くの民もそう

もっとみる

ひゃくま

2019年9月11日 01:06

『伝説の鍛冶屋』

　人間界の辺境にある深い大森林。
　その入口にエルフの村がある。
　『エルフの村』と呼ばれているものの昔から大森林を目指す冒険者も多く、村はその冒険の拠点として発展した経緯があり、今ではエルフ以外の人間や獣人、亜人や、魔族など多くのヒトが生活をする活気のある村となっていた。
　そんな辺境の村に彼女、伝説の鍛冶屋と称されるエルフの女性は居を構えている。

　朝、届いたばかりの新聞を片手に朝食を摂る。

もっとみる

ひゃくま

2019年9月4日 11:59

『正夢』

　人が倒れている。
　人、人、人が倒れている。

　俺は動けないでいる。

　三人倒れている。
　一人は俺と同年代の高校生の女子。
　一人は買い物の途中だったであろう40代ぐらいの主婦。
　一人はスーツを着た30代ぐらいの男性。

　人が倒れている。
　俺は動けないでいる。

　周りの多くの人間は叫びながら逃げ惑っている。
　あまりにも騒がしく、一人一人の言葉は聞き取れない。
　
　ぽっかりと空い

もっとみる

小説

2019年9月の記事一覧

『この中に裏切り者がいる』『必殺技で倒すヤツ』

『王位継承』

『伝説の鍛冶屋』

『正夢』