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心の病気が良くならない核心的な理由

私の本業は医療従事者です。
主に精神疾患と内科疾患を専門分野としています。どちらかというと、精神障害者の方と接してきた期間が多いです。
「この病気は良くならないのですか?」とたまに精神科の患者さんから相談や質問を受けます。
良くなる、良くならない・・・はっきりとは答えることができません。
しかし、いつまで経っても良くならない理由は、おおよそは理解しているつもりです。
その、心の病が良くならない、おおよその理由を今回は書いていきたいと思います。


1.薬だけに頼っている

精神科の患者さんも他科の疾患と同様、お薬で治療(薬物療法)していくことが基本です。
しかし、私から考えると病院で出されるお薬は対処療法が多いものです。
不安が強ければ、不安の症状を抑える薬が処方される。
イライラ(焦燥感)することが多ければイライラを鎮める(興奮を抑える)薬が処方されます。
だいたい、こんな感じで病院ではお薬を出されることが多いです。
これは、精神科だけでなく、他科の治療でも同様です。
血圧が高ければ、原因を加味しての血圧を下げる薬が処方されます。
腹痛だとすれば、同様に原因を加味しての薬が出されます。
もちろん、お薬を飲むことは大事です。
しかし、お薬も大事ですが、もっと大事なのは、その病気の原因は何なのかを知ることです。
 

2.病気の原因を知ることが大事

精神科での治療は、薬が中心ですが、様々な原因が絡み合っている心の病気の治療を、薬だけでどうにかしよう、良くしようとすることには、相当無理がある、と私は考えています。
未だに、医師が処方する薬だから、ちゃんと薬だけ飲むことを守れば、そのうち良くなると思っている患者さんは非常に多いです。
何度も言いますが、これは精神科分野の患者さんだけではありません。
あなたの病気は、何故生じたのか?
ここをしっかりと押さえておくことが、病気を治療していく上で非常に大事です。
どんな病気も、薬だけ飲んでいれば良くなるというのは誤った考えです。
あなたは、何故、この病気に罹ったと思いますか?一度じっくりと考えてみる必要があります。

3.病気の原因は大きく分けて2つ

病気の原因を説明する言葉に2種類あります。
①    先天性とは
生まれつき身体のどこかの場所に異常がある病気や障害のことです。
一般には原因がよく分かっていない場合が多いです。分かっているものも有り、大きく分けると4つの種類があり、染色体によるもの、遺伝子によるもの、多因子によるもの、環境因子・催奇形因子などによるものが有ります。
脳や骨、筋肉など身体のあらゆる場所で生じる可能性があります。
 
②    後天性とは
生まれた時は正常ではあったものの、人間生活を送っている途中に事故や環境など様々な事柄を原因として持つこととなってしまった病気や障害のことを言います。
 
大部分の先天性、後天性の病気は、薬の服用と併用しながら、何らかの工夫をしていくことで、病気や障害を完全に治らないにしても、生活に大きな支障なく、良くしていくことは可能だと私は思っています。
病気や障害が軽減してくると、お薬も減ってきます。
中には、薬を服用する必要性が無い状態まで回復している患者さんも居られます。
 

4.薬の服用と併用しながら、何らかの工夫をする

ここで、テーマが「心の病」なので、話を戻して精神科領域の病気に重点を置いて書いていきます。
まず、私が思うことが一つ有ります。
それは、大部分の精神科の患者さんは、薬さえ飲んでいれば心の病気が良くなると思い込み過ぎています。
「薬を飲んでいるのですが、全然良くならないんです。この薬、効いていないと思うんです。」とよく患者さんから聞くことが多いです。
「そうですか、薬はちゃんと飲んでいるんですね。薬以外に何か病気を良くするためにしていることは有りますか?」と患者さんに問うと、「いや、別に・・・」と言い、ほとんどの患者さんが、黙ってしまいます(笑)
そして、私は、「薬は、症状を良くしていくのにとても役に立ちます。でも、薬で心の病気の問題の全てが解決出来る訳ではありませんよ。」と答えています。
そして、「○○とかしていますか?○○はどうですか?○○もした方が良くなると思いますよ。」とアドバイスしますが、実行に移す人は少ないです。
今の時代、インターネットや書物などで、心の病気に対して薬以外で改善していく方法などが多く書かれています。
 
例えば、
・散歩や軽い運動を取り入れる
・しっかりと栄養バランスの取れた食事を摂る(メンタル疾患の治療は栄養を考えることも、凄く大事です)
・野菜を摂る
・生活リズムを整える
・日光を浴びる
・カウンセリングを受けてみる
・睡眠時間を7時間はとる
・飲酒はしない(精神疾患の人は、これは大事です)
・禁煙する
・日中、活動と休息をバランスよく取り入れる
・自身の病気を調べて、自身の病気のことを学ぶ
・病気を良くするために情報を集める
・家に引きこもらない
・医師や他の医療従事者と良好な関係を持つ
・人間関係に困らないように本を読んで学ぶ
 
など、心の病気を良くするために多くの情報を手に入れることができます。
それらを、実行していますか?っていうことです。
 
薬を服用する以外、何もしていないのであれば、良くなるはずの病気も悪化し、良くなるはずがありません。
これを理解しているかしていないかで、全く病気の状態は違ってきます。
確かに病気が急性期状態で身体や気持ちが全く動かないことも有ります。
その時は、入院するなりして休むことも必要です。
ある程度、期間を置いて休んだのであれば、上記のような情報を基にして行動に移さなくてはいけないと思っています。
私が思うに、日本での精神障害者の方が多いのは、薬だけで良くなると思っている方が非常に多いからだと認識しています。
薬を服用するだけで、心の病気が良くなるならば、おそらく精神障害者は激減しています。
 

5.まとめ

勘違いされると困るのですが、薬を飲んで心の病気を良くしようと考えるなとは言っていません。
心の病気を良くするためには薬を服用することは欠かせないものです。
ただし、薬だけでは良くはならないと言いたいのです。
心の病気を良くするための情報は、薬以外にもたくさんあります。
それらの情報を全て実行に移すのは難しいので、一つ一つゆっくりと取り入れて継続してみてはどうでしょうか?
薬と併用しながらも自分に合った治療法を見つけていくことが大切です。

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