見出し画像

キャリア戦略と千利休「守破離」

キャリア形成においても『守破離』が大切だよねという話。

「守破離」って聞いたことありますか?
守破離とは

守破離(しゅはり)は、日本の茶道や武道などの芸道・芸術における師弟関係のあり方の一つであり、それらの修業における過程を示したもの。

日本において芸事の文化が発展、進化してきた創造的な過程のベースとなっている思想で、そのプロセスを「守」「破」「離」の3段階で表している。

ウィキペディア(Wikipedia)

千利休の『利休道歌』にある
「規矩作法 り尽くしてるともるるとても本を忘るな」を引用すると

まずは、師匠から教わった型を徹底的に「守る
つぎに、自分に合ったより良いと思われる型を模索し試すことで既存の型を「破る
さいごに、教わった型とその型を「破る」ことで見出した自分自身の型の双方に精通し、既存の型に囚われることなく「離れる」ことで自分自身の流派をつくる。

これを私なりにキャリアに置き換えてみると1.2.3となり、この守破離こそがキャリア戦略がリンクしたって話をします。

  1. 守:業界や職種、その会社での”基本の型”を身に付ける。

  2. 破:自身の強みを理解し、業界や会社の慣習を破って成果を出す。

  3. 離:自分の在りたい姿を追求し、転職したり、副業や起業をする。

業界や職種、その会社での”基本の型”を身に付ける。

新卒や転職で新しい会社に入るとき業界研究をして業界を決めたり、自己分析をして自分のやりたい職種を決めるところから「守」はスタートしている。

入社をすると業界や業種だけでなく、その会社独特のルールや共通言語があるからそういったところから覚える。なんだそれ!?今までの会社ではそんな言葉使ってなかったよ。とか、同じ言葉でもちょっとニュアンスが違ったりする。
だから、その会社でのをしっかりと覚えること!これが結構大事。(同じ英語を覚えていてもなまりがあるのと同じ感じ。)大切なのは教科書で習った知識ではなく現場でどのように使われているかを知ること。

そのあとは

  • 会社から期待されている役割

  • 報酬や評価制度の軸

  • 一緒に働く方の特徴や性格

このあたりも大切ななので1つずつしっかり把握していく。
たぶん、このあたりを把握していくので入社後3ヵ月くらいが目安なんじゃなかいと思う。

ある程度自分の身の回りのを把握できたら次は、成果を出している人の型を盗んでいく。盗むというとちょっと言葉は悪いけどとにかく真似をすること。営業であれば、同行を依頼したり、顧客管理の方法や使用しているツール、メール文の雛形等があればどんどん共有してもらって真似る。
これは、入社から時間が経ってしまうとできないので入社後から6ヵ月以内にどんどん聞く。仮に年齢や経歴が上だとしても社歴が浅ければ聞きやすいのでこの半年が絶好のチャンス。逆にここで聞くことができないともうチャンスはやってこない。

「守」をすることで得られることは会社からの信頼。つまりは一緒に働く方から信頼を得られるということだと思う。
どれだけ経歴がすごくて、前職で成果を出していた人でも頭ごなしに自分のやり方を正として組織に入ってこられたらどうだろう?既存の社員からは反感を買い、組織内にいがみ合いが生まれてしまうだけ。
自分にその業界での経験があろうがなかろうが関係なく、まずはその会社の「型」を知ることは自分にとっても組織にとっても大切なこと。

自身の強みを理解し業界や会社の慣習を破って成果を出す。

さぁ、ここからが仕事が面白くなってくるところ。
「守」によって得られた信頼を活かしながらそろそろ自身の成果も出していきたい。ただ、ここでは焦りは禁物。
まずは小さな小さな「破」からはじめるという感覚。

ここで大切なのは会社から”期待されている役割”と”自分のできる”が重なる部分をしっかりと見極めること。間違っても”自分のやりたい”を優先しないこと。ここでやりたいを優先してしまうことは「破」を飛び越えていきなり「離」にいってしまうことを意味している。
ここでいきなり「離」にいっても経験上”自分のやりたい”には繋がらない。

だから、まずは”役割””できる”の重なる部分で自分なりに小さな提案をいくつかしてみる。そこで1つでいいから小さな成功体験をつくる。
提案はどんな些細な事でもいい。営業であれば営業資料に自分のオリジナルの資料を1枚追加するとか、マーケであればSNS運用を改善してみるとか。
できるだけ、勝ち筋が見えていてやれば成果は出るよねというシンプルなものがいい。(やれば成果出るよねと頭で理解できても”慣習”から組織ではできていないことって案外たくさんある。)

そこで小さくても良いから成果を出すことが「破」のはじめの一歩だと思う。「守」で得た信頼をベースに「破」の一歩が踏み出せるのは入社から6ヵ月~1年くらいのタイミングくらいだと思う。(新卒、第二新卒の場合はもう少し遅いかな)
この小さな「破」を積み重ねていくことができれば、仕事に追われず自発的に仕事をすることができ、会社からの評価も上がるので精神衛生上も健全な状態で仕事ができるようになる。

自分の在りたい姿を追求し、転職や副業、起業をする。

さいごの「離」について
社内で信頼を得ながら成果を出し続けることができることはもちろん素晴らしいことだけど、このコンフォートゾーンに入るとキャリアアップを目指したくなったり、会社の方向性と自分の目指したい方向がズレてきたりすることもある。
そんなときキャリアにおける「離」というのは、現在の組織から「離れる」ということを意味するんだと思う。

  • 新しい部署に異動したい。

  • 新しい職種に挑戦したい。

  • マネジメントのスキルを高めたい。

  • 自分で事業を立ち上げたい。

離れるといってもいろいろなパターンがあって、そのタイミングは、3年なのか10年なのか、はたまた20年という人もいるかもしれない。
タイミングはいつでもいいんだけどこの時に、転職活動をしていろいろな人の話を聞いたり、今後のキャリアについての視座を高めることは良い機会になる。
だから、転職をゴールにする必要はないけど定期的に「離」についての活動をしてみるのはおススメ。

終身雇用は終わり、人生100年時代となるこれからは、こうして組織を「離れる」という機会は自ずと増え、個人のキャリア形成の上で重要な転機となる。

そんなとき
千利休が教えてくれた”芸事の文化が発展、進化してきた創造的な過程”と自身のキャリアを発展、進化をさせていくプロセスがリンクした。
というお話。

最後まで読んでいただきありがとうございます。 少しでも何かを感じてもらえたら嬉しいです^_^