登戸の獣道を通ってみる。　#2

“新しい“をやってみる。２日目。

内容はさておき、２日も「新しいことをやってみよう」という意志と、NOTEの連載が続いていることをとりあえず誉めてほしいです。万雷の拍手を浴びたいです。万雷の拍手って初めて書きました。よく考えたら、万単位の雷くらい大きい拍手ってちょっと怖いな。ていうかそもそも、万単位の雷がなる場所なんてあるのでしょうか。ラピュタに突入する前の積乱雲とかはそんな感じでしょうか、知らんけど。

今日も午後から動き出した。昨日に続いて中央線と南武線を乗り継いで、登戸駅に上陸した。

上京して１年ちょっと。家賃6.3万の１Kの部屋に住んでいる。ただここ最近、２年目の更新のタイミングで引っ越しをすることを検討していた。もっと広い部屋に住みたい。もっとのどかな場所に住みたい。そんで通勤時間を１時間以内にしたい。でも、家賃はそんなに上げたくない。そんな都合のいい部屋ねぇよ、と突っ込まれても言い返せないけど、望むのは自由だと思う。その条件にあった部屋をSUMOで探すのが、最近の僕の日課だった。彼女と遊び半分で探した家賃１４万円の２LDKの検索履歴がこっちを見ているが、それは無視します。

ただ、部屋のスペックはともかく、住む町の雰囲気を知らないと生活をイメージするのが難しいし、僕が知っている東京近郊の町なんてたかがしれているし、近々暇を見つけたら気になっている駅を散策しようと思っていた。で、彼女にフられて暇になったので早速行ってみたのが、登戸駅だった。

登戸駅を選んだ理由はいくつかある。多摩川沿いの町ののどかな感じが好きで、南武線で会社に一時間以内にいける駅がないかなーと思って探していたときに、ぎりぎり一時間でいけるのが登戸だった。登戸は快速が止まるらしいし、小田急線も乗り入れている。何かのサイトで調べた時に、「これから開発されていく予定」みたいなことが書いてあったのも、いいんじゃないかと思った要因だった。

結論から言うと、可もなく不可もなくだった。
僕がみたサイトの言うとおり、登戸はまさに開発中だった。工事中の建物が駅の周りにたくさんあって、近辺の一軒家は滅茶苦茶きれいで、所々に開発前の空き地があった。商業施設は特になくて、ちょっと不便な気もした。本屋さんは小さな文教堂があった。よさげなカフェも何軒かあった。ただ、２０代の一人暮らしの男が住みやすい町ではないような気もした。天気が雨が降り出しそうな曇りだった影響もあるのか、町全体がすこし閑散としていた。晴れた日に行けば良かった。

住宅地を抜けて、今度は多摩川に向かってみた。
多摩川沿いの河川敷も二日連続だったけど、二子玉川よりも手を加えられていない感じがして、それは凄い良かった。
虫取り網を持って川縁の草むらをかき分けている親子とか、道の脇に自転車を止めて、地面に仰向けで寝っころがってるおじさんとか、いろんな人がいた。この道を自転車で走ったら、たぶんめっちゃ気持ちいい。

河川敷を歩いていたら、獣道のような小道を見つけた。
一瞬「トトロ！」と心の中のめいちゃんが掛だそうとしたが、道を覆うように茂っている桜の木を見て気が引けた。僕はムシが嫌いなのだ。この時期に桜の葉からバンジーしている蛾の幼虫が、ムシの中でも２番目に無理だった。１番無理なのは、集団からの無視だ。せっかくここまで読んでくれた人に愛想をつかれた気がする。

大人しくアスファルトを通ろうと僕はわき道を無視しようと思った。でも、少し考えて思い直した。今日はこれかもな、と。

普段なら蛾の幼虫の脅威におびえて通らない獣道を、勇気を出して通ってみる。

走り抜けるとか、脅威におびえて目を凝らしながら通るんじゃなくて、普段通りの歩き方で、悠々と歩いてみる。もし万が一奴らのバンジーの糸が顔に張り付いても、「おっと、よしたまえよまったく」と余裕の笑みを浮かべながら取り去る。

ということで、僕は今日の分のちょっと新しいをやってみた。

ラッキーなことに、毛虫のバンジーには遭遇しなかった。獣道は思ったより開けていって、幼稚園児くらいの男子が２人、ススキのような葉っぱを道の真ん中に集めてお母さんと遊んでいた。
「あ、全然踏んじゃっていいですよ」とお母さんに言われたが、さすがに忍びないので、低いジャンプで彼らの作品を守って、お母さんに会釈して立ち去った。その先に社があったので、軽くお参りしておいた。

で、宿河原駅まで歩いて、電車に乗って帰った。

正直、今日に関しては昨日の自分とあんまり変わっていないような気がする。まぁ、昨日もエスプレッソソーダを飲んだだけですけど。でもまぁ、心の中のめいちゃんを満足させてあげれたから、良しとしよう。

獣道を抜けた先の社に、雄鹿の角つきの頭蓋骨が無造作に置いてあったのはめっちゃ怖かった。