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「チョコのゆくえ」製作裏話 #5 (最終回)

歌詞

ストーリーがあると歌詞は速い。次の日の朝、朝食を食べる前の静かな時間に一気に書き上げた。お日様が昇る瞬間を見ながら書き上げた。こんな短時間でできたのははじめたかもしれない。このとき書いた歌詞は、まあ健気なチョコくんだなぁと感心する。もう、お前から告っちゃうか?としようと思ったけれど視線ちゃんがサプライズを考えているようなのでやめておこう。

アレンジ

歌詞が決まればアレンジの方針が決まる。やっぱりこのふたりには、かわいらしくキュンキュンする感じにしてあげたい。「甘い甘い恋のチョコレート」だ。(国生さゆり「バレンタイン・キッス」参照)しかし落ち着け、まずベースラインだ。ここで、有名ベーシストを召喚。うねうねしちゃうベースラインで攻撃。とばかりにベースラインを考えるが、所詮「なんちゃってなりきりベーシスト」ですからそんなには出てこない。

以前からためておいた、いろいろな曲のベースラインを参考にする。Aメロのベースラインは楽器が少ないので動かしたほうがいいかなとちょっと動かしてみる。小節の頭とお尻で音の高さの違うラインがカッコ良かったので今回それにしてみる。いいじゃんいいじゃん。と「なんちゃってベーシスト」が自分のベースラインに酔いしれる。ドラム、ベースラインときまり、Cメロも決まった。

シンセ

う〜ん、キラキラシンセを入れていたが、ドラムやベースのアレンジが決まるとちょっと浮いている気がする。なんというか、シンセのキラキラとドラムベースの重い感じが離れすぎている。

そいうことでいろいろ考えてみた。困ったときのロジック付属Alchemyだ。いろいろと探すが、なんか今回はビビッと来ない。毎回助けてもらっているが、今回は違うようだ。それで思い出したのがこれ去年の年末にセールをやっていたのもあって勢いで買ってしまった「RYM2612」という、メガドライブのFM音源チップの音を再現したプラグイン。これにしてみた。

この音だけをMIDIキーボードで弾いてみるとそこまでいい音というわけではなかった。でも曲の中に入れてみると、ん?なんだこれ悪くない。むしろいい感じ。なんというのだろう、ちょっとチープな感じと言えばそうだけれど、曲の中に入れると映えるというのもあるんだなと思った。ただ単に、自分がこの音色を好きなだけかもしれないが。いいではないか。小さなチップの奏でる音が広がっていくというのは。(^^)

最後の歌詞

動画も慌てて作った。バックになる写真を撮って、歌詞を入れていく。もう時間がない。複雑なことをやるとエンコードに時間がかかるので、いつも通りシンプルに。ちょっとだけ間奏に愛溢れているチョコレートをハートで表現してみた。これに気づかないなんてチョコ君も鈍感だなぁ。(^^;)

実は歌詞を入れる段階になっても1箇所だけ歌詞が決まっていなかった。ラスサビの「受け取るチョコは…」このあとだ。チョコ君がこの「チョコ」のことをなんていうのだろうとずっと悩んでいた。

視線ちゃんが別の彼に視線を送っていたのも知っている。去年チョコをもらってくれなかったために、チョコ君に無理やり渡したことも覚えている。夏祭りに誘ったけれど元気がなかったことも知っている。「視線ちゃんにとってのチョコ」、「チョコ君にとっての本命チョコ」ふたりにとってはとても大事なチョコなのでなんと表現したらいいのだろうと悩んでいた。

直前までに何度も歌った。何度も書いた。しかし出てこない。こういう力が入ったときは抜くのが一番だ。何も考えずにやらねばいけないことを淡々とやった。しばらくして歌詞のことも忘れていたが、ふと視線ちゃんの目から矢印がキュ〜〜〜っと出ている映像が出てきて、去年の彼の横を通り過ぎていく。春も夏も越えて通り過ぎていく。そしてたどり着いたところが今まさにチョコ君にあげようとしたチョコレートた。長い長い道を経てチョコレートに着いたのだ。いやチョコ君に到着したのだ。「やってきた…着いた、う〜ん…到着?」「到着点!」これだと思った。「君の視線の到着点」ともう速攻で出た。いっしょに歌ってみたがいい感じ。もうここのための歌詞だと思えた。ナイス自分。(^^;)

おわりに

なんとか終わった。本当に間に合わないと思った。できるところまでやろうと思っていたのだが、完成までこぎつけられた。そんなことは曲に関係ないのだが嬉しい。でも、ただただこのかわいらしい二人のことを見てあげて欲しい。

なんとか公開してたくさんの人に聴いてもらった。本当にありがたい。いいねやコメントの一つ一つ見ているだけで喜びが込み上げてくる。今回も聴いてくれてありがとうございます。心の底から感謝しています。(^^)


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