地震・津波関連の岩波新書を読む

 特に何らかの防災の節目というわけではないですが、地震・津波に関連する岩波新書を3冊入手し(中古ではありますが)読んだので、簡単にまとめてみます。

1.伊藤和明『日本の地震災害』

 まず、20世紀日本で起こった地震災害を簡潔にまとめた1冊です。やや古くなっており、新潟県中越地震(これは21世紀に入ってから起こったものですが)までしか取り上げられていないということはありますが、それでも地震災害を類型化し、見通しよくその被害について概説しています。図版が多数あり、その特徴や被害について視覚的に確認できるのも大きな特徴です。

2.河田惠明『津波災害』

 次に、津波災害に関して解説する1冊。津波というと、2011年に発生した東北地方太平洋沖地震によって引き起こされた津波被害が思い出されますが、本書はそれ以前(というか2010年なのでその直前)の出版であり、当然東北地方太平洋沖地震の被害については触れられていません。

 しかしながら、高潮や河川洪水などと津波の違いについて図を用いてわかりやすく説明するなど、今なおその内容には学ぶことが多いと言えます。なお、本書は東北地方太平洋沖地震後に「増補版」が発行されています。

3.平田直『首都直下地震』

 最後に、南海トラフ地震と並んでその危険が指摘されている「首都直下地震」について扱った1冊。被害などは当然想定であり、また発生確率に関しても、部外者が期待するレベルでの確度の予測がなされていないので、やや歯切れのよさを感じざるを得ない部分はあります。しかしながら、本書は自然科学的な分析にとどまらず、社会的な側面での「防災」についても紙幅を割いて述べているのは意味のある特徴だと言えそうです。

これら3冊を読む意義とは

 地震や津波の特にその原理については、自然科学的な捉え方を理解する必要があり、部外者には理解しづらい面があることは否定できません。

 しかし、地震はこの島国に生きる以上、避けて通ることができないものであり、その地震に対する知識を高め、防災意識を持っておくことの重要性があるのは間違いないでしょう。コンパクトに地震や津波について学ぶことができる本書を手に取る意義はそういったところにあるのではないかと考えています。

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