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ライバルは過去の自分…じゃなくて、ソファとポテチとコーラ

ある日の午後、私はソファの上で優雅に怠惰な王様のように寝そべっていた。左手にはポテチ、右手にはコーラ。目の前にはお気に入りのドラマ。まさに「ライバルは過去の自分…じゃなくて、ソファとポテチとコーラ」状態だ。

「ランニングでもしようかな…」という淡い思いは、ポテチのカリッという音とともにすぐさま霧散する。心のどこかで「運動しなきゃ」と思ってはいるものの、ソファの柔らかさとポテチの塩気には勝てない。コーラのシュワシュワが喉を通り抜けるたび、運動の意志はさらに薄れていく。

そんなある日、私は意を決してランニングシューズを履いてみた。だが、玄関のドアを開ける直前、リビングから「おいで、おいで」と呼ぶソファの声が聞こえてきた(気がした)。「休憩してからでもいいんじゃない?」と甘く囁くその声に、私は完全に屈してしまった。

ソファに座るや否や、ポテチの袋が魔法のように開き、コーラが勝手に注がれたかのように手元に戻る。気づけば再び、「あれ、ランニングするんじゃなかったっけ?」と思いつつも、ポテチの袋の底を探っていた。この小さな戦いの中で、一度たりとも勝利を収めたことはなかった。

ある日、私は「これはいかん!」とついに立ち上がった。スマホでモチベーションアップの動画を見たり、ランニングアプリで「あなたは何位!」とランキングを見せられたりして、ようやくやる気が少しだけ湧いてきた。「今日は絶対に走る!」と心に決め、ドアを開けた瞬間、「うわ、暑っ!」と速攻で後悔。

しかし、その日は違った。ソファとポテチとコーラの誘惑を振り切り、ついに外へ出た。最初の一歩は重かったが、走り始めると意外と気持ちがいい。すれ違う人たちに「走ってますけど、何か?」という謎のプライドが湧き上がり、少しだけ速く走ってみたりもした。心の中で「やったぞ、俺はソファを超えたんだ!」と自分を褒めてみる。

だが、家に戻るとまたしてもソファとポテチとコーラが私を待っている。「おかえり、よく頑張ったね」と言わんばかりの優しい顔をしている。結局、シャワーを浴びた後、私は再びソファに沈み込んでしまった。ポテチの袋は空いているし、コーラもキンキンに冷えている。ライバルたちの「ようこそ、帰還者よ」と言わんばかりの歓迎に、私は「ただいま」と心の中で返事をするのだった。

こうして私の戦いは続く。ランニングという名の戦場から戻っても、そこにはソファ、ポテチ、コーラという強敵たちが待ち構えている。でも、だからこそ次も走ろうと思う。だって、あいつらを一度くらい本気で打ち負かしてみたいからだ。ランニングシューズを片手に、今日も私は思う。「次こそは…!」と。

そして、ポテチをひとつ口に運ぶ。次の戦いは明日からだ。

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