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甘い見込み、淡い期待では経営はできない!だからこそ!経営の勉強と練習が必要なんです!



経営者になりきれていないことが厳しい現実を招く

前回の記事で、「経営者になりきれていない」研究者・技術者系の社長さんのお話を書きました。

私自身、ベンチャー企業支援をしていて本当に痛感しているのですが、やはり「経営者になるための勉強」や「経営の練習」は必要です。

我が国には、経営を練習する場がなく、このために「経営の感覚」がないまま借金をし、いきなり経営の本番にあたるという例がほとんどだと思います。

そして、このことが、ベンチャー企業の経営者に本当に厳しい現実を突きつけるのです。そのような例をたくさんみてきました。

例えば、前回の記事でご紹介した「検査キット」を製造・販売しているベンチャー企業では、なかなか思うように売上が上がらず、社長は無給で2年間も頑張っています。

もちろん、「イヤイヤ、起業したんだからそんなもんでしょ。ベンチャー経営者で何年間も無給の人を何人も知っているよ。」という人もいるでしょう。

でもです、社長だけならいいんです。その覚悟で起業したのでしょうから。
ですが、奥さんは?子供たちは?

ベンチャー企業の経営者といえども、生活はあります。家族もいます。学校や行事ことなどでお金も必要です。

そうであるならば、「無給」で働くハメにならなくとも、ある程度の役員報酬がもらえるような体制を構築できるに越したことはないはずです。

ベンチャー企業の経営者にとって、「無給」や「苦難」は必要条件ではないはずです。

ですが、ベンチャー支援の最前線で見てきて、「素晴らしい技術」「素晴らしいアイディ」を持っている経営者の人たちが、本当に厳しい状況に立たされている例を私は多く見ております。

ペプチドドリームという会社から得られた教訓

じゃあ、どうすればいいのでしょうか?

大学院などの研究で、「世の中を変えるほどの研究成果が出た」とか、「画期的な技術を思いついた」とか、世の中に出すことで、多くの人の利便性を良くしたり、時には命を救う可能性があったりする研究成果や技術を、

「貧乏になるのが嫌だから」とか
「リスクを負うのは嫌だから」

という理由で出さない手はないですよね。

じゃあ、そのような研究系・技術系のベンチャー企業の経営者はどうすればいいのでしょうか?

ここで、「ペプチドドリーム」という会社をご紹介したいと思います。

ペプチドドリームとは何か?

そもそも「ペプチドドリームとは何か」ということからご説明します。

自然界には、生物種特有の物質を持つ生き物が存在しますが、人類は、そうした天然由来の物質が「奇跡の薬」として利用され、多くの人々の命を救ってきました。 そうした物質の働きには、体内には存在しない「特殊アミノ酸」を合成して生み出される「特殊ペプチド」によるものが多数存在するそうですが、 バイオベンチャーのペプチドリームは、この特殊ペプチドを人工合成し、創薬に結びつけることに世界で初めて成功した会社だそうです。

ペプチドのイメージ

私もベンチャー支援で大学発のベンチャーとか、創薬ベンチャーと関わってますが、研究開発型ベンチャーは、非常に「 0→1や2」に持っていくのが難しいという印象があります。

どうしても、研究開発にお金と時間がかかるとともに、その後の販路開拓のノウハウがなかったりするからです。

このペプチドドリームですが、 2013年6月に東証マザーズへ上場。その後、2015年12月に東証1部へ変更を果たしたそうです。

お金のかかる研究開発型ベンチャーがなぜここまで行けたのか?

研究開発型のベンチャーがなぜ、そこまでいけたのか?
ベンチャーキャピタルの支援も大きかったようですが、同社HPに下記のような説明があります。

『現在のペプチドリームには、フレキシザイム技術の他にも、ライブラリーをつくる独自技術、FITシステム、スクリーニングの独自技術、RAPIDディスプレイがありますが、 これらは創業後に窪田氏による知財戦略とともに生み出していったものでした。

ゼロスタートのベンチャーが大手と対等に渡り合って利益を出していく。 まさにバイオベンチャーの理想形を実現したのも、独自技術開発と知財戦略が鍵だといいます。」

「こうした戦略が功を奏し、ペプチドリームは第二期から継続して黒字安定傾向を続けているといいます。現在は、世界の大手製薬メーカー14社とアライアンス・パートナーとして契約しています。」

同社HPより

ということで、
同社が知財戦略をしっかと構築したことの成果があるようです。

さらに、HPの記事は続きます。

『フレキシザイム技術を見た時、「必ずこの技術は必ず成功する。成功させたい!」という気持ちが強く湧きました。それで投資させていただいたのですが、 一緒につくった事業計画、覚えておられますか? 

窪田さんと一緒に数字、売り上げ、計画を立てて……創業6~7年目で売上10億円ぐらいの計画だったんですよ。」

同社HPより

といことで、ベンチャーキャピタルが一緒になって、「数字の側面」からも事業計画へとしっかりと落とし込んでいることが分かります。

そして、研修開発型のベンチャーは、私が支援で関わったところは、正直、この部分が弱いように感じてます。

その理由は、前回の記事でも書きましたが、社長が研究者であって、経営者になり切れてないからです。また、財務や資金管理などが分かる右腕のような存在がいないといくことも理由として挙げられます。

なお、ベンチャー支援機関による伴走支援なんかもあるのですが、その人たちを見て、話していて感じるのですが、サラリーマンや公務員で、よく分かってない 感じが私にはしてました。

自分でリスクをとって、靴底減らして営業にいったり、資金調達に駆け回ったり、資金残のことで夜も寝れない日々を過ごすなんて経験をしていないので、経営のことや経営者の苦悩などが感覚としとよく分からないのだと思います。

