【海外イベント紹介】The COVID Tracking Project: 0 to 2MAPI Requests in 3 Months
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今回は、「Jamstackカンファレンス Virtual May 2020」で行われたプレゼンテーションから、「The COVID Tracking Project: 0 to 2M API Requests in 3 Months」の内容をご紹介します!
10年以上の歴史を持つ「Jamstackカンファレンス」は、Jamstackの生みの親であるクラウドコンピューティング企業「Netlify」が主催。世界中の開発者が集い、Jamstackをコンセプトとした最新のWebサイトの設計、開発などについて話し合います。プレゼンテーションの言語は英語ですが、本ブログでは日本語でご紹介します。
日本ではまだまだ知名度が低いJamstack。日本の皆さんに、Jamstackをより身近に感じてもらえることを期待しています!
コロナウイルスのパンデミックが本格化しつつあった2020年。
アメリカである問題が発生しました。
アメリカ疾病予防管理センター(CDC)が発出する情報の精度が、統計学的に使い物にならなくなってきたのです。そのため、「各州の保険所が個別に出している統計情報を一つにまとめよう!」と、有志のメンバーでプロジェクトが結成されました。
今回の記事では、
プロジェクト結成の経緯
プロジェクトのサイトをJamstackで構築した理由
について解説していきます。
― プロジェクト結成の経緯 ―
1. 母数(検査数)の欠如
陽性率は、ある地域の人口を母数とするのではなく、検査数を母数とすることで算出できます。例えば、人口1,000人の村で陽性者が2名だったとしても、検査数が10件であれば20%の陽性率ということになります。
アメリカ疾病予防管理センター(CDC)は、当初は検査数と陽性者数を発表していました。しかし、途中から検査数の発表を取りやめてしまいました。つまり、母数がわからないため、陽性率を知ることができなくなったのです。
一方で、各検査機関には、州の保険当局に陽性率を報告する義務がありました。そのため、手分けをして、米国内にあるすべての保健所のサイトから検査数のデータを収集、スプレッドシートにまとめて公開しました。そこから、国内の感染の広がりや陽性率を推し量ろうとしたのです。
2. 感染状況追跡プロジェクト
このことがメディアで報じられるようになると、本腰を入れて行うためにボランティアが募集されました。本講演者のエリン・キセイン氏は、その呼びかけに応えた一人です。
一刻でも早い対応が必要だと考えた彼女は・・・
友人の優秀な開発者に連絡し、4日後にはサイトをリリース
その後1カ月間でサイトのデザインを強化
由緒ある国家機関であるCDCがデータを提供できないまま、自然発足した民間のプロジェクトが、米国における包括的な感染率を図る唯一のデータ供給源となったのです。
3. 社会のニーズに応える
やがて、さらに多くのメディアや地方局が、このデータを頼りに、コロナウイルス感染の社会的なインパクトや地元への影響、ほかの州との比較状況などを把握するように。プロジェクトは、いつの間にか「公共データレスキュー」という大きな意義を担うようになっていました。
そして、最終的には数百名のスタッフが参加。そのなかには、公衆衛生の専門家、データサイエンティスト、デザイナーなどの専門職のほか、「これといったスキルは無いがぜひとも協力したい!」と、データの発掘や入力に時間を割いた一般の方々もいます。
― プロジェクトのサイトをJamstackで構築した理由 ―
4. サイトのリニューアル
サイト立ち上げから急速に人材と注目が集まった結果、1ヶ月後にはよりプロフェッショナルなサイトに作り変えることになりました。それが現在でも稼働している以下のサイトです。
このサイトは、以下の技術で作られています。
結果として、APIリクエストが1日に200万を超えるサービスを、わずか3ヶ月で安定的に稼働できるようになりました。
5. サイトの堅牢性
4月29日にサイトのトラフィックが極端に増加しているのがわかります。この日、ホワイトハウスが本プロジェクトのデータに言及し、政策を発表しました。
特筆すべきは、このとき、プロジェクト関係者がサイトに何の異変も感じなかったということです。トラフィック激増の影響を受けることなく、サイトはいつものように稼働したのです。
なお、2021年3月7日を持って、このプロジェクトは役割を終えました。現在は、「政府が提供するデータを参照するように」とのメッセージが表示されています。
6. まとめ
社会的意義のあるサイトを、わずか3カ月で安定して運用できるまでに構築できた本実例は貴重です。
彼女は、講演の中で「Jamstackが無ければ実現しなかった」と述べています。
いかがだったでしょうか?
今回は技術的な学びというより、本講演者であるエリン・キセイン氏の当時の回顧録から、以下の事実が裏付けられたのではないでしょうか?
Jamstackには、
スピード
安定性
トラフィックの処理
の面で、ほかでは決して見いだせない優位性があるということです!
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
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