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食べずにいれば◯◯◯◯◯◯

 ジャムおじさんとバタ子さんがふたりで歌う歌に、「食べずに〜い〜れば〜死んでしまう〜!」という強烈な歌詞が出てきたのを、ふと思い出した。しかも、曲の終わりには「死んでしまう」を3回も連呼する。幼児に聴かせるにはなかなかショッキングなものだが、当時まだ幼かった私は自然に親しんで一緒になって「死んでしまう〜!」と歌っていた。周りの大人はさぞ驚いたことだろう。

 最近になって不意にその曲を聴きたくなり調べて聴いてみたところ、驚くべき変化が起こっていた。件の箇所が「食べずに〜い〜れば〜生きられない〜!」に変更されていたのだ。

 「死んでしまう」と「生きられない」。意味は同じなのだがずいぶんと印象が異なる。なぜそのような変更がなされたのか調べてもはっきりとした理由は判明しなかったが、おそらく、あまりに衝撃的な歌詞を幼児に聴かせたり歌わせるのは忍びないといったところだろうか。

 しかし私は、オリジナルの歌詞を尊重したい。
 やなせたかし氏が経験した、私には想像もつかない凄惨な戦争体験やその後の厳しい生活を、わからないなりに想像してみると「食べずにいれば死んでしまう」という歌詞の方がストレートで、心に響く。「生きられない」などというオブラートに包まれた言葉では、その強いメッセージが揺らいでしまうように感じる。

 そんなことを考えつつ、私は何度目かのダイエットを放棄して、しっかりと食べる。「食べずにいれば死んでしまう」のだから。

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