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ハラオカハウス3泊4日滞在の感想と、今後の用途についての思いつき

この間のゴールデンウィークは、千葉・内房の貸別荘を一棟借りしてひとり過ごした――と書くとおおげさですが、だいたいそういうことをさせてもらいました。

4月の終わりにハラオカハウスの内覧会に行って、これ最高じゃないですか!と絶賛していたら、運営の永森さんが「格安で3泊4日お貸しするので、実際に泊まってみて、今後の用途などについて何か書いてくれませんか」とおっしゃってくださったのです。

とはいえ、無理に持ち上げるつもりもなく、淡々と書いていきたいのですが、まあ掛け値なしに素晴らしいところでした。

正直、あまり他人には教えたくない。海外の有力インフルエンサーにでも知れたら、世界中から観光客が殺到するかもしれない。将来イタリアや南仏のリゾート地のようになってもおかしくない。そんな砂浜が、静かなまま目の前にあるのですから。

「アウトレイジ 最終章」の名場面に使われた桟橋

実際、ハラオカハウスの目の前にある原岡海岸の岡本桟橋は、CMやMV、ドラマや映画、アニメなどによく使われています。

国内でも珍しい木製の桟橋が、いろいろとロマンチックな使われ方をしています。以下のPlayListには、桟橋が登場する動画が19本まとめられています。ヒップホップのMVでは、新宿歌舞伎町や高層団地などの都市と対比させて、桟橋を使っているところが興味深いです。

しかしなんといっても、代表作は北野武の「アウトレイジ 最終章」で、たけしが海に銃弾をバンバンバンバンと撃ち込んで、太刀魚がプカーと浮かんでくる傑作シーンあったじゃないですか。あれが岡本桟橋(あるいは原岡桟橋)です。




大森南朋「あの野郎、ぶち殺してやりたいですよ」
たけし「俺だって同じだ!」




この桟橋がどんな用途のために作られ、使われているのかは分かりませんが、なんでもない遠浅の砂浜が、桟橋ひとつでここまで印象的な風景に変わるのは驚きです。

窓の外を夕陽が落ちる

で、ハラオカハウスはどんな建物かというと、その桟橋から2~3分のところにある堂々たる二階建ての日本家屋でした。聞けば元大工さんの家として建てられたのだとか。

どうですか、この立派な庇。実に凝った造りをしています。左側のガレージもつながっていて、休日にカフェを開こうかという構想もあるようです。

母屋の2階は周り廊下になっていて、廊下と部屋は襖で仕切られているので、冷暖房の効果が上がりやすくなっています(潮風が吹くと建物の温度が奪われるようで、夜中は結構冷えました)。

窓の外を、夕陽が富士山の脇に落ちていきます。

二階の階段の昇り口に椅子とテーブルを置き、地元の酒を飲みながら海を眺めていると、本当に贅沢な気分になりました(写真は近くの民宿に泊まって遊びに来てくれたSさん夫妻)。

新宿バスタから1時間半

ハラオカハウスの場所は、JR富浦駅から徒歩10分以内。といっても、富浦駅ってどこ?という方が多いと思います。房総半島の南端近くにある館山駅の、2つ手前の駅です。

館山は大きな街なので有名ですが、その手前ということは(池袋に対する北池袋のように)1つ手前の那古船形駅(無人駅)とともに非常に静か。有人駅ではありますが、2019年(令和元年)度の1日平均乗車人員は189人だったそうです。

東京からはJRですと、日曜日の午前10時35分に新宿駅を出て、黄色い電車(総武線各停)で錦糸町まで行って、そこから快速君津行きに乗り換えて、千葉を経由して君津に行き、そこから上総一ノ宮(外房線の駅)行きの各停に乗り換えて富浦で降りると13時28分。

