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【加藤諒】恐怖と笑いが紙一重だと思っていたのを『呪怨』によって覆された

今では世界にJホラーというジャンルが広がり、海外でリメイクされたりしている。その火付け役となった作品の一つが、映画『呪怨』だ。

僕は幼稚園の時から、夏になるとホラー映画を必ず観る。観ると怖くて寝られなくなるなんて事もしょっちゅうだったが、ホラーを観ていないと友達との会話に入れない時もあった。

児童文学にもホラーがブームを起こしていて、図書室では児童ホラー小説が常に貸し出し状態。その中で育ってきた僕たちはホラー耐性が強い世代なのかもしれない。

こう書くとホラーを無理やり観ていたと思われるかもしれないが、僕はホラー映画が苦手では無かった。初めて子どもたちだけで観に行った映画はJホラーの二本立てだったし、一人ではDVDを借りて観ていたほどだ。

僕が『呪怨』と出会ったのは、中学二年生の時で、珍しく男友達と遊んでいた時だ。

★呪怨_Master


初めて観た時は、衝撃だった。
ホラー耐性のある僕でも、とてつもなく怖かった。

それまでは、ホラーの芝居を観ていると、怖がっている人がどこか滑稽に映ってしまう事もあり、恐怖と笑いって紙一重だなぁなんて思ってもいた。

しかし、「呪怨」では"声が出ないくらいの恐怖の芝居"が生々しく、恐怖を底上げしていた。

特にいづみ役の上原美佐さんの恐怖の表情。
伽耶子に頭を掴まれたあの表情、目や呼吸から伝わる「恐怖と絶望」に伽耶子から逃げられない恐怖を感じ取る事が出来、尚且つ、美しい。

そして、より恐怖感を煽るのが、僕たちの日常に潜む恐怖が自然と散りばめられている点だ。

観た後は、エレベーターに乗っている時にドアの方を見るのが怖くなったり、シャンプーするのが怖くなったり、布団に入るのが怖くなったりした。
同じような思いをした人たちはきっと沢山いると思う。

日中のシーンが多く、外は明るいのに家の中は暗いという不気味な状況を作り出す光と影。哀しげなピアノの旋律や猫の鳴き声。などなど、挙げだしたらキリがない。

初めて観る人はもちろん、観たことがある人も新鮮に恐怖を味わう事ができる作品だと僕は思う。一度観たことある人は、清水崇監督の光と影や音の演出、役者さんの恐怖の芝居に注目して、改めて観て欲しい。

この夏に是非。

text/加藤諒


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