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綾野剛×北川景子が敏腕バディに!

綾野剛と北川景子が刑事役で共演し、安楽死を手口にする連続殺人犯を追うサスペンス映画『ドクター・デスの遺産-BLACK FILE-』を解説!

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真逆の刑事役!綾野剛VS北川景子の“ガチ”な演技対決

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本作の最大の魅力は、綾野剛と北川景子の“ガチ”な競演! 破天荒な直感型の刑事・犬養(綾野)と冷静沈着な分析型の高千穂(北川)。性格や行動理念が真逆のふたりだが、演じるにあたり“バディ感”の説得力がなければ、表層的なものになってしまう。その点綾野と北川は、どの瞬間も全力の演技のぶつかり合いを見せてくれる。綾野が烈火のごとき熱量で畳みかければ、北川がそれを上回らんとする剣幕で応酬。犬養の“アクセル”と高千穂の“ブレーキ”、両方が有機的に作用するからこその名バディなのだ、という実感が、画面からビリビリと伝わってくる。同時に、綾野と北川の役者としての信頼の厚さも感じられ、バディ感の底上げに貢献している。

自分事として刺さる…現代の“闇”に斬り込む生々しさ

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本作の原作を手掛けたのは、映画化もされた「さよならドビュッシー」でも知られる人気作家・中山七里。130人もの患者を安楽死させた実在のアメリカ人医師をモデルにしたこの物語は、エンタメ大作でありながらも「何が正義で、何が悪なのか?」「どこからが犯罪なのか?」といった“安楽死”にまつわるテーマ性、現代の“闇”に切り込む社会的な問題提起もはらんでいる。フィクションの根底に、観る者が「自分だったら、どうするだろうか」と“自分事”として受け止めてしまうような生々しさがそこかしこに潜んでいるのだ。

観客の側に立ち、“観やすさ”を重視した深川栄洋監督の演出

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死力でぶつかり合う役者たち、闇深い題材――。ともすればダークになり過ぎてしまいがちなこのふたつをどうエンタメに“昇華”していくか、それを任されたのが映画『トワイライト ささらさや』などで知られる深川栄洋監督。彼の“軽さ”=観客の入ってきやすさを意識したバランス感覚が、本作のカラーを決定づけたといっても過言ではないのではないか。北川景子の努力がにじむアクションやちょっとした笑いの要素といったアクセントをちりばめ、さらに物語全体の緩急を調整することで、重苦しくなりすぎないハイテンポな緊迫感を担保している。観客が「真犯人は誰だ!?」に集中できるのは、作り手の細やかな気配りがあってこそだろう。

Text/SYO

SYO プロフィール

1987年福井県生。東京学芸大学卒業後、映画雑誌の編集プロダクション、映画WEBメディアでの勤務を経て、2020年に独立。映画・アニメ・ドラマ・小説・漫画・音楽などカルチャー系全般のインタビュー、レビュー、コラム等を各メディアにて執筆。トーク番組等の出演も行う。Twitter:@SyoCinema

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