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メルマガ創刊20周年に向けて(前編)

※一昨年度と昨年度の2年間、2002年10月に創刊したメールマガジン『ごかいの部屋~不登校・ひきこもりから社会へ~』のバックナンバーから厳選した100本の掲載文を転載してきました(字句や一文など小幅な修正をしている場合があります)。

※昨年度の最後にお伝えしたように、今年度からはメールマガジン(メルマガ)にかぎらず過去に書いた文章を毎月1本、時系列に転載することによって私の自称 “体験的不登校・ひきこもり論” の進展をたどりながら理解と対応の参考にしていただけるよう進めていきたいと考えています。

※先月は、ひきこもりが終わってからの活動として自費出版した雑誌に掲載した記事の一部を転載しましたが、その後2001年10月に「ヒューマン・スタジオ」(ヒュースタ)というスペースを開設しました。ヒュースタは当初「教育相談」「世代別フリースペース」「学習支援」「ワークショップ」などを揃え、子どもからおとなまで多様な人々が出入りできる “交流スポット” をめざしましたが、閑古鳥が鳴く状況を踏まえて2003年度から現在の「不登校・ひきこもり相談室」というスタイルになりました。

※今月は、当時発行していたニューズレター『ヒュースタ通信』から「設立10周年記念イベント」と「『ごかいの部屋』創刊10周年記念懇談会」(ご10会)の報告記事を、掲載紙の発行順を逆にして一部編集のうえ転載します。自慢や宣伝が入っていますが、ひきこもり研究で有名な石川良子氏の10年前の発言、林恭子氏が自著でもふれた「初の当事者自身による当事者発信イベント」開催のきっかけ、といった裏話的な内容が10月にオンライン開催する「『ごかいの部屋』創刊20周年記念イベント」に向けての予備知識になりますので、ぜひご一読ください。

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「ご10会」開催報告――石川良子氏のご感想

(2012年)12月15日、「『ごかいの部屋~不登校・ひきこもりから社会へ~』創刊10周年記念懇談会」(略称「ご10会」)が開催されました。
 読者であるなしにかかわらず参加者を募りましたが、全員が愛読者や読んだことのある方でした。それでも遠方からの方を含め、親御さん、当事者、研究者、支援者と、あらゆる立場の方が揃っていたことが好評でした。
 第1部では、まず「読者メッセージ」の読み上げと寄稿者の紹介に続き、執筆の思いと趣旨に関する解説が、筆者により行われました。
 解説は、筆者がこれまでにしてきた話の再構成のようなものでしたが、最後に「当事者が求めているのは結果よりプロセス」という初めての言葉で、珍しく時間内に締めくくり、予定時間どおりに愛読者による生レビューのコーナーへ。
 まず社会学者の石川良子氏(筆者注:現松山大学)が「バックナンバーを全部読み返したが、10年も書いているのに全然ぶれない。悩んでいる人は読んでいて変わられたら困るので大切なこと」と、有名な斎藤環氏の記述の変化を引き合いに出しながら絶賛。
 さらに「昔は読んでも理解できなかったことが今は理解できるようになり、自分の10年も確認できた」と語り、歳月の重さを感じさせました。

「ご10会」開催報告――どのように読まれていたか

 次に、当事者であり筆者との親交も長い勝山実氏、本紙がおもな読者に想定している親御さんとしてNM子氏とYK子氏、の順で感想が述べられました。
 勝山氏は「バックナンバーを読んで<相手が歩いていく方向についていく>という方針がよくわかったが、メルマガを読む当事者は少ないのでぜひ単行本化を」と、いつもながらのユーモア交じりで本の先輩著者として筆者を激励しました。
 NM子氏は「我が子の不登校に対して表面的なことしか思いが至っていなかった」と述懐し「そんな自分を原点に引き戻してくれる」「読んでいなかったら傲慢な母のままだった」と、読んでいる効用と筆者への感謝の気持ちを語りました。
 YK子氏は「本人のみならず親の気持ちもわかったうえで書いている」と評したうえで、やはりわが子の不登校に際して「『<願い>と<思い>』の記述は悶々としていたときに読んだ」など『ごかいの部屋』に支えられた経緯を語り、やはり筆者に感謝の意を伝えました。
 第2部では、筆者のコーディネートで会場が全員参加するフリートークが行われました。
 若手社会学者である関水徹平氏(筆者注:現立正大学)の「< “復帰しなくていい” は肯定することにならない>や<人生は一本道>といった記述に衝撃を受けた」という『ごかいの部屋』へのご感想はもちろん、親御さんから当事者への「将来わが子がひきこもったらとうする?」というご質問、教育学者の加藤誠之氏(高知大学)と親御さんと当事者の「アルバイトや就職に必要な学歴が高くなっていること」についての会話、等々話題は多岐にわたり、立場の違いを越えて本音の話が交わされました。
(最後の段落略)

初出:ヒューマン・スタジオ機関紙『ヒュースタ通心』第2号(通算38号)(2013年2月28日)

                           <後編に続く>

不登校・ひきこもりに関する研修費に充て、相談支援のスキルアップと充実したメルマガ掲載文執筆に還元させていただきたく、よろしくお願い申し上げます。