ただ、これは仕方のないことですよね。
起業するというのは、そのようなことを承知でするものですので。

ペプチドドリームを参考にしたある社長のポスト

なお、このペプチドドリームを模範とした、とあるベンチャーの社長がxに次のような投稿をしております。ちょっと抜粋してご紹介させていただきます。

資金調達せず、黒字でバイオスタートアップ起業しててすごいですね。とよく言われるが、 うちにはモデルが存在する。 それは「ペプチドリーム」だ。あまり知名度は無いが、世界から求められる技術を持ったバイオベンチャーだ。

その創業者の窪田さんのマネをしながら、こうしておけばよかったというところを修正したのがうちの会社だ。 ペプチドリームと同様に

固定費は最小限の雑居ビルを使う」
「人事総務経理等バックオフィスは上場前まで全部自分でやる」
「机や椅子は捨てられている物をただで貰ってくる」
「資金調達は最小限で、むしろしない方が良い」
「黒字で成長できるビジネスモデルを構築し、実行する」
「贅沢を一切せず全て研究開発につぎ込む」

などを行っている。

ペプチドリームほどすごいモデルは構築できていないかもしれないが、地盤を固めて利益を出しながら成長できている。 この先も世界からこぞって求められるスタートアップに成長させていく。」

本当に 色々と示唆に富むお話しだと思います。

上記を読んで、「こんなの当たり前じゃ?」と思われた方もいるでしょう。
ですが、国も地方自治体もベンチャー支援を厚くしている昨今、出資などの資金調達がしやすい環境が我が国でも整ってきており、お金を集めやすくなっています。

そして、そのことで「見込みの甘さ」、「資金管理の甘さ」が見過ごされているのです。

例えば、私が、ベンチャー支援にあたっているセンサー系の会社は、1億円以上の資金調達を達成しましたが、思うように営業・販路開拓が進まず、しかも、役員の全てが大学院の研究系出身者であるため、人件費が相当かかり(売上が少ないのに)、資金をどんどん溶かしている状況にあります。

つまり、センサーを販売する相手先であるプラントや工場などへの販路開拓の見込みが甘かったんですね。大型のプラントなどは、法定検査などが義務付けられているようですが、そこにはすでに既存の検査会社が入ってます。

そこを蹴落として受注するためには、どのようなルートで、どのような提案が必要なのか?そこに到達するためには、どの程度の時間がかかり、どのくらいの運転資金が必要なのか?

こういったことを経営者であれば、事前に考えておかなければならなかったのです。

このように、上記のポストやペプチドドリームの例にもあるように、経営者であれば、「いい物を作れば売れるだろう」なんていう淡い期待や憶測で見込みを立てることなんてしません。

新しいものや、世の中にない物を開発し、それを世の中に広げるには、相当な労力がかかり、そのための「ヒト・モノ・カネ・情報」が必要となるため、しっかりと資金的裏付け、数字による裏付けをつけた計画をたて、実行していくということを行うはずです。

ですが、経営者になりきれていない人は、この部分が非常に甘いのです。
そして、これは「経営者になるための学び」や「経営の練習」をすることで「感覚」として身につける以外にはありません!

どうやって経営の練習をするの?

上記のようなことから、私はベンチャー支援や中小企業の社長さんたちにお伝えしています!「一度、経営の練習をしましょう!」と。

どうやって?
そのために、私が開発した「ビジネスゲーム」を使った「シミュレーター法」による方法を提唱しております。

このビジネスゲームでは、「ボードゲーム」の中で、会社を経営してもらいます。
自分自身で下した経営判断が売上高や利益額、ROAやROEなどのビジネス数字にどのように現れるのかを自分で数字を出すことで確かめてもらい、経営感覚を身につけてもらうのです。

「そんなゲームなんかで経営が身につくの?」
と思われた方もいるでしょう。

例えばです。

資金調達において、「株式発行」と「銀行借入れ」のどちらを利用するのがいいのでしょうか?

自己資本比率に対する影響は?
・支配比率に対する影響は?
・キャッシュ・フローに対する影響は?
・企業価値に対する影響は?

これらのことは、会社経営において重要なことですが、本を読んだくらいでは「分かったつもり」になるだけです。ですが、ビジネスゲームでやってみて、どうなるのかを「確かめて」みることで、より理解でき、いざ本番のビジネスにおいてそのような場面に出くわした時には対処ができます。

また、設備投資はどうでしょうか?
予定よりも操業度が下回ったら、どのような影響を受けるでしょうか?

原価はどうなるのか?キャッシュ・フローはどうなるのか?
減価償却において税法上の「法定耐用年数」を使ったもので本当に「経営情報」としては有効なのでしょうか?
固定費の管理はどうすべきでしょうか?

このように「やってみないと分からない」ことが多いのです。

「有能な研究者・技術者=有能な経営者」ではないのですから、やはり、研究系・技術系経営者は、「真に経営者になるべく」、ちゃんと学ばないといけないというのが私の人財育成事業への想いです!

以上、車の運転、スポーツ、なんでもそうですが「練習」と「学び」は必要ですよね。そこで、私のような人財育成のプロフェッショナルの出番となるわけです。

私の持つ、ノウハウと知識が、経営者の育成、人的資本の構築にいくばくかのお力になれると思います。

ぜひ、会社の経営でなかなか成果がない方や、人財不足や人財育成でお困りの方、事業の将来性が不安な方などは、お問い合わせください。「人づくりは、国づくり」そして「会社づくり」の精神で人財育成に従事しております!

自己紹介の記事はこちら
お問い合わせ先→hirai@m-cass.co.jp

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