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【HUGノート】「自分らしさ」を考える 人間クエスト

こんにちは、HUG for ALLのあゆ(スタッフ兼HUGメンバー)です。

今回は、高校2年生のさくらちゃん(仮名)との、オンラインでの「はたちクエスト」の一コマをご紹介します。

はたちクエストは、「子どもたちを社会に迎え入れる」がコンセプト。
社会のことや仕事のことを知り、自分の興味関心や好き・得意を踏まえて将来を考え、進路や生活をデザインしながら、未来(自立)に向けた力をクエストフレンドと一緒に備えていくプログラムです。

「人間クエスト」とは?

今回は、「自分らしさ」を考え、言語化するクエスト。
自分は、どんなことが好きで、どんな強みがあって、どんなことを大切にしたいのか?子どもたち自身が自分の価値観を言語化し、人生において大切にしたい「軸」を築いていくためのプログラムです。

今回の内容は「バリューズカード」。
数ある価値観カードの中から、自分の価値観にあったカードを選別していくゲームです。
対面形式だと下記のように進めますが、今回はそのオンライン版で実施しました!

 <進め方>
1. カードを切り、1人5枚ずつ配る
2. 残ったカードは全て伏せた状態で中央に置く
3. 自分の順番になったら「伏せられたカード」または「誰かが捨てたカード」から1枚引く
4. 手元にある6枚のカードの中から自分の価値観に一番遠いカードを捨てる
5. 次の人に進み、カードの山がなくなるまで3〜5を繰り返す
6. 残った5枚のカードを「自分の価値観」として参加者に説明する

さくらちゃんの手元に残ったのは…?

普段のさくらちゃんは冷静でロジカル、将来の夢も具体的に語る印象があったので、どんなカードが残るかな…と、とても楽しみでした。
ゲームが始まると、少し悩む素振りを見せることもあるけれどスパスパとカードの取捨判断をしていくさくらちゃん。一緒にゲームをしているクエストフレンドのほうが、悩む時間が長かったかも。笑

手元にあるカードの移り変わりも共有しながらゲームを進められるので、悩んで捨てたもの、しばらく手元に保持していたものなども見え、とてもおもしろい変遷でした。
さくらちゃんが、しばらく手元に持っていて、悩んで捨てたのは、刺激・活性化・遊び心・友情・爆発力・一貫・革新性・個性。特に、「遊び心・爆発力・革新性」は長時間保持していました。

そして…、最終的に残ったのは、この5枚。

中でもいちばん大事なのは、「エモーション・感情」。
最終的にこれらのカードが残っていくのを見て、私は少し驚きました。というのも、先程もご紹介したように、普段のさくらちゃんは「冷静で、ロジカルなタイプ」で、割りと現実的で淡々としているように見えていたからです。

なぜこれらカードなのか聞いてみると、「エモーション・感情」「ビジョン」「情熱」は、将来の夢を叶えるための心の持ちようとして一番大切なもの・基礎となるものだと教えてくれました。そして、フリーランスで活躍していくためには「卓越性」も重要。それと、「愛」は、無条件に『絶対、大事!愛したい!』と言っていました。

最後に感想を聞くと、本人も自分の手元カードの移り変わりには気づいていたようで、とても印象的な言葉を言っていました。

始めは、「なりたい姿・周りにそう見られたい姿」というカードが多かったけど、何度もカードを比較していくうちに、本当に大事にしたいものは違うかも?って思ってきた。そのとき「エモーション・感情」のカードが手元に来たので、そこから選ぶカードが「自分の大切」なカードに変わった気がする。

価値観を言語化する中で、なんとなくぼんやりしていた「希望学部を選んだ理由」や、今興味をもって取り組んでいる「探究論文」のこと、そして、「将来の夢」の繋がりが見えてきて、自問の中でさくらちゃんの「軸」が見えたような気がしました。

このゲームをやってよかったこと

このゲームをやってみて、すごく良かったと感じたことが3つあります。

1. 何枚ものカードから何度も選び直したこと
普段の生活の中では、自分の価値観を考えたり、ましてや、自分で何度もさまざまな価値観を照らし合わせて選ぶ経験はないと思います。ともすれば、さくらちゃんの言っていたように、「周りにそう見られたい姿」が先行し、「自分の大切」を見失ってしまうこともあります。ゲームの中で何度もカードを比較し、「本当に大切にしたい価値観」を深掘りすることで『自分の大切』に気づくことができたのではないかと思います。

2. なぜ?をゲームの中で言語化できたこと
ゲームの中で自然に「なぜこのカードを拾ったの?」「へぇそのカードを捨てるんだね」というコミュニケーションが発生するので、子どもたち自身が『自分自身を言語化する場面』がたくさんありました。毎回すんなり言葉がでてくることはありませんでしたが、どうにか自分を説明しようとして「自分の心と向き合う」場面が何度もあったように思います。

3. 大人たちの価値観のゆれ・他社との違いも自然に共有できたこと
大人も子どもも同じカードを同じルールで行うので、自然と1,2を大人も実践することになります。「前はこっちだったけど今はこっち」「さくらちゃんの捨てたカード私がもらおう」など、ゲームの中で自然に大人のゆらぎ、他者との相違点が見えてきます。さまざまな価値観があって、ひとそれぞれに選ぶものは違うことを経験として実感できるのは貴重だなと感じました。

こういったゲームを通じ、自分らしさを理解し、自分を知ってくれる人間の存在を理解していってくれたらうれしいなと考えています。


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