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「フミ」という名前

わたしがかっこいい女性に憧れを抱いたのは、中学生のときでした。

平岩弓枝さんの著書『千姫様』を読み、戦国の世を生き抜いた女性のたくましさに衝撃を受けたのを覚えています。それから時代小説を好んで読むようになり、『天璋院篤姫』や『冬姫』などのいろいろな作品に触れる中で、いつしかかっこいい女性に憧れを抱くようになりました。

実話をもとに書かれた小説をしばらく読んでいましたが、あるとき本屋さんで「いやほんとに、なんてかっこいいんでしょう!!」と書かれた帯を巻いた一冊の文庫本に出会います。それが『芙蓉千里』との、そして「フミ」との出会いでした。

須賀しのぶさんの著書『芙蓉千里』は、全4巻のシリーズ作品で、舞台は明治42年頃の哈爾濱ハルビン。「大陸一の売れっ子女郎になる!」という大志を抱き、日本から哈爾濱にやってきた少女フミの恋と成長を描いた物語です。

フミは自らの力で運命を切り開いていきます。女郎の夢は叶いませんでしたが、芸妓を極め大陸一の舞姫となった「芙蓉」、芙蓉の名を捨て胡子フーズ(馬賊)となり曠野こうやを駆け抜けた「芙美」、名前は違えどどんなときもフミはフミらしく、精一杯生きていきます。

作中で「獅子のように誇り高く苛烈な女」と評されるフミ。変化し続ける時代を、自らの強い意志で生き抜くフミの姿に、たくさんの読者が魅了されたのではないでしょうか。

人生は取捨選択の連続です。自分の進む道に迷ったときは、「フミだったらどうするかな」と考えています。わたしにとってフミは、永遠の憧れであり、人生の指針となる存在です。

「フミ」という名前。わたしにとって大きな勇気を与えてくれる名前。
これからもわたしはフミとともに生きていきます。

『芙蓉千里』シリーズ、未だに読んだことがある人と出会ったことがないので、もし読んだことのある方がいたら教えてくれると嬉しいです。

みなさんには自分の人生の指針となるような、憧れの存在はいますか?

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