山中篤太郎の価値観を継承する
日本の中小企業研究史において、英雄と呼ばれるべき人物を一人あげるとしたら、山中篤太郎 (1901-81) になるだろう。山中の主著は、間違いなく1948年の『中小工業の本質と展開』である。戦前の中小企業研究はすべてここに流れ込み、戦後の中小企業研究はすべてここから流れ出す。
山中は、「国民経済構造論」と言うべき立場を確立した。中小企業はそれ自体として論じられるべきではなく、国民経済構造の矛盾が顕現したものとして論じられるべきだという立場である。すなわち、山中の言う中小企