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【長野県】みんなの力で水害を防ぐ! 企業版ふるさと納税 活用事業紹介#6 流域治水推進事業

「企業版ふるさと納税」は企業が寄附を通じて地方公共団体の行う地方創生の取組みを応援できるうえ、税制上の優遇措置も受けられる制度です。また、企業は具体的な使い道を指定して寄附することが可能です。

本noteでは、長野県で企業版ふるさと納税の寄附を受け付けている事業について紹介をしていきます。

今回は流域に暮らすあらゆる関係者が協働して水害を軽減させることをめざす「流域治水」推進事業について、建設部 河川課の秋山 大輔さんに伺いました!

(聞き手:ライター 筒木愛美)

変わる水害対策、みんなで力を合わせてリスクを下げる「流域治水」

― 「流域治水」という言葉、耳慣れない方もいらっしゃると思います。そもそも「流域治水」とはどのような取組みなのでしょうか。

みなさんご存知のとおり、近年、豪雨災害が激甚化・頻発化しています。

河川を管理する国や県では、河川のハード整備をより一層加速化していきたいと考えていますが、河川の護岸整備や河道拡幅の工事はどうしても莫大な時間と予算が必要ですし、豪雨の頻度が増加している中、従来の治水対策だけではなかなか限界があるのも事実です。

そこで、流域(降った雨がその川へ集まる地域)の関係者のみなさまと協力しつつ、あらゆる水害対策に取組み、被害をできるだけ減らそうというのが「流域治水」の考え方です。

国土交通省資料より

長野県では各地で毎年記録的な大雨が観測され、いつどこで大きな水害が起きてもおかしくありません。

県としては、未来の水害リスクを最小限にするため、流域治水の必要性を強く感じており、令和3年度から令和7年度までの5カ年で取り組む数値目標を定め、流域治水の取組を計画的かつ集中的に進めています。

― なるほど。それでは具体的にどのような取組みをされているのか教えてください。

具体的には、
・流域における雨水貯留の取組み「留める」
・まちづくりや避難の取組み「備える」をキーワードに事業を進めています。

「留める」では、降った雨を直接河川に流すのではなく流域で留めることを主体とした事業を行っています。例えば、雨水貯留浸透施設という雨水をためる施設の整備や、田んぼ・ため池を利用した雨水貯留の仕組みなどを進めており、中でも力を入れているのが「雨水貯留タンク」の設置です。

「備える」では、被害に備えたまちづくりのため、河川の水位計や監視カメラなどの設置を進めているほか、浸水想定区域図の作成や防災アプリの普及啓発によって、災害発生時に逃げ遅れるリスクの低減に努めています。

― 雨水貯留タンク、初耳でした。

雨水貯留タンクは、家庭用の屋外灯油タンクくらいの大きさで、雨樋に取り付けることで屋根に降った雨を一時的にためて、雨水が河川へ流れるのを遅らせるのが目的です。ためた水は庭の草花や家庭菜園、洗車などに利用いただけます。小さな取組みに見えますが、長野県全体として何百基と設置されていれば大きな効果が期待できます。

県では、普及啓発を兼ねて、野球場や道の駅など多くの人が利用している施設や、交番や高校などの県有施設を中心に雨水貯留タンクの設置を進めています。

雨水貯留タンクの設置目標は令和7年度までに439基。早期完了に向けて取り組んでいます。
また、その他の流域治水の取組みについても、県だけなく市町村、流域のみなさんと力を合わせて目標を達成していきたいと考えています。

― 流域治水に取り組まれている中で 苦労されていることを教えてください。

そうですね。まずは流域治水の考え方を知ってもらうところから始まるので、やはりご理解いただくことが一番大事ですし、一番苦労する点でもありますね。

ただ、昨今の水害の増加を踏まえると、防災減災への意識は昔よりもかなり高まっているので、説明させていただくと「良い取組みだね」とご賛同くださる方も多いです。

また、事業がはじまった当初は、まだまだ市町村の方でも流域治水という言葉の認知度が低く、この2年間は広報や普及活動に力を入れてきました。

最近では、市町村独自の流域治水の取組みも出始めているので、徐々に言葉も浸透してきたかなと思いはじめたところです。

みんなの力で雨水貯留タンクの早期設置を目指したい

― 企業版ふるさと納税に話を移していきたいのですが、流域治水推進事業について民間からの寄附を受け入れようとしたのはなぜでしょうか。

県民を水害から守るために何ができるのかというのは、県の喫緊の課題です。

県では流域治水の取組みについて「治水ONE NAGANO」というスローガンを掲げ、県内外のあらゆる関係者のみなさまと一つになって事業を進めていきたいと考えています。

県外のみなさまともぜひ一緒に取組みを進めたく、企業版ふるさと納税の仕組みを利用して本事業に応援していただける企業さまを広く募集することにしました。

― すでに企業版ふるさと納税を活用して、本事業にご寄附くださった企業さんもいらっしゃるそうですね。

はい、これまでに数社からご寄附をいただき、寄附金は県内の雨水貯留タンクの設置に活用しています。企業版ふるさと納税のご寄附のおかげで計画を前倒しして雨水貯留タンクの設置ができており、事業の大きな後押しになっています。

寄附によって設置したタンクには告知のポップを設置させていただいています

また、企業版ふるさと納税の寄附によって設置した雨水貯留タンクには、寄附企業名を明記し、あらゆるみなさまの力で本事業を進めていることを知っていただけるよう取り組んでいるところです。

寄附企業さまからは、「SDGsの観点から持続可能なまちづくりを応援したい」「みんなで取り組むというところに共感した」「自分も被災したことがあるので、防災に関連する事業に寄附したい」「自社工場のある地域の防災に貢献したい」などの声をいただいております。

長野県の流域治水に興味を持ってくださる企業がいらっしゃるというのは本当にありがたい限りです。

― 最後に一言お願いいたします。

流域治水は行政だけでなく、みなさまの力によって成り立つ事業です。ご協力くださるすべてのみなさまのお力添えに感謝しております。

今年度も全国で水害が多発しており、本当にいつ大災害が起きてもおかしくない現状です。とにかく早い整備の実現に努めていますが、雨水貯留タンクは世界的な建築資材高騰の余波を受けて設置費用が年々上がってきており、県としても苦心をしています。

できるだけ早く設置目標を達成できるように頑張ってまいりますので、流域治水という言葉を知っていただき、ぜひ企業版ふるさと納税にご協力お願いできましたら、とても嬉しいです。

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私たちと「企業版ふるさと納税」を契機としてパートナーシップを構築し、一緒に地方創生に取り組んでいきませんか?もしご興味をお持ちいただけましたら、ぜひ企画振興部総合政策課までお気軽にご相談ください。

長野県「企業版ふるさと納税」
WEBページhttps://www.pref.ngno.lg.jp/kikku/kensei/shisku/kigyobnfurustonouzei/soudnmdoguchi.html

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