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2020年上半期に読んだ50冊からベスト5冊を振り返る

2020年上半期は、新型コロナウイルスの影響で自宅に長くいて時間に余裕があったため、例年にも増して本・映画・音楽・ドラマ……などコンテンツにふれられている日々です。

(一部noteにもまとめています↓)

1『アフターデジタル』『大聖堂』『USJを劇的に変えた、たった1つの考え方』ほか

2『PIXAR』『急に具合が悪くなる』『人類を前に進めたい』ほか


年末に一気に振り返りきれるかが不安になってきたので、今回は上半期6ヶ月で読んだ50冊の中から、特によかった5冊をピックアップして振り返っていこうとおもいます。今回ゆるめです。

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(読んだ本はいつもNotionにまとめています)

1.『急に具合が悪くなる』(宮野 真生子,磯野 真穂)

「死に方ではなく、生き方の本だ」とTweetしたのはまさにそうで、生きていく上で何度もふりかかってくるような問いのヒントが多く記されている一冊。本の内容が面白いのは言うまでもないが、本の内容をもとに同じ本を読んだ友人と「不確実性や偶然性をどう受け止めるべきか」「コミュニケーションの目的性をどう捉えるべきか」などなど、本書から派生したテーマについてあれやこれやと話がどんどん広がっていったことが何より面白かった。

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(『急に具合が悪くなる』の読書会のときのメモ)

2.『SHOE DOG』(フィル・ナイト)

創業者が自ら語る、ナイキの創業秘話について書かれた一冊。ナイキは「日本で作られた靴をアメリカで売る」というアイデアからはじまった。これまで読んできた自伝書の中でもトップ3には絶対に入ってくるほどの面白さだった。自伝書は得てして歴史を箇条書き的にたどってしまいどこか味気なくもなってしまうケースがあるのだけど、この本にはそれが一切ない。

まず、誰一人として天才がいない。「天才ハッカー」も「天才ビジネスマン」も出てこない。しかも笑ってしまうくらいのトラブルが続く。しかしそれをフィル・ナイトを中心としたメンバーが、アイデアと愚直さと頑固な美意識をもち、罵り合いの議論を重ねながら乗り越えていく様にとにかく圧倒されてしまう。ナイキが愛され続ける理由が、シューズにまったくなじみのない自分でも、少し分かったような気がする。本人のユーモアあふれる文章もたまらなくよい。

3.『集中力はいらない』(森 博嗣)

1日1時間しか書かないにもかかわらずこれまでに300冊以上の著作を発表してきた、人気作家作家の森 博嗣さんが書いた一冊。

小さい頃から集中力がなく、落ち着きのない子供と言われていた著者は、「あればあるほど有利になり、なにごとも解決するような魔法みたいな特殊能力として扱われている」集中力を疑問視する。

自分がやっていること、自分がしたいこと、そういった主観的な立場や欲望に集中することは、つまり周囲が見えていない状態であり、これではコミュニケーションも浅いものになるし、信頼できる人間だと認められることはない。その意味でも、視点を集中せず、いつも多視点で観察することが重要である。そんな姿勢が、かえって疲れない自然な思考と行動へと導く

といったように、集中力がもたらす負の側面についても本書では多く触れられている。「社会が人間に『集中しなさい』と要求したのは、結局は、機械のように働きなさいという意味だったのだから、そろそろその要求自体が意味を失っている時代に差し掛かっている」とも述べられているように、そもそも集中力が求められる行動と、そうでない行動とがあることにまず気づかされる。

「集中力がいるもの」と、「集中力がいらないもの」。もと研究者であり、現在作家である森博嗣さんは集中力が求められない職業でよかったとも語る。なぜなら、いずれも求められるのは「発想力」であり、ひとつにずっと集中“できない”ことばかえって多視点から考えられることにつながっているから。

僕らのような仕事をしている多くの人に求められるのは、100の集中力でも、100の発想力でもなく、そのバランスを取ること。個人の中でバランスを取ることは難しいので、組織の中で「発散型」と「集中型」の役割のバランスが取られている。

何か結論らしい結論が出てくるわけではないが、なんでも集中して解決しようとするアプローチだけでは上手くいかないものもある、いうなれば、集中しない集中力だってあるのだ、というのは心に留めておきたい。

4.『暇と退屈の倫理学』(國分 功一郎)

哲学者・國分功一郎が「なぜ人は退屈するのか?」という問いから「暇」と「退屈」をめぐる論考をまとめた一冊。

章立ては以下のようになっている。

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高校生のときに読んで以来2度目の読書になったわけだけども、また違った読み方ができて面白かった。特に「暇と退屈の4分類」の中で触れられている、現代人で最も多いのは「暇はないが退屈している状態だ」という指摘は面白い。なんとなく気晴らしを求めてしまう状態とも言えて、自宅生活が続く中ついついハードめなドラマを見てしまう自分も省みれるほど。余談ですが、ついでにその類型を代表する作品としてあげられていた映画『ファイト・クラブ』を観ましたが面白かったです。気晴らしにぜひ。

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(「暇と退屈の4分類」をだいぶ雑に作りました)


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(その他いろいろメモ。暇と退屈の論考の先には、「自分らしく、自分だけの生き方のルールを見つけよう」という崇高なテーマが見えてくる……)

5.『こといづ』(高木正勝)

(すみません、最後の最後で力つきてきてしまったので、上記ですでに触れていた内容の引用を差し込ませてください…… ↓)

『こといづ』という本は、音楽家/映像作家の高木正勝さんが書かれた本である。「丹波篠山の小さな村で暮らす日々の驚きと発見」について、『ソトコト』という雑誌に月1回のペースで連載から収録されている。

コロナウイルスの影響を受けて、ずっと自宅にいるからこそ、大自然の中で見えたもの、感じたことについて書かれていると、自宅にいるのがさらにむずかゆくなってくる。もちろん、家で楽しめることもいっぱいあるのだけど、外、そして自然から入ってくる情報量や、エネルギーのほうが、よっぽど多いのだ。以前にタイの山奥で過ごしていた日々をなつかしみながら、『こといづ』を読んでいる。

……などといった感想を読み終えたあとくらいのブログで書いた。早く大自然のもとでキャンプとか行きたいです……。

まとめ

以上、上半期で読んで印象的だった5冊について紹介してきました。この勢いで下半期も色々と読んでいけたらなとおもいます。ではでは。


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(最後まで読んでいただけただけで十分です…!ありがとうございます!)