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瞑想入門 ⑰

アチャン・チャー

 正しく本能に逆らうことによって、自分自身に打ち勝つことができます。逆に本能に逆らうことができなければ、利己的なまま生きることになり、ローバの犠牲者としての人生を歩むことになってしまいます。何もしなければ、私たちは利己的なままです。ローバとは、断ち切るべき煩悩なのです。パーリ語では、与えることは「ダーナ」と呼ばれ、他者に幸福をもたらすことを意味します。布施ダーナは、心を煩悩から解放する手段の一つです。このことをよく覚えておいて、自分の心を育てるために、布施ダーナを活用してください。
 
 このように他人に自分の持っているものを与えることは、自分を追い詰め、生活を脅かす行為ではないかと思うかたもいるかもしれません。実際はそうではありません。私たちは、他人に自分の持っているものを与えることによって、自らの煩悩を追い詰めているのです。もし、自分の心の中に煩悩があることに気づいたら、それを放っておいてはいけません。煩悩とは、野良猫のようなものです。野良猫に欲しがるだけ餌を与えれば、いつも餌を求めて近寄ってきますが、餌を与えるのをやめれば、2、3日後には近寄ってこなくなります。煩悩も同じです。煩悩に餌を与えなければ、私たちの修行を邪魔しにやってくることはなくなります。ですから、煩悩を恐れるのではなく、煩悩のほうがあなたを恐れるくらいにしなくてはなりません。煩悩を恐れさせるには、私たちの心の中にダンマを見出す必要があります。
 
(続く)

アチャン・チャー『Living Dhamma』より
 
"Living Dhamma", by Venerable Ajahn Chah, translated from the Thai by The Sangha, Wat Pah Nanachat. Access to Insight (BCBS Edition), 30 November 2013, http://www.accesstoinsight.org/lib/thai/chah/living.html .
 

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