人文書を読む(3) 村井益男『江戸城』(中公新書)
もしかしたら、現代人にとって「江戸城」ってどこにあったの?と思わせてしまうような、江戸城はそんな影の薄い存在かもしれません。実際、江戸城の天守閣をイメージできる人は(写真などが残っていない以上当然といえば当然ですが)ほとんどいないでしょう。
本書は、コンパクトながらそんな江戸城について概説しようとする一冊です。中身は歴史学者の書いたものらしく堅実なものになっていますが、教科書的な通史とは違った形で、「江戸城」という歴史的な建築物から「江戸」の歴史へとアプローチできるようにな