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最後の「青少年支援セミナー」での重要な指摘(後編)

2日目「講座」

 セミナー最終回の最後の日ということで、この日は「セミナーの歴史展示コーナー」として、パーテーションに沿ってテーブルを並べ、過去19回のセミナーの案内チラシと機関紙に掲載された報告記事が配置されました。

 丸山の講義が毎回評判の「講座1」の今年のテーマは「家族コミュニケーションを考える」。昨秋以来各所で講義してきた内容の一部を進化させ、より詳細な “丸山式コミュニケーション論” が展開されました。

 受講者がレジュメの記入欄に自分の考えを記入したり、場面に応じた受け答えを考えて挙手したり発言したりといった実習的な要素を挟みながらの講義が好評のようでした。

 また最後に、1日目にもご出演くださった過去のセミナーのご出演者のひとりである堀内和彦氏がご挨拶くださいました。

 2回続けて「学者枠」(転載者注:石川良子氏と関水徹平氏)だった「講座2」は、今回はテーマの関係で初めて当事者をおふたりお招きしました。

 まず丸山が、機関紙「ヒュースタ通心」最新号(前号)に掲載されたコラム『当方見聞読』を読み上げ、構想を進めている「在宅生活支援」を中心とした「スロープ型支援システム」について説明。階段を昇らせるような一般的な支援ではなく、スロープを進むような支援の必要性を訴えました。

 続いておふたりの当事者に、体験談と利用した支援、ほしかった支援をお話しいただきました。

 ひとり目のSさんは、2度の解雇をきっかけに20代半ばの3年間をひきこもり、親戚の葬儀への出席をきっかけに外出できるようになって、支援情報をあたって安い居場所に通ったのち「不登校情報センター」に定着。その間、ハローワークのキャリアカウンセラーの言葉に救われたり、若者サポートステーションでうまく行かなかったりした経験を含め、実感こもった語りが印象に残りました。

 ふたり目のMさんは、小学校1年生からひきこもりに至る長い経験のなかで、親の理解があり家庭が居場所であったこと、しかしおとなになると学校に行っていない頃に比べプレッシャーが強くなって外出できなくなったこと、居場所で知り合った方の誘いでいろいろな場に参加するようになったことを語ったうえで、床屋に行くと「何やっているか」と聞かれるのを恐れて髪が伸び放題になって、人目が気になって外出できず、ますます外見が気になっていくという悪循環に陥ること、久しぶりに外出するとすれ違う人を避けられなかったこと、歯が悪くなっても歯医者に行けず、我慢できなくなって歯医者に行ったときに貧血で倒れたこと、などを語り、髪を切ってもらったり服装をコーディネートしたりする支援が必要ではないかと語りました。

 また、おふたりとも将来の葬儀や遺産相続、名義変更の方法など行政手続きをともなう知識・情報の提供やそれらを実行する際の同行者がほしい」という点で一致し、ひきこもりの長期化=高年齢化にともなうニーズがうかがわれました。

 最後に、過去のセミナーのご出演者でありながら1日目にご都合が合わなかった関水徹平氏がご挨拶とこの講座のご感想をくださいました。

 20回に及ぶセミナーも、いよいよ大団円。半数以上の参加者が残ってくださったなか「終了式」と銘打ち、会場の青少年センター別館の担当課で、セミナーにも2回一般参加してくださったことがある職員の方によるご挨拶と県の施策のご説明、この日司会をつとめた増田康仁氏と会場スタッフをつとめた桑原和也氏の、スタジオスタッフでありセミナーに何度も出演した両名の挨拶、そして丸山の挨拶を行い、万雷の拍手のなか20回を数えたセミナーは幕を下ろしました。

初出:メールマガジン『ごかいの部屋~不登校・ひきこもりから社会へ~』号外(2014年3月28日)

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※私がやっている「ヒューマン・スタジオ」(ヒュースタ)では、2002年12月から14年近くの間に「青少年支援セミナー」を20回開催しました。「当事者パネルトーク」は、最後の3回に盛り込んだプログラムです。先日開催したメルマガの創刊20周年記念イベントにご参加くださった方には文中上がった名前から同イベントの内容を思い出していただき、ご参加なさっていない方には同イベントの雰囲気を想像していただければ幸いです。

※先月は投稿できず申し訳ありませんでした。来月も過去の文章から不登校・ひきこもり理解につながるものを選んで転載いたします。

※ヒュースタでは、家族会「しゃべるの会」を開催いたします。今月22日(土)は不登校編、11月5日(土)はひきこもり編です。どちらもZOOMを使用しますので、ご家族なら全国どこにお住まいでもご参加いただけます。 ↓ の公式ブログ記事をご一読いただき、末尾にリンクしている告知ページで詳細ご確認のうえ、よろしければお申し込みまたはご紹介をお願いいたします。

※前述のとおり、メルマガは創刊20周年を迎えました。今後も私の “体験的不登校・ひきこもり論” を綴る「コラム」を3か月に1本、ヒュースタと私の活動情報や不登校・ひきこもり分野の情報を伝えるコーナーを毎月入れ替わりで、それぞれ掲載してまいります。ご関心の方は ↓ の配信サイト右上にメールアドレスをご登録ください。毎号確実に届きます。


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