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【あややノート】第31回 私の「痛み」と「あんのこと」

こんにちは。HUG for ALL代表のあややです。突然ですが、私がHUG for ALLの活動を始めて、今も続けている根っこには、私自身が感じた「痛み」があります。今日はその「痛み」に響いたある映画の話から始めさせてください。

映画「あんのこと」

2024年6月に公開された映画「あんのこと」。初めてこの映画のことを知ったのがどこだったかは忘れてしまったのですが、映画のポスターの言葉と、主演の河合優実さんの表情がすごく心に残って、「これは観なきゃ…」と思いました。

はじめて、生きようと思った。

窓を開け、風を頬に受けて、その先に広がる世界を肌で感じた。
そんな彼女の心を、現実が容赦なく削り取っていく。

映画「あんのこと」公式サイトより

映画を観たのは、土曜の夜。人によって違う「現実」の重みを感じて、言葉にならない気持ちを抱えた帰り道、車のライトがやけに明るく感じたのが、なぜか心に残っています。

私の「痛み」と「決意」

ホームページの映画紹介の中に、「杏はたしかに、あなたの傍にいたのだと。」という一文があります。この言葉に、私は心を揺さぶられます。

「日本の子どもの7人に一人が相対的貧困」。
この言葉を初めて聞いたのは2012年のことでした。そして、その言葉の意味を改めて考えたとき、私の中に痛みが生まれました。

大学時代は教育心理系の学部にいて、臨床心理を専攻していました。社会人4年目になる2024年からはベネッセという教育系の企業に籍を置き、「赤ペン先生」という存在を通して子どもたちの心の1mmでも支えるような仕事をしていると思っていました。

でも、私がそれまで見ていた「子ども」は「7人のうちの6人」でした。生活困窮や虐待などで、日々「生きる」ということに精一杯な子がいること。「生きることは苦しい。早く死にたい。」とさえ思う子どもがいること。そんな事実を知って、そんな現実を見ようともせずに目をそらしてきた自分が、このような社会をつくる一端を担っていることを感じました。

このとき「無知は罪なり」という言葉が私の中に浮かんできました。「知らなかった」では済まされない。知らなかったから、私は何もしてこなかった。「7人に1人が貧困」で、多くの子どもが苦しんでいることさえ知らず、何気なく生活している中で、そんな社会をつくってしまった。「社会に対しての責任」を初めて強く感じた瞬間だったのかもしれません。

小学校時代、実は家庭に「しんどさ」を抱えていた同級生も何人かいたように思います。大人になって改めて考えると「そういうことだったのか」と思うけど、当時の私はすごく残酷で、そういう子たちに対して違和感しか持っていませんでした。

「杏はたしかに、私の傍にいた」
私はそれを、忘れてはいけないし、忘れたくないと思います。

そして今も、社会の中で精一杯生きているたくさんの「杏」たちを、さまざまな苦しみや悲しみを飲み込んで、前を向こうとしている彼らの強さを、尊敬の念を持ちながら支えていきたい。共に在りたい。そんな風に思うのです。

HUG for ALLについて

私がHUG for ALLという団体を立ち上げ、今も続けている背景には、私の感じた「痛み」があります。この「痛み」からは目をそらさない。ずっと抱え続けていく。その決意の表れが、「HUG for ALL」という団体の活動そのものなのかもしれません。

でも、一方で、HUG for ALLを動かす原動力は「痛み」であってほしくないと思います。「かわいそうな子どもたちをなんとかしなくては」という気持ちは私自身は持っていないし、そういう気持ちで子どもたちにかかわることはしたくないなと思っています。

私が目を向けたいのは、一人ひとりの子どもたちの強さや、優しさや、面白さや、そんな一人ひとりの「輝き」。彼らの未来や成長に、そして彼らと共に在る未来にわくわくしたい。それがHUG for ALLの原動力なのだと思います。

根っこにある「痛み」を抱えながら、でも、「わくわく」を大切に、活動を続けていく。私たちは、そんなHUG for ALLでありたいと思います。これからも応援よろしくお願いします。



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