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ガール ミーツ ガール【連載小説】

初めて女の子に恋しました 02

「はじめまして。成海麻里といいます。前の職場では“なるみん”とか“まりりん”とか呼ばれていました。みなさんも気軽に呼んでください。よろしくお願いします」
「キャバクラの挨拶かよ」
と、黒赤星くんが私の耳元でボソッとつぶやいたけど、頭に入ってこなかった。何故なら、”なるみん”に目が釘付けになってしまったから。
 緊張気味に挨拶をした“なるみん”は、光の粒をまとっているかのようにきらめいて見えた。
 フェミニンなふわりとしたデザインの服に明るめの髪色、ゆるく巻いたミディアムのヘアスタイル。女の子を強調する手をかけた可愛い系のメイク、カラーコンタクト。女に生まれてきたことを存分に楽しんでいる。ヘアスタイルもファッションも「面倒臭くない」「楽」が基準の私とは全く対照的。
 こういうキラキラした感じの子って正直苦手……なはずだった。
 もっというと、嫌いな感じだった。
 なのに、なんでだろう。
 ……可愛い。
 くるんと上を向いたまつげが可愛い。パッチリと開いた瞳が可愛い。その瞳に入りそうな前髪が可愛い。私より少し背が低いのが可愛い。少しくねくねした感じに動いているのが可愛い。
 夢中で観察しているとなるみんと目が合った。ふにゃりとした笑顔が可愛い。会釈の角度が可愛い。
 可愛いと感じるたびに胸が弾む。
 身体中が炭酸のようにパチパチと弾ける。
 こんなに可愛い子がこの世界にいたなんて。
 体がとろけそうになるくらい可愛いということがあるなんて。
 だけど、その時の私は自分が落ちた事に気がついていなかった。


 落ちたものの正体に気がつくのは、もう少し先だ。





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