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英語

私は英語が苦手だ。

知識的には高校英語レベルで止まっているし、今となっては中学生レベルにまで下がっている事だろう。

なので英語に対しての苦手意識というのが非常に強い。

しかし私にしては珍しく、少し前からちょっとばかし英語の勉強をし始めている。


4年くらい前のことだろうか。

アメコミの作家が日本に来てサイン会をするというイベントがあった。

私はアメコミが少し好きで、日本語に訳されたコミックなどを読んだりしている。そのイベントには私が好きで読んでいたコミックの作家も来る事になっており、これはと思って行く事にした。

イベント会場に着くとアメコミ作家の方々がブースに座って各々の書いた作品や同人誌を販売していた。

そして彼らは全員日本人ではなかった。


当たり前と言えば当たり前なのだが、何故か私はその時までそんな当たり前の事を失念していた。それと同時に私が英語が苦手で、ほぼ喋れないという事を思い出した。

しかし、せっかくここまで来たのだからサインは欲しい。それにアメコミの作家さんと喋る機会なんてもう無いかもしれない。

何とかなるだろうという精神で私はサインを貰いにいった。

私は意を決して目当ての作家さんのいるブースで、その方が書いたラフ画を集めた同人誌を買い「サイン、サインプリーズ」と片言英語で話しかける。

すると作家さんが私に向かって何か喋り始めた。どうやらサイトと一緒にキャラクターも描くけど、何のキャラクターを描いて欲しい?見たいな事を言っているらしかった。

その作家さんは普段バッドマンなどの作画を担当している方で、私はその方の描いたジョーカーが好きだった。

なのでジョーカを描いて欲しかった。そんな私の口から出た言葉は

「バッド、バッドマン」



・・・・?

私の返事に作家さんは快くOK OKと言ってバッドマンをサラサラ描いてくれた。

私は作家さんに日本語でありがとうと言いながら何度も頭を下げ、バッドマンの書かれた同人誌を胸に会場を後にした。

家に帰り、バッドマンを眺めながら私はこう思った。



何故?


多分、私の頭が英語による突然の質問に対してパニックを起こしたのだろう。

その結果、ジョーカーという単語ではなく、どういう訳かバッドマンという単語が頭の引き出しから飛び出したのだろう。

この時ほど自分の対応力の無さと、英語への苦手意識に対して悔しく思ったことは無い。

勿論描いて貰ったバッドマンはカッコよく、凛々しい。

大変満足している。

しかし、この時の体験は私の心の中に一抹の悔しさを残した。


これらの原因は私の英語力の無さというよりも、普段から英語を耳にしていないことが根源にあるのではと考えた。

以前何かのインタビュー記事で、外国の人が日本で道に迷った時、近くにいた日本人のお婆さんに日本語で道を尋ねたら「私英語わかんないから」と言われたという話が載っていた。

インタビューのお婆さんは日本語で話しかけられているにも関わらず、何故この様な事を言ってしまったのか?

それは普段全く接する機会の無い外国の人を目の前にして、苦手意識、ないし拒否反応のようなものが出てしまったのでは無いのだろうか。


私は今、英語で話しかけられてもパニクらないように、英語の会話音声を暇な時に聞くようにしている。

せめて外国語で話しかけられても、片言でいいから自分の思った事が説明ができるようになりたかったのだ。


次は、ジョーカーと言えるように。








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