狩りから稲作へ(ガチ)前編
2023年、稲作に挑戦した。理由は色々ある。自給自足だの自分で食料を獲ってくるだの言ったって、結局日本人なので、日々たくさんの米を食っている。この米を自分達で生産できるようになれば、家庭内食料自給率爆上がりするだろう、と考えたわけだ。運よく家の前に田んぼがついてる、ではまずやってみますか、と。できれば嬉しいし、できなきゃ今までの何倍もの感謝を込めてコメを食べるまで。どっちに転んでも得るものはある。
まずは5月、田植えの季節だ。苗はお隣の農家さんに余ったものを分けてもらい、植える前の田おこしやしろかきもご近所の農家さんにトラクターでやってもらった。ご近所の力でまずスタートラインに立たせてもらう。その後、肥料を手でまき、田んぼに水を張る。手植えも考えたのだが、お隣さんがちょうどいい小さい田植え機を貸してくれるというのでお言葉に甘えた。
この田植え機が意外と難しいのである。まず綺麗な長方形の田んぼなど三陸だとあり得ない、台形になっていることがほとんどだ。これを一筆書きで田植え機で走って田植えをする。ここにまず頭を使う。スタートとゴールの位置も当然決まっている。パズルのようなものだ。
いざ走るコースを決めて走り出すが、これが真っ直ぐ進まない。泥や土にタイヤをとられるのでハンドルはガタガタ、その状態で真っ直ぐ走れとは無茶な話だ。その結果が以下の写真。
「曲がり真っ直ぐだなぁ、こりゃ」とお隣の農家さん(重吾さん)に笑われた。「曲がり真っ直ぐ?なんですかそれ」と聞く。「田植えはちょっと曲がってるくらいの方が不思議と綺麗に見えンだ、真っ直ぐだとダメなんだ」と重吾さんは言う。だからこのくらいの曲がり真っ直ぐでいいらしい。その後も、道ゆくご近所さんたちにも「なんだ、大した曲がってるでねぇか」と言われつつ、「まあ初めてにしては上手くやったんでねぇのか」と言ってくれるので皆優しい。
ちなみにうまく田植え機で植えられなかった端の方は手で植えたのだが、ほんの少しでものすごく時間がかかった。昔はもちろん全部手植えだったらしいのだが、男も女も総動員で一列に並んで田植えをしていたらしい。稲作って共同作業だったのだ。これが機械化されることで個人でもできるようになったのだ。そんな簡単なこともやってみることで深く実感できる。田植えは一人じゃ無理。
ここまでやれば、あとは稲は畑と比べると楽だ。重吾さんの御助言により除草剤も入れてるので雑草は生えないし、脇芽を詰んだり支柱を立てたりしなくてもいい。最大の敵は「シカ」だ。奴らは植えた日からやってきて、引っこ抜いて食べていく。ある程度稲が大きくなってからであれば多少食われても稲も死なないのだが、最初はダメージが大きい。なので、電気牧柵をしっかり張ったりして対策をした。
そこからは毎朝田んぼの水位を見ながら、栓を開閉する。稲は暖かくなるのに合わせて、どんどん大きく青くなる。毎朝見れる青々としげる田んぼ、背景の山と川、なんて素晴らしい景色の中に住んでるんだろうと思える。
さて、長くなったので、稲刈りや稲作に関する考察は後編で。
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