良かった作品 2021年6月
紹介 / 感想を書きます。
少女☆歌劇 レヴュースタァライト
9人の舞台少女達が「レヴューオーディション」に参加して決闘するアニメ作品。演出がバチバチに決まっており、もうそれだけで100点というような作品だった。
最初から確固とした個我を持っている者、物語を通して新たな個我を獲得する者、登場人物全員に共通してどこか強欲なところがあり、それが自分勝手に見えることもあるんだけど、でもその姿がたまらなく光り輝いて見えてしまった。自らを貫き通すことの格好良さというか、それを口上を通して宣言するのもまた良い。星見純那さんの口上が特に好きです。
劇場版もとても良かった。とにかく演出で殴ってくる映画で、劇場の画面から放たれる質量熱量。大満足でした。
ゲームの王国
舞台はポルポト政権下のカンボジア。ひとつでもルールを違反すると殺される、命を賭けたゲームのような現実。作品の軸となるのは、天童といわれるほどの思考力を有するムイタックと、他人の嘘を見抜く直感を持つソリヤ。この2人の少年少女の生涯を描いた歴史SF小説。
共産主義の功罪、相互監視、虐殺、腐敗政治、貧困、不正、不合理。描かれることは暗いことばかりなのだけど、強烈に惹きつけるものがありどんどん物語にのめり込んでしまう。終わり方も綺麗で、読後感は意外にも良かった。
アメイジング・グレイス
主人公は記憶を失いながらオーロラという壁に閉ざされた世界に辿り着く。舞台は学園で、授業は芸術のみ。放課後は全員が作品作りをしているという世界観で、現実の美術作品なども引用されており、物語にも関わってくる。
恋愛要素はおまけ程度で、メインはタイムリープものという感じだった(サブヒロインの正史√を選ばなくてもトゥルーエンドに辿り着けたりする)。プレイヤーが選択肢を選ぶことで物語が分岐するエロゲという媒体だからこそ出来るタイムリープSFで、かなり良いゲーム体験だった。
アメイジング・グレイス(大いなる恵み)というタイトルも本当に良くて、物語を通底するワードとして一本芯が通っており、エンディングで回収されたときにはかなり感慨深いものがあった。
祈る神の名を知らず、願う心の形も見えず、それでも月は夜空に昇る
転生、最強主人公、最初からベタ惚れのヒロイン。というところから一転二転三転してどんどん面白くなっていくライトノベル作品。
主人公を多重人格にすることで複数ヒロインなのにハーレム要素が無かったり、ともすれば胸焼けしそうになるヒロイン⇒主人公への好意描写などを(おそらく故意的に)ギャグ調で書いていたり、最強主人公よりさらに強いキャラクターを用意してそもそもスケールがめちゃくちゃでかい話にしたりと、読んでいて全くストレスが無かった。
この作者さんの文章はどちらかというと難しい部類だと思っていて(独自用語がめちゃくちゃあるので)、理解するために一旦戻って繰り返し読んだりするのだけど、クライマックスなど最高潮に達した時の文章は独特のテンポ良い文体で流れるように読めてしまう。この気づくと物語に没入してしまう文章が凄かった。あとは台詞の応酬というか、特に相手に喧嘩売ってるときの舌戦が最高で、ヒートアップして優等生の仮面が剝がれて売り言葉に買い言葉で本音が漏れてしまうやつとかがとても良かった。
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