このルートの所要時間は片道2時間53分。乗車料金は2,310円です。遠い。

ただし午前9時30分新宿発の特急新宿さざなみ3号(土日のみ運行)に乗ると、富浦まで乗り換えなしで11時12分着。2時間4分に短縮されます。特急料金込み(自由席)で4,200円と高い。かなり快適ですけどね。

これが高速バスだと、新宿バスタを午前10時40分に出て、富浦の枇杷倶楽部のバス停に午後12時14分着となり、1時間34分に短縮されます。乗車料金は2,500円。私のおすすめはこれです。

なぜバスがこんなに速いのかというと、川崎から東京湾をショートカットして木更津に渡ってしまうからです。都内の首都高でウトウトしてしたら、房総半島の対岸にワープしている感覚はたまりません。

バス停の道の駅から徒歩10分

さて、房総といえばクルマがないと無理(暴走だけに)という印象がありますが、このハラオカハウスというか原岡海岸は、公共交通機関の便がいいのが嬉しいところです。

前にJR富浦駅から徒歩10分と書きましたが、高速バスの枇杷倶楽部のバス停からも同じく10分くらい。自分でクルマを運転したくない私のような人間には、非常に助かるロケーションです。

なお、枇杷倶楽部の裏手には岡本川が流れていて、ハラオカハウスの脇から海に出ていますが、河口はスズキやヒラメ、キスやイシモチの釣り場となっているそうです。あと、久しぶりに新鮮なビワを買って食べたんですが、ジューシーで独特な甘みがあって、とてもおいしかったです。

そんな手頃な場所にある原岡海岸ですが、国道127号線から海へ向かう道が細く、クルマがなかなか入って来にくい場所にあります。なので人出も増えすぎず、ほどよい感じに収まっているわけです。

その一方で、大きなスーパーはないものの、買い物はひと通り可能で、道の駅 枇杷倶楽部やお百姓市場には地元の山海の幸が売っていますし、

その向かいのコメリ ハード&グリーンは、大きくはないですがホームセンター的なものが売っているので、ひと通りのものは手に入ります。

おしゃれなカフェや海鮮BBQも

枇杷倶楽部からさらに15分ほど歩くと、房総の駅 とみうらカフェという建物があり、ここにも山海の幸のほか、焼きたてのパンと淹れたてのコーヒーなどが味わえます。Wi-Fiも飛んでいました。

房総の駅とみうらの敷地内には「浜焼き屋」という海鮮バーベキューの店がありますが、予約が取れないので、連休などの繁忙期は、予約の取れるお百姓市場の「炭火焼き 海鮮BBQ」が使えます。当日受付OK・手ぶらOK。90分間食べ放題&ソフトドリンクバー付きで、大人2,980円です。

ちょっと離れすぎたのでハラオカハウスに戻ると、最寄りのセブンイレブン南房総富浦多々良店までは徒歩4分、ドラッグストアのウエルシア南房総富浦店までは反対側に徒歩10分くらいで行けます。

セブンイレブンの向かいの道を入ると、Lerisa(レリーサ)という雑貨&ダイニングカフェのおしゃれなお店があり、

きなこ豆乳バナナを飲みました。

食事どころは、ウエルシアの少し先に八洲軒(はっしゅうけん)という町中華があって、家族連れで賑わっていました。

「おさかな倶楽部」は絶品

しかし富浦に来たら、なんといっても岩井富浦漁協直営の「浜の台所 おさかな倶楽部」が断然おすすめです。いちおうグーグルマップ上では、ハラオカハウスから館山方面に海沿いを歩いて15分となっています。

GW中は2時間待ちなんてこともあり、平日も混むことがあるようですが、朝獲れの新鮮な近海魚がいただけるので、並ぶ価値のあるお店です。私は2回行って、1回目は厚切りの刺し身がとても食べごたえありました。

