LGBTQ+の日常、垣間見ませんか?
日本でも大人気を博した『Lの世界』の続編、『Lの世界ジェネレーションQ』シーズン2がスタート。LAで暮らすLGBTQ+をフラットな視点で描いた群像劇が、前編よりもスケールアップして帰ってきた!
前編が巻き起こした大旋風
LAのクィアタウン、WeHoことウエストハリウッドを舞台にした前編。レズビアンとバイセクシュアルを中心としたLGBTQ+コミュニティの日常を描き、一大センセーションを巻き起こした。妊娠や乳がん問題、恋愛のもつれなど、女性全般の苦悩を交えて、カミングアウトや養子縁組など、同性愛者が抱えていた社会の不平等を訴えかけ、世界中のLGBTQ+コミュニティを勇気づけたことでも知られる。中心人物となるベット、アリス、シェーンらが見せる自由で自立したかっこいいライフスタイルに引き込まれ、ハマる女性が続出。とくにシェーンの人気はずば抜けていた。その人気のほどは、シェーン役のキャサリン・メーニッヒの来日時、約1000人のお出迎えファンが空港に集結したほど。
WeHoからシルバーレイクへ。そこってどういう街?
続編の舞台となるのはシルバーレイク。前編の舞台となったWeHoは、LA最大のゲイタウンとして古くから愛されてきた街で、今ではLGBTQ+コミュニティの世界的中心街としても知られている。WeHoはもちろん今でもクィアタウンだが、そこから車で30分ほどの場所にあるシルバーレイクはその次をいくエリアとして注目されている。シルバーレイクは、もともとは静かな高級住宅街。00年代ごろ、WeHoは治安はいいが地価が高く、住民も比較的若かったことから、そこに暮らす年齢層高めのゲイがシルバーレイクに移住しはじめたことで、落ち着いた暮らしを求めるLGBTQ+の人々が注目しはじめ、この10年ほどでWeHoに次ぐクィアタウンに成長。前編に続き、旬の街を舞台にしているということになる。
前編から驚きの成長をしたメインキャラ
前編では美術館のディレクターや大学を出たばかりの作家、美容師など、市井の人々が主人公だったメインキャラの面々。続編はその10年後という設定だが、彼女らは順調にキャリアを積んで大出世。市長選に出馬したベットとTVの人気パーソナリティとなったアリス、美容院のオーナーになったシェーンは、セクシュアリティを公表したうえで成功を収めており、それぞれに若者の憧れの対象となっている。それとともに、社会的責任を持った存在となったことで、LGBTQ+コミュニティのリーダーとは何か、という苦悩や新たな葛藤を描いているのがポイント。いわば、市井の人々からハイソなセレブとなった彼女らの生活を軸にして、さまざまなライフスタイルを見せることに成功している。
セレブだけじゃなく、若者のライフスタイルも
メインキャラはベットたちだけではない。『~ジェネレーションQ』最大の特色は、彼女たちを取り巻くLGBTQ+の若者たちだ。アリスのアシスタントを務めているソフィーと、その恋人で父親の経営する会社で役職を持つダニ、彼女らの同居人でトランスジェンダーのマイカ、定住せずに人の家を泊まり歩きながらショービズの世界で下働きするフィンリーなど、ベットたちのフォロワーともいうべき若い世代が抱える、今のLGBTQ+ユースの問題を描いている。とくに注目してもらいたいのはトランスジェンダーのマイカ。トランスマンの俳優レオ・シェンがキャスティングされており、表現のリアルさには驚かされるばかり。昨今話題になっているトランスジェンダー俳優の積極的起用にも貢献していることにも注目が集まる。
Text/よしひろまさみち
よしひろまさみち プロフィール
映画ライター。音楽誌、情報誌、女性誌の編集部を経てフリーに。『sweet』『otona MUSE』のカルチャーページ編集・執筆のほか、雑誌、Webでのインタビュー&レビュー連載多数。日本テレビ系『スッキリ』での月一映画紹介のほか、テレビ、ラジオ、イベントにも出演。Twitter:@hannysroom