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「あなたのためだから――」美しき他責思考

大好きな人がいたとして、その人のために何ができますか?
毎夜酒場におりますと、並々ならぬ恋愛事情を目の当たりにすることも。
尽くし尽くされ助け合い生きていく。
それが叶わなかったとき、あなたは何を思うでしょう。

愛する人のためだから、会う時間を作るために少し無理をしたり、本当はあまり余裕がないお金を奮発したり。
ご経験ありませんか?

そして、相手の反応が期待にそぐわないと苛立ってしまったり。
尽くした時間やお金が膨らめば、愛情が憎しみに変わることすらも。

大好きだから、愛してるから頑張れたはずなのに、真逆の結果に陥ってしまうのはなぜでしょう。
それは他責思考が原因です。

「あなたのために○○した」

実はこの言葉、正しくありません。
正確に表現するなら、

「喜ぶあなたを見ると私が嬉しいから、○○した」

この違いが分からない人、危険信号です。

人生は選択の連続。
大人であるなら、概ねすべての選択は自分の意思で行うことができます。
従わなければ命を奪われるような状況でない限り、あなたは自分の意思で自分の人生を選んでいるのです。

そして大人であるなら、選択には責任が伴います。
あなたが負うべき責任を、他人が負ってくれると期待して選択することを、他責思考と言います。

”この人のためにこれをする”

あらゆるあなたの事情と相手の事情を天秤にかけ、選択をするのは紛れもなくあなたです。
払った犠牲に対し望む結果が返ってこずとも、責任を負うのはあなたです。

酒場でよく聞く男女のトラブルNo.2、貸したお金が返ってこない。
(No.1は浮気)

そもそも貸すなというのがよく言われる話ですが、貸してしまったものは仕方がないですね。

家賃が払えない、食事ができない、携帯代が……

お金が欲しい理由は無限にあります。

貸さないなんて可哀そう、嫌われてしまう、信じてるから……

貸す理由はこんなとこでしょうか。

「ごめん、五千円だけ貸して!給料入ったら返すからさ」

これってすごく断りづらいです。
五千円くらいなら手元にあることが多いでしょう。
給料が入ったら返す、という言葉も信憑性がありますね。
実際給料が入ったらすぐに返してくれるかもしれません。

では次の月、こう言われたらどうでしょう?

「ごめん今月も金欠で……一万円貸してくれない?」

一万円は少し抵抗があるでしょう。
でも先月ちゃんと返してくれたし……お金がないと分かっていると尚更断りづらくなりますね。
お金を貸すだけじゃなく、一緒にいる時間の食事や遊び、ちょっと多く出したり奢ったりしたくなりませんか?

「今月厳しくて……もう少し返済待ってもらえない?」
「ごめん!つい使いすぎちゃった!五千円でいいから貸してほしい!」

一度貸してしまうと、ずるずるお金を貸し続けることになってしまう。
そしてお金を貸すことに対するあなたの感覚も麻痺してきます。

一緒にいる時間は楽しいし、今はたまたまお金がないだけなんだから、私が助けてあげなきゃ。
まさか踏み倒したりしないだろうし、私が少しの間我慢すれば、ちゃんと返してもらえるはず。

そして気づけば借金は10万、20万と膨れ上がり、あなたは焦り始めます。
お金を貸している、一緒に過ごす間使うお金を多く払っている状態が続くと、相手の粗も今までより気になってしまうでしょう。
なんでもなかった些細な意見のすれ違いに、

"私がお金出してるのに"
"そんなこというなら今すぐ借金返してよ"

こんな思考が出てきたらもうその関係は終わりです。

自分自身の感情のために、自分が責任を負える範囲の額で、お金を貸すという選択はありだと思います。

貸したほうが気持ちよく一緒にいれるなら、貸すこともまた正解かもしれません。

ただし、

貸したお金が返ってこない可能性があること

あなたはいつも自分の意志でお金を貸しているということ

この2つを理解しているのなら、です。

自分の人生は自分の意思で選んでいると自覚していれば、愛の泥沼にはまることはそうそうありません。
自分の選択に対する責任を相手に負わせようとすると、破綻します。

「来月の給料で返すって言ったのに」
「結婚してくれると言ったから貸したのに」

確かに相手はそう言ったのでしょう。
しかしその言葉を信じたのはあなたです。
人を信じる時、あなたは裏切られる覚悟も決めなければなりません。

大好きな人のために自分を犠牲にしてでも何かしてあげたい。
素晴らしい愛の形だと思います。
けれど忘れないでください。
どれだけ愛しあっていても、あなたの人生の責任はあなたが負っているということを。責任を共有することはできないということを。

あなたの愛、捨て身タックルになっていませんか?

自己犠牲とは、自分自身が選んでいること
そして、自分自身の決断でいつでもやめられること

覚えていてくださいね。

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