でも、2回目の煮魚が甘辛く、カマの塩焼きも脂がたっぷり乗っていて、私の好みにバッチリでした。真ん中のお刺身は「アウトレイジ」で射殺された太刀魚です。

ハラオカハウスの用途

さて、今回の宿泊の目的は、ハラオカハウスがどういう用途に向いているのかを検証し、今後のPRに使える素材を洗い出すことでした。

しかし滞在中は、そういうことはあまり考えられずに、結局ぼんやり過ごしてしまい、3泊4日はあっという間に終わってしまいました。

なぜそうなってしまったのか。ハラオカハウスは、どうやらそうやって過ごすのに向いている場所だったからではないか、というのがいまのところの仮説です。

ただ、ひとりで使う場合と、チームで使う場合では、使い方がかなり違うような気がしましたので、分けて考えてみます。

ひとりで来たら「仕事の合間に遊ぶ」

まず、ひとりで使う場合。私の場合は休暇を利用して宿泊しましたが、3泊4日の最終日だけは朝7時半から12時半まで仕事をして、その後で買い物をし、ハラオカハウスの掃除をして帰りました。

私のようにひとりで一棟借りという人は、もういないと思いますが、シェアオフィス的に、個人が一箇所に集まりつつ、バラバラで仕事をすることがあるかもしれません。

やってみて分かったことですが、これは私だけかもしれませんが、仕事モードになると、潮騒の音は適度なBGMになりますが、絶景はもう目に入らなくなります。

海岸にノートパソコンを持っていって、海を背景にウェブ会議に参加しようか、なんてふざけた考えをしていましたが、実際にはまったくそんな気分ではなくなり、仕事に集中してしまえば、そこは都会のオフィスとさほど変わらなくなります。

とはいえ、仕事の合間に、すぐ海に行けるメリットは小さくありません。例えば早朝サーフィンして、午前中は普段通りの仕事をし、午後はまたサーフィン、夜はメールの返信などの雑用をする、といった楽しみ方は十分できます。

つまり、労働時間より成果を重視し、中抜けも自由という柔軟な働き方ができる仕事であれば、仕事の合間に遊び、リフレッシュしたら仕事に戻るという過ごし方は、まあありかなということです。

チームの場合は「パソコン持たずに」

それから、チームで使う場合。今回は実際には試していないのですが、複数の人間で行くなら、海辺でメールチェックするなんて愚の骨頂だと思いますね。できれば、ノートパソコンなんて持っていかない方がいい。

最初に思いついた活用例は、プロジェクトの打ち上げです。チームでの成果を確認し、偉い人のコメントを読み上げ、活躍したメンバーを称え合う。そして、軽く反省会などをしながら、新しいプロジェクトでの再会を願い、頑張りを誓い合う。

これこそ、海辺の絶景ポイントの開放感の中で、リラックスしながら利用する理想の姿のひとつではないかと思いました。

したがって、ハラオカハウスでは、今後大きなスクリーンとプロジェクターなど、チームの人たちが一緒に見られる画面を用意してあげるといいでしょう。

プロジェクトは打ち上げだけでなく、キックオフ会や経過報告会でも使えるかもしれません。人間関係がギスギスしていると、コミュニケーションのロスが発生し、仕事も円滑に進まなくなるおそれが高まります。

アメリカの経営学者チェスター・バーナードは、組織の3要素として「共通の目標」「貢献意欲」「コミュニケーション」をあげました。共通の目標を設定し、貢献意欲を持った人が集まり、達成のためのコミュニケーションをとることによって、組織が成り立つというわけです。

キックオフでは、プロジェクトの目的や方針、課題や役割分担、スケジュールなどについて共有し、不明点を解消しつつ、各メンバーが自己開示をして人となりを理解しあうことで、コミュニケーションロスが減り、仕事も円滑に進むようになるかもしれません。

プロジェクトの途中でも、悪い意味での煮詰まり感を解消するために、プロジェクトの目指す姿や、なぜそれをやるのかの確認のような話を再度蒸し返し、それについての各メンバーの率直な感想を表明し合う際にも、こういう場所は有益だと思います。

