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「世界は感情で動く 行動経済学からみる脳のトラップ」――暗号資産・投資の世界に潜む心理的トラップを理解する

マッテオ・モッテルリーニの著書『世界は感情で動く 行動経済学からみる脳のトラップ』(2009年)は、私たちがいかに感情に左右され、非合理的な意思決定をしてしまうかを明らかにする一冊です。行動経済学の視点から、私たちが直面する「脳のトラップ」、すなわち非合理な行動を引き起こす心理的なバイアスや感情的反応について掘り下げています。

暗号資産(暗号通貨)や投資の世界でも、感情的な判断が大きく影響を与えることは多々あります。投資家は合理的な判断をしていると思っていても、実際には感情や心理的バイアスによって誤った意思決定をすることが少なくありません。今回は、モッテルリーニが解説する「脳のトラップ」を暗号資産や投資に当てはめ、その影響を探りながら、どのようにこれらのトラップを避けて成功に導くかを考察します。


1. 脳のトラップとは――行動経済学が明らかにする心理的バイアス

モッテルリーニの著書では、私たちの脳がいかに非合理的な意思決定をするかが説明されています。伝統的な経済学では、人間は常に合理的で、全ての情報を正しく処理し、最適な選択をする「合理的経済人」として描かれてきました。しかし、行動経済学では、人間は感情や認知バイアスに影響され、時に自己矛盾を起こすことが分かっています。これは、特に投資や金融市場のようなストレスフルな環境で顕著に現れます。

暗号資産市場では、価格の急騰や急落が頻繁に起こり、それに伴う感情的な反応が投資家の行動を大きく左右します。こうした状況では、感情によって「脳のトラップ」に陥り、非合理な意思決定をしてしまうことが多くなります。


2. 損失回避バイアス――暗号資産市場での大きなリスク

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