実家の片付け
父の事務所に四つもゴルフバッグがあった。
ゴルフは父の趣味のひとつだった。新しいものが好きで、格好つけの父は、次から次へと新しいゴルフバッグやクラブ、ウェアを買い求めていた。
ゴルフバッグのひとつは、父が亡くなった直後に来てくれた父の弟に、クラブと一緒に形見分けした。
残ったゴルフバッグは、その後もずっと事務所に置いてあったのだけれど、先週の土曜日に、ようやく母屋の玄関に移動した。
とは言え、母屋の玄関も、ゴルフバッグを3つも置く場所がない。
……ので、母屋の玄関の大掃除をすることになった。
うちの母は、箱をとっておく癖があり、ひと月ほど前に
相当数の贈答品の素麺の木箱を私に捨てられた。全部捨てたつもりでいたが、いまだにどこかから取り出して来るので、不思議に思っている。どこにそんなドラえもんのポケットを隠し持っているのか。
もう予想できると思うけれど、玄関のシュークローゼットには、大量の靴の空き箱が入っていた。しかも、靴が収められている箱は少数で、大半は空か、謎のゴミ、古いゴルフの小物などが入っていた。
実家の掃除をするたびに、これを「空間の無駄使い」というのだろうと感じる。実家はかなり広いのだが、箱を取っておくがゆえに、片付かないのだ。
しかしそれでも片付けたい母は、「整理グッズ」が大好きで、すぐに買う。整理グッズを使えば、片付くと思っているようなのだが、私の目から見ると、その整理グッズがさらにスペースをとるという悪循環でしかない。
使わない箱を捨てりゃーいいんだよ。
靴の箱と、何故か取ってあった古いスリッパや玄関マットは容赦なく捨て、無造作にしまわれていた孫たちのおもちゃなどは点検して、リサイクルショップへ。
スッキリした。
結婚して実家を出てから25年。再び母と生活を共にしてみて、わかったことがある。
この人は「袋に入らない形態のゴミ」が苦手なのだ。
例えば、小さな棚とかカラーボックスとか。傘などもそう。
袋に入らないものは、不燃ゴミのシールを貼れば良いだけなのだが、それが面倒くさくて出来ない。
だから、捨てない理由をつくる。
捨てない言い訳は、「何かに使えると思って」。箱類は、ちょっと何かを入れてしまえば捨てない理由ができるのだ。(で、中が見えないので、そのまま忘れる)
父のものを片付ける以前に、既にゴミとなったものが実家を占拠している。
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