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【イベントレポート】EX DAY2022 「聴く力」が社員のエンゲージメントを高め、組織変革をもたらす

エール株式会社 取締役の篠田 真貴子氏にご登壇いただいたセミナー「EX DAY 2022」をレポート化しました。

この講演では、「聴く」を起点にした企業価値と社員エンゲージメントの向上策、組織活性化の仕組みづくりについて、事例を交えてお話ししています。

本イベントレポートの全文は、下記URLからダウンロード可能です。
【イベントレポート】EX DAY2022 「聴く力」が社員のエンゲージメントを高め、組織変革をもたらす

従業員エンゲージメントは、企業価値向上と人的資本経営の文脈に位置づけられる

近年、ESG経営に対する関心が高まり、無形資産の重要性、特に「人的資本経営」の重要性に注目が集まっています。
人的資本経営は、ESGにおける「S(社会)」の領域に含まれます。一般的に、この領域の評価が高い企業は、株価のパフォーマンスも高い傾向にあります。そのため、「人」への投資は、企業価値向上において、重要なポイントの一つだと言えます。

約20年前までは、「企業価値向上のために人件費をカットする」といった、短期的な視点による施策が一般的でした。しかし、今はその逆です。「企業価値向上のために人や組織に投資する」という、長期的な視点にシフトしています。人的資本の概念が明確になり、企業と投資家の利害が一致したことで、人材の捉え方・扱い方も変化したのです。
こうした変化によって、投資家は人的資本の情報開示を求めるようになり、企業は人的資本経営にフォーカスするようになった。これが、人的資本経営に対する関心が高まった背景です。

人的資本経営において重要なのは「組織体制の改善」です。人材版伊藤レポート2.0では、「組織体制の改善」を目指すうえで重要なポイントを6つに区分し、それらのポイントを抑えるための重要な取り組みを8つ挙げています。そのなかに含まれるのが、今回のテーマである「従業員エンゲージメントの向上」に対する取り組みです。

従業員エンゲージメントとは

「従業員エンゲージメント」と聞くと、「従業員ひとりひとりの幸福度」といった単一的な視点で捉えられがちですが、それだけではありません。
人材版伊藤レポート2.0では、従業員エンゲージメントを、『「会社が目指す方向性や姿を物差し」として、それらについての自分自身の理解度、共感度、そして行動意欲を評価するもの』だと定義しています。つまり、従業員エンゲージメントには、従業員の主観や感情が反映されており、そこから「組織の状態」を読み解くこともできるということです。また、人材の扱い方、組織の仕組み次第で、エンゲージメントスコアを上げることができるということです。
そのため、従業員エンゲージメントを、企業価値創造に直結する「経営レベルの課題」として捉えることが重要です。現場任せにするのではなく、「人材と組織の課題」として戦略的に取り組むことが、企業価値向上の鍵となります。

従業員エンゲージメントの向上に取り組むことで、経営的なメリットにつなげることができます。また、「管理職の負荷軽減」といった、人材マネジメントにおけるメリットもあります。
組織のリーダーを対象にしたアンケート調査では、従業員エンゲージメントが高まったことで、組織の活性化や離職率の低下、業績の向上を実感したという結果も出ています。従業員エンゲージメントの向上が、「人材マネジメントのしやすさ」にもつながることが判明しているのです。

日本企業の従業員エンゲージメントは低い

近年、従業員エンゲージメントに対する関心は高まっています。しかし注目度の高まりに反して、日本の従業員エンゲージメントは、世界各国と比較してかなり低い水準にあるのが実情です。

アメリカのギャラップ社が実施した調査によると、日本の従業員エンゲージメントは世界132位。「熱意あふれる社員」が6%、「やる気のない社員」が71%、「周囲に不満をまき散らしている無気力な社員」が23%となっています。
また、「オープンワーク(旧Vorkers)」に寄せられたクチコミデータの分析結果からは、「働きがい」の数値が、10年前と比べて大幅に減少していることが分かります。また、その要因として、「従業員の士気」、特に「20代の成長環境」が大きな影響を与えていることが判明しています。

役割認知や同僚からの承認、職場の成長環境など、組織の仕組みづくりは従業員エンゲージメントの向上を目指すうえでとても重要です。また、働きがいにも直結します。企業は、ひとりひとりがやりがいを感じながら働けるよう、組織の仕組みや企業文化の整備に取り組んでいく必要があると言えるでしょう。従業員に良い影響を与えるだけでなく、企業価値の向上にもつながります。

