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#3 ブラック勤めのオンナの逆襲 〜オトコの嫉妬と逆恨み〜

数年前、年上だけど部下に当たる男性がいた。肩書は「製造部の責任者」

私は営業部でかつ、全体の店長的な役割。まあ、総括だね。

オーナー社長から、一目置かれたいその彼は、

「はいっ、すぐやりますっ!」

「わかりましたっっ!」

社長の前では、兵隊のごとく即返事・即行動。報連相(ホウレンソウ)もお手のもの。キビキビ動くその姿はまるで軍隊。敬礼すらしそうな勢いだ。

ところが、社長がいないときの彼は態度が180度変わる。

「オレ、それ言われてないから知らないよ」

「おまえがスケジュール組むって言ったじゃん
 知らないからな」

まるで舞台女優のごとく、声も態度も七変化。あの才能、他で生かせば出世しただろうに。私は勝手に「女優A山」と名付けた。

(意地が悪いな、かかわるのやめておこう)

それ以来、挨拶もしなくなり最低限の伝達で済ます。

それでも、地味な嫌がらせが続いていた。

私があと10歳、年(とし)が若ければ泣き出していたかもしれない。残念だが、泣くほど辛くはない。むしろ腹が立っていた。

(私個人ならまだしも、営業に差し支えたらどうしてくれる、お客様や代理店にも迷惑がかかる)

そんな嫌な予感は的中する。

「あら?◯日に納品予定のものは?
 昨日までに上がってるはずですよね?」

納品予定の商品が見つからない。取引先へは納品日まで伝えた後だった。

できてない、は非常にまずい。

これは、まずい。

犯人は、

ヤツだな…。

コノヤロウ…。

そんな気持ちはおクビにも出さない。出したら相手の思うツボだ。

立場もある。
冷静に。
淡々と。

「Aさん、昨日上がり予定のもので出来てないものありますか?」

「ないよ」 ボソ

「??出来上がってるんですよね?
 明日か明後日には、納品なんですけど…」

「………」

そこへ社長登場。

「どうした?」

「あー、納品予定のものが見当たらなくて…、
 出来上がってるはずなんですけど…」

所定の場所(白箱)にはない。

「おいA山、モノは出来上がってるんだろ?」

「はい」

ふと斜め上をみると、所定の場所とは違うところに商品が置いてある。梱包前の商品を置く場所(赤箱)。

そう、彼はわざと所定の場所とは違うところに置いていた。

そこで社長から聞かれる。

「いつもはどうしてる?」

正直に答えた。

「梱包したら納品予定の場所(白箱)に移動して
 営業がそこから持ち出します」

その一言で突然、女優A山がキレた。

続く。

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