ギターゲット編4

合計で30ドルほど稼げただろうか。

もういいでしょ。

僕は30分ほど歩いてメトロの駅に着いた。

実は帰るところは決まってない。

なんとなく、ここに泊まってみようかなーてのはあったので、日を越す前に予約をしたいがWiFiが無い。

飛び込みで泊まらせてもらえるだろうと、あまり気にしてはいなかった。

メトロの電車を待ちながら、路上でやってる時に切ったギターの1弦を張り替える。

リトルトーキョーのギターを買ったお店の日本人の店主がサービスで、5ドルで2パックの弦を僕に売ってくれていた。

まあ、言ってしまうと、ちゃっちいギターだ。

あまり長くは持ちそうもないギター。

取れんのぢゃ!!

弦を抑えてる、あれなんちゅうの?コインでテコの原理でよく取ってるやつ!

テコの原理が通用せんのよ。

弦を緩めに緩めて穴から手を突っ込んで中からあの白いアイツを押してやったわ。

1時間くらいかかったと思う。弦張るのに。

最近で一番イライラした出来事かも知れぬ。

その間も僕の隣でずっとホームレスおばさんは寝ていたね。


でね、俺は書いてやったよ。

日本から黒いポスカを持ってきていた僕は、ギターのボディに

「Blues saves me」

「Fuya」

と。

かっこよくね?

多分Bluesの上にはTheがいるよね。

いいんだ、もう。そこじゃないんだ。いいんだ、、


電車が来た。

メトロはホームレスの溜まり場。

いろんなホームレスがいるから面白い。

ラリラリパッパな連中も多い。

僕は疲れたーて感じで、うたた寝しそうになりながら、初めての駅に降りた。

その飛び込みで行こうとしているゲストハウスの最寄駅「Wilshir/Normandie」駅

まあ、最寄りっつっても40分ほど歩かないとダメなんだがね、、。


さーて、あと一踏ん張り歩きますかーと、

歩き始め、駅前の茂みの横に差し掛かった時、

「〜〜♫」


アカペラのR&Bが聴こえてきた。


イカしてるやんけ。


立ち止まった。


帰るという選択肢は消えていた。


しばらく聞いてみるか、行くか。



行こう。


僕は引き返した。

小さな円状の広場。ベンチが円状にあり、その周りをさっきの2メートルほどの茂みが覆っている。

だから体感としてはなんか、部屋みたいな広場。


暗がりの中、そのベンチでポツンと一人で座りながら心地良さそうに歌っている青年がいた。


次回ギターゲット編最終章!

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