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「Threadsさん、匿名希望でお願いします」

昔のこと

記憶の中の発言

 中学生時代(20年近く前)に、割とやんちゃだった同級生がネット掲示板を利用した、なんて出来事がありました。それ自体大したことでもないのに覚えているのは、彼が「自分は名乗ったのに相手は名乗らなかったので頭にきた」みたいな発言をしていたから。

 当時、背伸びしてすでに匿名掲示板の2chなどにアクセスしていた自分には、匿名であることは当たり前すぎて「なぜ、そんな常識も知らないのか」と思ったわけです。でも、今になると彼の発言も「ネットリテラシーが低い」ってだけの話じゃないんじゃないかと考えざるを得ない。

2ch→Twitterへ

 その後、時は流れ、自分も年を取っていくわけですが、2ch(やニコニコ動画)から自然にTwitterへ、という流れでネットを利用してきました。自分にとっては、いわゆる「非リア」的な風土が心地よかったのかもしれません。なので「匿名」は必然であり、また必要なことでもありました。

 確か2chにはVIPという板がありましたが、そこのネタ重視の感覚のようなものがTwitter(の一部)にはつながっている気がします。「匿名」だからこそ生まれる連帯感のようなものがそこにはあったのかもしれません。

Twitter民はThreadsの夢を見るか?

 ここで急に最近の話に飛ぶわけですが、Twitterの「仕様変更」による諸々の制限などにより、Twitterを離れて他のSNSに移住する人が多く出ている状況の今、(かつての)Twitterと「同じように」使えるSNSが求められている状況があるのは否定できないでしょう。

 その有力候補が、つい先日Metaが発表したThreadsであり、実際Twitterから移行している人もちらほら見かけるわけです。でも、ThreadsがTwitter互換のSNSとして認知され、Twitter利用者の大部分がThreadsに移行するかといえば、それは否だと思います。

 それは、上で指摘したTwitterにあるような、ある種の「匿名」さから生まれる逆説的な連帯感がThreadsには希薄だからです。もちろん、ThreadsはFacebookのように実名参加が基本の場所ではありません。しかし、Twitterに感じられるような「匿名」性がThreadsにはあまりないように思えます。

 それを典型的に示すのが、同じくMetaを運営するInstagramやFacebookと同様の「非時系列で、フォローされていない人も混ぜ込まれてくる」タイムライン(ホーム画面?)です。そこは、居心地のいい「顔の見えない」しかいない場所ではなく、強制的に実社会を意識せざるを得ない著名人の投稿などが割り込まれてきます。きっと、これはある種のTwitter利用者にとっては苦痛なのではないでしょうか。

これからのことは誰も知らない、けれども

 正直、これからTwitterとその流れをくむSNSがどうなっていくのかはわかりません。状況は今なお刻々と変化しているし、またそれは続いていくでしょう。もしかしたら、Twitterが持ち直していくかもしれないし、ここでの予想に反し、Threadsがどんどん「Twitter化」していくかもしれません。

 SNSは「匿名希望」のあなたへ。Threadsが思い通りの場所でなくても、しばらく滞在してみませんか。新しい世界が開けるかも。そして、それがいいか悪いかを判断するのはあなた自身です。


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