瞑想入門 ⑮

アチャン・チャー

 この段階に至ると、気づきサティ正知サンパジャンニャ智慧パンニャ、サマーディなどは、一体のものであることが理解できるようになってきます。そうすると、外部の感覚の対象に惹かれようと、反発しようと、「これもまた、確かなものではない」と自然に分かるようになるのです。私たちは、そうした感覚の対象への反応を克服し、心を清らかにしなければなりません。そして、心に残るのは、気づきサティ正知サンパジャンニャ智慧パンニャ、サマーディだけにするのです。
 
 ここからは、瞑想実践の助けとなるツールについてお話ししましょう。瞑想実践の進歩のためには、心の中に慈しみメッターを育てることが欠かせません。慈しみメッターこそが、心を清らかにするための土台となるものなのです。例えば、自分の持っているものを人に与えれば、ローバから離れることができます。欲に囚われた人は、幸せになることはできません。また、ローバは私たちの持つ不満感の源となるものですが、世間の人々の多くは、その事実に気づいていません。そのため、ローバに駆り立てられるようにして、一生を過ごしてしまうのです。
 
(続く)

アチャン・チャー『Living Dhamma』より
 
"Living Dhamma", by Venerable Ajahn Chah, translated from the Thai by The Sangha, Wat Pah Nanachat. Access to Insight (BCBS Edition), 30 November 2013, http://www.accesstoinsight.org/lib/thai/chah/living.html .
 

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