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不幸鳥
2017年3月12日 20:17
そろそろ床から出なくては、そう考えていたときだった。いつも通りの時間帯、いつもとは違う戸口から、聞きなれぬ調子で戸を叩く音と覚えのない声が聞こえてきた。それは普段通り、薬の時間を告げるものだった。「君代?」違うのだろうなという確信を持ちつつ、わたしは縁側にいるであろう誰かに声をかけた。誰かは「開けてもらっても?」と言った。断る理由もないので、戸を開けてやった。薄暗い和室に、奔流のごとく光が差し