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企業と企業のマージナルマンであるアルムナイをどう活かすか


なぜアルムナイ活動に注目しているか

元々は卒業生という意味であり、企業や団体を退職した人(もしくは人の集合)という意味としても使われる「アルムナイ」という言葉をニュースや記事で見かけるようになってきました。特に私が属する人事界隈では、人材不足の解消という文脈から、「アルムナイ採用」という動きが活発になってきています。

会社における組織活動が中心で、コミュニティ活動や市民参画が少ないことがウェルビーイング低下の原因とも言われている日本(OECD "Better life Index"より)において、アルムナイネットワークのようなコミュニティ活動が活発になることはとても良いことだと思っています。この機運が「再雇用を目的としたアルムナイ」という方向で進んでしまうことがとてももったいないなと感じていて、今回はアルムナイネットワークのあるべき方向性について考察してみようということで、筆を取ることにしました。

実は、あるべきアルムナイネットワークの考察については、1000規模の参加者がいるSony-innovation-alumniを創設した高橋龍征さんという同士がいて、僕がそのアルムナイの100人カイギイベントに登壇させてもらったのが、僕がアルムナイに興味を持つことになったきっかけとなり、それ以来、幾度となく高橋さんとあるべきアルムナイネットワークについて議論してきました。組織にとっても、個人にとっても、社会にとっても役にたつアルムナイネットワークが数多く世の中に生まれて、それぞれが有機的につながっていくような世界観を共有しながら、色々なアクションをしていこうと思っていますので、そのベースとなる考え方をnoteでまとめていこうと思っています。

僕のこれまでのアルムナイ活動

モトニト会

僕がニトリの人事部長だった頃に始めたアルムナイで、ニトリを退職してからも年1、2回ペースで継続しているアンオフィシャルアルムナイです。退職者を中心に50名ほどで集い、ピッチイベントを実施しています。ピッチでは、ニトリで何を得て、それがどのような形で現在の職務に生きているのかということを話してもらい、皆で話し合うという流れにしていて、過去の経験を改めて棚卸して、キャリア資本として現在や未来に繋いでいくという内容になっています。


ソニーアルムナイで登壇

2022年6月13日ソニー有志アルムナイの100人カイギに登壇。ここでは、ソニーで得たもの、外から見てわかったソニーのカルチャーの素晴らしさなどを10分程度でお話しさせていただきました。アルムナイに現役社員参加を制限する企業が多い中で、ソニーは現役社員も自由に参加することができるという懐の深さを感じることができました。
現役社員とアルムナイが交流して新しいビジネスを産んでいくような機運があるアルムナイでした。

アルムナイイベント登壇

TalentX 社の「戦わない採用アカデミー」でアルムナイを担当しました。採用文脈のアルムナイという流れではありましたが、アルムナイネットワークの目的はあくまでもネットワーキング。そのネットワーキングの結果として、一つの価値として再雇用もありうるというお話をさせていただきました。
ちなみに、「戦わない採用」とは、競合他社と戦い、市場と戦い、時間と戦い、費用と戦いとなる従来の採用手法から、「戦い」を排除していき、採用に関わる人すべてのポテンシャルを解放することを目指した考え方です。採用ミスマッチを誘発する「戦う採用」では誰も幸せになれないから、あるべき採用を目指していこうという方向性にはとても共感しています。

今後の考察について

ということで、ここから15回にわたって「あるべきアルムナイ」の考え方や運用方法を、組織開発や人材開発の観点から考察していきたいと思っています。
事業開発を取り巻く内外環境が複雑化・多様化し、働く個人の就業感も同様に多様化しており、個人と組織の関係性、企業と企業の関係性にも変化の兆しが見え始めています。そういう中で、組織と組織の間に位置し、複数の組織を理解しているマージナルマンでもあるアルムナイという存在をどう生かしていくのか。そういう問いに答えていく考察ができればと思っています。





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