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ひきこもり対応のフェーズが変わった2019年(後編)

待ち受ける新たな課題とは

 このような、事件を契機とした社会状況の変化を見ていると、「ひきこもりをめぐる状況は新しいフェーズ(段階)に入った」と感じます。
 それは、事件が起きたからではなく、それまでの10年20年という私を含む当事者や関係者の活動が、事件を契機に影響力を発揮し始めた、ということなのだろうと思います。

  ただ、そのフェーズには新たな課題が待ち受けています。
 
 メディアで発言した当事者や関係者の多くが「隠さずに “助けて” と声を上げてほしい」「家族会や当事者会に参加してほしい」などと訴えており、そのとおりではあるのですが、特に相談の分野では本人や親御さんに対応するスキルを持った人が少ないため「今回のことでやっと相談に行ったのにうまくいかなかった」と失望して再び声を上げなくなる人が急増する恐れがあります(自戒を込めて)。
 
 2017年度の時点ですでに「相談や支援の利用を途絶した経験を持つ人が約45%」という調査結果を、前掲のKHJが出しているほどです。
https://www.khj-h.com/investigation/1367/
 
 したがって、次のフェーズは「相談を受ける側」「支援する側」が、本格的に問われる時代になるでしょう。
 
 もちろん、前述の報道のなかでもしばしば紹介された「暴力的支援団体」がその手始めであるべきなのは言うまでもありません。そういった団体を批判する報道や動きも出てきています。
 私も、ヒューマン・スタジオの「研究開発業務」で提言づくりをめざすテーマのひとつとして、この問題に取り組んでいきます。

初出:「当方見聞読」欄『ひきこもり対応は次のフェーズへ』<メールマガジン『ごかいの部屋~不登校・ひきこもりから社会へ~』第236号(2019年6月26日)

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※1999年にひきこもり状態から動き出してちょうど20年。その私から見た2019年は、ひきこもりの歴史上最大の転換点として記録される1年だったという印象です。ただ、この年マスコミに取り上げられたのは、安易に取材に応じる悪徳支援業者、当事者団体である「ひきこもりUX会議」、家族会の全国ネットワークである「KHJ全国ひきこもり家族会連合会」などに限られ「情報の偏り」を感じました。私の場合は、某雑誌に載ったコメントとカバー画像にした「朝日新聞神奈川面」の記事だけでした。

※今回転載したコラムを掲載しているメールマガジン『ごかいの部屋』の今月号は、昨年度まで100本を転載していた掲載文のような長文を転載する順番ですので、ご関心の方は ↓ の案内ページから読者登録をお願いいたします。

※来たる3月25日(土)夜、私の「ヒューマン・スタジオ」が通年開講している連続講座「ヒュースタゼミナール」が最終回を迎えます。その前半の講義をご聴講くださる単発受講者を募集しております。ほかでは聴かれないであろう内容も含まれていますので、家族支援(相談・家族会)の現任者や志望者はもとより関心ある方は、 ↓ の公式ブログ記事をご一読いただき、末尾にリンクされている申込フォーム付き告知ページをご覧のうえ、よろしければご受講またはご紹介をお願いいたします。


不登校・ひきこもりに関する研修費に充て、相談支援のスキルアップと充実したメルマガ掲載文執筆に還元させていただきたく、よろしくお願い申し上げます。