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8/5開催「みんなで変えよう!日本の性犯罪規定における問題点」質問回答表

8月5日、ヒューマンライツ・ナウ(以下、HRN)は、JANICグローバル共生ファンドの中間報告イベントとして、『みんなで変えよう!日本の性犯罪規定における問題点』を開催いたしました。

HRNで女性の権利問題に関わる声明や改正案の作成をしている教授1名及び弁護士4名が登壇し、現行の性犯罪規定の問題点と私たちが求める改正案について、事例を用いて解説しました

今回は、時間の関係上、イベント中に回答することができなかった参加者のみなさまからのご質問にお答えします。

質問1
集団で突然部屋に入ってきた人から目隠しされた状態で性行為を受けたという事例について。このような状況で同意した可能性があると考えるのは、どのような社会通念を前提としているのでしょうか。そういう客観状況で、性行為に同意する可能性があると考えるのはアダルトビデオによる認知の歪み?なのでしょうか。
同意していたということが明確に立証できない限り、同意がないと考えるのが当然で、現行刑法で処罰できないのは運用が間違っていると思います。

<回答>
どのような社会通念を前提として,被害者が同意したと思ったという被疑者らの弁解を排斥できないと検察官が判断したのかは判然とはしませんが、加害行為により被害者がフリーズして抵抗できない心理状態に陥るという被害者心理に対する理解が浸透していないのであろうと思われます。

質問2
「性交が不同意であったことを証明するのに、客観的な評価が出来なくなる」という内容がありましたが、もう少し具体的に教えてください。

<回答>
暴行脅迫要件を撤廃し,不同意性交等罪を創設すると,被害者の内心である同意・不同意に犯罪の成否をかからせることになるため,客観的な評価ができなくなる,という指摘があります。
 しかし,「不同意」といっても,被害者のむき出しの内心そのものを評価するように求めているものではなく,言葉や身体的言語で不同意を表明している場合や,被疑者被告人がどのように同意の有無を確認したのかそのプロセスに着目することによって,客観的に評価することは可能であると考えています。

質問3
性交同意年齢の改正案の中で、「18歳未満同士で年齢差2歳以内の場合を除く」という条文案について、諸外国の事例を参考にされたと説明がありましたが、どの国の事例であるか教えてください。

<回答>
 18歳未満同士で年齢差が2年以内を除くという規定そのものについて,具体的に参考にした国があるものではなく,若年者の性的自由や性的人格権を国家の刑罰権から保護するとの観点から,一定年齢差について不可罰とすることを現時点では提案しています。
 年齢差に着目した立法手法として,アメリカのミシガン州,ニューヨーク州,カルフォルニア州,イギリス,フランス,ドイツでは,行為者と相手方の年齢差によって犯罪の軽重を分類している例があります。

もっと勉強したい方は…

HRNが発表した、「私たちが求める刑法性犯罪規定改正案」はこちらからご覧ください。
「私たちが求める刑法性犯罪規定改正案」

HRNが2018年に実施した、10か国の性犯罪規定の比較調査研究はこちらからご覧ください。
10か国調査研究

HRNは、刑法性犯罪規定の論点や検討会での議論をわかりやすく伝え、みなさまの声を国会に届ける活動を、今後も継続して行っていきます。
今後の活動にもぜひご注目ください。

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