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MBA Class Review- ROIC

こんばんは、前回から大分時間が空いてしまいました。やはり継続的に投稿していくって中々大変ですね(^^;)。

前回の投稿ではROICについての概要だけ味気ない感じで触れていました。今回はクラス後ということでもう少し深堀った内容を触れていければと思います。

■ROICとROCE

前回の投稿ではROICはざっくり『NOPAT/(有利子負債+株主資本)』なんて書いていましたが、本当の分母の発想は、
『事業純資産(いわゆるワーキングキャピタル)+事業用固定資産』
だそうです。

ちゃんと事業用の資産の効率を図るとするのであれば、きちんと事業用の資産を分母にしましょうということと、事業の場合でも割り当てられたWCと固定資産は把握できるので有用です、ということのようです。

これはいわゆる経営者目線から見た事業の効率性を図る方法で、一方資金調達サイドから見た分母はあくまでも投資家目線。これはROCE(=Return On Capital Employed:使用資本利益率)と呼ばれるようです。

つまり投下した資本に対して使ったお金ということですね。単純化したBSでは変わらんじゃん、結果一緒じゃん!と思うのですが、意識してちゃんと資産サイドから見るか、負債サイドから見るかを使い分けることが実務でも使いどころを迷わなくなるポイントですね。

■ROICの使い方

もうなんでもかんでもROICを使っておけばファイナンス的にOKだしいいんじゃないの?みたいな短絡的な発想をしていたあなた!(ではなく私)。ROICは結構奥が深かったです。

ROICは分子が資産効率性を目指す指標であるため、事業特性によってはなじまないケースや弊害が出ることもあります。

例えば成長段階にあり多額の投資を必要とするような企業はかえって必要な投資が抑制されてしまうため、ROICは向きません。

また、人的投資や研究開発費が中心の事業(コンサル等)で、資産が少ない企業でも導入には余り効果はなさそうです。

また、ROICで資産効率を重視しすぎると必要な投資まで削減され、デススパイラルに陥ることもあり得ます。

大事なポイントは、しっかり自社事業の特性と戦略の目標を見極め、その達成に必要なKPIをえらぶという点です。聞くと当たり前の事なんですが、いざ実際に実践してみようとすると難しいですよね。

クラスのケースでも難しかったです。そんな時、やはり業界KSFの特定→自社の戦略→戦略達成のための手段→その手段特定のためのKPIの設定という思考回路が重要になります。

■ROICツリー

ROICの導入に当たっては、全社的な目線だけではなく各事業部門のKPIにどのように落とし込んでいくのかということも重要になります。

例えば、機械の販売とレンタルを同時に営んでいるような会社の場合、レンタルの方が固定資産が多いため、自動的にROICは悪くなります。それなのに同じような基準でやっていたら不満も出ますよね。

なので、異なる数値目標や異なるKPIの設定、場合によっては複数のKPIとの組み合わせで業績評価をするなんてことも重要になります。

さて、そうして事業部門のKPIを設定していく際にはROICツリーが導入されることが多いようです。

これはROICの分子分母を更に売上や費用と分解していって、この事業のこの販売部門は例えば粗利率を指標にしましょう、とか売上高を指標にしましょうという様に分解していきます。

こうしたことで全社的な整合性を担保しつつ、各事業部門に最適なKPIを設定できるという仕組みです。(先ほどのレンタル事業の場合ですとROICの数値目標を低めにするとか、資産の回転率みたいな指標をKPIとして設定するとかの方法がありそうです。)

ROICツリーについてはオムロンやリコーの例が参考になりますので、もしご興味のある方は是非!


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