なぜなら、都心の薄暗い会議室でやると、気が滅入るからです。それなりに激論を交わしても、窓の外を見れば絶景が広がっていて、ご飯どきには美味しい刺身や煮魚を食べて、それでもつまらない意地を張っていられるほど、人間は頭で生きていないのです。

したがって個人的には、上映用のパソコンは事務局で1台持っていくとしても、メンバーはパソコンなど持たずに行くのがよく、海岸でメールチェックなんかやめた方がいいと思います。

なお、言うまでもなくプロジェクトというのは、特別なチームでなくても、普通の組織の上期/下期や四半期のキックオフや打ち上げでも構いません。

「クリエイティブなアイデア」は生まれるのか?

あと、こういうワーケーションみたいな記事を読むと「いつもと違った場所で仕事をすると、クリエイティブなアイデアが生まれるかもしれませんね!」みたいな無責任な締めがよく見られるんですけど、クリエイティブってなんなんでしょうね、ということを最後に付け加えてみようと思います。

私たちの仕事は、

入力(Input)→処理(Process)→出力(Output)

というシステムの中で行われているわけですが、

安直なクリエイティブ論は、海辺の絶景を見てバイブスがアゲアゲになることで、Process部分のテンションが自然と上がり、Outputも卓越したものになるという、楽観的なシステムを想定しています。

しかしOutputというのは、十分なInputなくては生み出しえません。

その意味では、前述のプロジェクトのキックオフのように、メンバーに共通して必要な情報を分かりやすく提供し、Inputしてもらいながら、それをリラックスした雰囲気のなかで展開して、はじめてクリエイティブなOutputが出てくるのではないかと思うのです。

あるいは、海辺に来る前に、都心の薄暗い会議室なり、それぞれの自宅の狭い部屋なりで、あらかじめ十分なInputを詰め込んでおき、それをクリエイティブなOutputにつなげるために、非日常の空間でバチバチと展開させる、という仕掛けが必要でしょう。

個人的に最悪に向かないと思うのは、わざわざ内房くんだりまで来てメールチェックなどのつまらぬ作業をすること。そんなもん新宿バスタのベンチで済ませてくればいい。

それとともに、海辺でゴリゴリのInputをしようとすることもやめた方がいいのではないかと思います。

非日常を活かす「Input」の仕掛けを

Inputにはある種の集中が必要ですが、ハラオカハウスの周辺には気が散るものばかりです。いったん仕事モードに入れば集中できるとはいえ、集中のために海辺に来るのは、まったくそぐわない。

じゃあなんで、金持ちはリゾート地のパラソルの下でカクテル飲みながら推理小説を読んでいるのかというと、あれは何かをOutputするためのInputではなく、ただの消費だからです。

本当は仕事のことなど忘れて、道の駅で買った11匹200円のイワシを庭先で焼いて、土鍋で炊いたご飯にまぜて食べながら、日が暮れるまで波の音を聴き、夜は地酒でも飲んで寝てしまうのが最高でしょうけど(事実わたしはそうしました)。

まとめ直すと、

<ワーケーションでクリエイティブな成果をあげようと思ったら>
・ファシリテーターが気の利いた情報提供(参加者へのInput)のプレゼンテーションを周到に準備するか、
・もしくは日常のルーティンの中で十分Inputを詰め込んだり、
・実務の中で壁にぶち当たるまで考え抜いたりしておくことが必要で、
・そういうものの積み重ねがあってはじめて、非日常の開放の中でProcessが活性化されて、新しいOutputを生み出せるのではないか、

ということです。

繰り返しますけど、個人的に最悪に向かないと思うのは、わざわざ内房くんだりまで来てメールチェックなどのつまらぬ作業をすること。

それではちょうど6300字になりましたので、書き飛ばしになりますが、とりあえずこのあたりで失礼します。ハラオカハウスのFacebookページはこちら。

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