従業員エンゲージメントは、ひとりひとりがじっくり自分の話をすることで上がっていく

従業員エンゲージメントの向上において、主観や感情に対応する「仕組み」をつくることは非常に重要です。ただし「仕組み」といっても、システム導入のように機械的なものではありません。じっくり話す・じっくり聴くという「コミュニケーションの仕組み」です。

エールでは、企業を対象に隔週で30分、最短2カ月間、社外人材がビジネスリーダーの話をオンライン1on1で「聴く」サービスを提供しています。


この資料は、エールのクライアントから提供していただいたエンゲージメントスコアのデータです。エール利用群を黄色の棒グラフ、未利用群を茶色の棒グラフで示しており、どちらも同一勤務先です。
この2つのグラフを比較すると、全項目において、利用群は未利用群よりも高いスコアを記録していることが分かります。利用群には、3ヵ月間定期的に人に話を聴いてもらう機会を設けましたが、それによる仕事量の調整や業務指示などは一切行っていません。つまり、エール利用群と未利用群の間には、「定期的に話を聴いてもらう機会の有無」という違いしかないのです。この条件の違いをふまえると、従業員エンゲージメントと「話を聴かれる機会」には、相関関係があると言えるのではないでしょうか。

従業員ひとりひとりが、仕事の意義や組織における役割を認識することは、従業員エンゲージメントを向上させるうえで重要です。しかしながら、「企業理念と日常業務の関連性を感じることが難しい」というケースは少なくありません。そのため、「企業理念との関連性」や「個々の役割・ミッション」についてじっくり話し合う時間を設け、それぞれの認識を揃えることが大切です。
価値観を聴かせてもらうために言語化してもらう、そのために考えてもらう。こうしたプロセスが、役割の明確化や業務の意義、組織理解につながり、結果としてエンゲージメントの向上、パフォーマンスの向上にもつながるのです。

じっくり話せるとは、じっくり「聴かれる」こと

「熱心に聞いてくれたから、予定になかったことまで話してしまった」「相手の態度に萎縮して全然話せなかった」といった経験はないでしょうか。
コミュニケーションとは、「話す・聴く」のキャッチボールであり、その質は「聴き手の姿勢」や「聴くスキル」に驚くほど左右されます。そのため、聴く姿勢や聴くスキルを磨くことはとても大切です。

また、コミュニケーションの受け手は、「聞く」ではなく「聴く」を実践することが重要です。「聴く」とは、話し手の考えや背景に関心を寄せながら聴くことを指します。たとえ、相手の考えと自分の考えがそぐわない場合でも、一旦受け止め、話を深堀りすること。相手に対する好奇心や、理解したいと

「聴き合う」組織はパフォーマンスが上がる

組織全体で「聴き合う」風土が根付くと、組織力やエンゲージメントの向上につながります。

Googleが「効果的なチームの特徴」を明らかにするために行った、「プロジェクトアリストテレス」というリサーチプロジェクトがあります。社内でパフォーマンスが高いチームと、そうでないチームを比較し、その相違点を調査したプロジェクトです。
この調査によって、「パフォーマンスが高いチームは、心理的安全性も高い」という一つの結論に辿り着きました。この結論に至った指標は2つあります。1つ目はメンバー間の話す量が均等だったこと。そしてもう1つが、非言語コミュニケーションに敏感だったということです。

つまり、パフォーマンスが高いチームほど、チーム内の発言量に偏りが少なく、また、さまざまな非言語シグナルを「聴き合う」風土が根付いていたということです。

まとめ

従業員エンゲージメントは、企業価値向上と人的資本経営における重要な要素の1つです。そして、従業員エンゲージメントを向上させるには、「聴き合う」組織をつくることが重要であり、そのためには、従業員ひとりひとりが「聴くスキル」を身につける必要があります。

従業員が互いに「聴き合える」環境は、従業員エンゲージメントに限らず、人材育成や組織課題の解決、心理的安全性の向上など、さまざまな局面で役立てることが可能です。社内外から評価される組織、持続的に発展できる組織づくりに、「聴く」は欠かせない要素なのです。

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サービスURL:https://www.hrbrain.jp/
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