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ほぼ日手帳(好きなもの)

 好きなものはたくさんある。たくさんあるといっても数えるほどだと思うけど、以前はなにが好きかなんて言えなかった。

 今になって思い返すと分からなかったんだと思う。
ちょうど子どもが入学進学して、毎日朝早く起きて自分の仕事をしてから朝ご飯、登校の準備、自分も片道50分の通勤して職場に着いたら腰痛に耐えつつ仕事をし、退勤時間には走りながら退勤、学童の閉園時間ギリギリに滑り込んでいく毎日だった。

 そんな毎日だったので趣味や好きな読書の時間はない。睡眠時間を削って読むとかそんな感じ。
でもやはり1人でなんでも背負う生活は限界が来て、子宮内膜症の切除、軽度脳卒中と色んな病院に通うようになった。
 リハビリで同じ麻痺の患者さんや療法士さんが院内を歩く様子を眺めながら、空が青いなぁなんて思う時間。

 本の虫を地で行く私だったのに、この頃には本を開いても文章が理解できなくてほとんど読めなくなっていたのだ。
だからただ目の前の光景をぼんやり眺めるだけ。
 記憶力の低下もあって、同じこと質問しちゃって白い目で見られたりね。でもメモまでとってアラームかけて記憶しようとしても忘れるんだから仕方なかった。

 だから最近は好きなこと、かわいいものを物にして残すようにしている。
 例えばシルバニア人形。お気に入りの子をおもちゃ屋さんやしまむらのおもちゃコーナーで見かけては迎え入れている。
 これは幼い頃、男の子みたいながさつな私はいとこの持っていたシルバニア人形がかわいくて仕方なかった。しかし何故か「いらない」なんて言っていた。
 ところがアラサー過ぎた今になって再燃して、せっせとヤギやトナカイの家を作ったり、バックの中に忍ばせて出かけたりととても楽しんでいる。

 読書もそう。まだまだ文学を理解するまでには及ばないけど、ポートレート多くて薄い文庫を読んでいる。
分厚いのが正義! なんて思ってた頃も、重い物が持てないから文庫好きだわという今も、お話しのワクワク感を楽しんでいる。

 自分の好きなデザインにできるジュエリー製作も好きなことのひとつだ。
いつの間にか落として、私には何にも残ってない、抜け殻しかないと思っていたが、そうじゃなかった。

 ずっと昔の好きなことがぽっと足下を照らしてくれたり、形を変えて楽しむようになったり、好きなものはふくらんだり、隠れたりして今も私のそばにある。

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