【読書感想】姑獲鳥の夏

※ネタバレ注意※


ある積読家の手記

去年2023年8月くらいから読み始めて今朝2024年3月に遂に読破しました。
京極夏彦氏のこれがデビュー作とは読み終えてから知った。

長かった…そもそも長い小説を読むのが久しぶりで移動時間にちょびちょび読んでいたものの重いからどこへでもは持っていけなくて…いやそれよりも何より、冒頭〜本題に入るまでが長くてですね、脱落してたんです。

冒頭で振り落とされるも徹夜で読破

最初けっこう長く京極堂店主さんと関口くんの掛け合いがあるじゃないですか、
あそこで何度か振り落とされました。オバケはいる、いない、宗教とは〜の下りは概ね同意見だったのであーはいはいシュレディンガーの猫〜…などと感じてしまいましてね。んで何度も時間を置いてやっとまた読み始めた。読書体力雑ぁ魚♡雑ぁ魚♡もはや課題の一つになっちゃってました…面白かったけど!

そんな日々の中で昨日ふと(今、まとまった時間があるのではないかな?)と思い一気にカタをつけると決意して読んでいくと、半分くらいでお待ちかねの本題に入って、そうしたら目が離せなくなって、結局夕方頃から読み始めてそのまま一晩徹夜で読破するに至りました。翌日の午前中には人と会う予定があったからちょっとグロッキーでした。お肌が荒れちゃうよ 

そう中盤まで来たら先が気になって読むのを止められなかった…これは自分の性分でもありますけどね。ゲームなんか基本は一夜漬けですが、久々にやりました。きついけど楽しいですね…
でもきついです!!入浴もせず没頭しちゃうこれだから嫌なんだ

内容に触れると

内容はというと、配信でドグラ・マグラを朗読中なのが効いたのか割とシームレスに入っていけた気がしました…やっててよかったドグラマグラ

まず主人公について
うわ…関口くん、だいぶ…信頼できない語り手だ〜!
ここまで「信頼できない」を押し出してくるなんて親切やら不親切やら
関口くんの人物像がわかるなり、すぐに本書の構造の一端を察して
あっこれ、ドグラマグラで習ったとこだ!て思いました。

信頼できない語り手という手法は知識として知りつつミステリも京極作品も初心者の身の上ですが
正直「キッツ…‼︎」となりましたよ。
だって鬱ぎみ&記憶飛んでて、ちょいちょい謎の独白が入るんですもの〜
新月の夜にぬかるんだ草むらでミルクパズルやるような苛立ちが度々襲う…!

しかしそこはドグラ・マグラで慣れ親しんでいたお陰で、登場人物の言動がいかに不明瞭でも、よくあることだと気にしない。もちろん謎も解けないけど、いいんだよ解けなくてもくらいの気持ちでぐいぐい読みました。でもね〜〜〜〜〜
そんなの一度に大量摂取したらダメなジャンルじゃん勘弁しろよ〜〜〜‪( ◠‿◠ )‬と我に帰った時は白目剥くなどしました。頭おかしくなっちゃうよお〜っ><
白目むいたのは京子さんだったけどさ…

最後まで読んだ後で、この関口くんへの好感度はあれですね
京子ちゃんに恋文渡した時の事、あすこの解釈次第になる
だってあそこ読者が気にするように作られてますよね?
ええ…語り手がそんな淫蕩な…関口くん本人もさんざ言ってるけど友人への裏切りだしロリコンだしホラー映画なら絶対生き残れないよ見損なったよ
って思ってしまって、しかもそれを友人達も許してるってのが潔癖ぎみな僕には
受け入れ難くて、一抹の不快感がつきまとうんですけど、でも仮にここをもし、
もし逆◯されたと捉えると急に関口くんの加害性が薄れて一気に可哀想になる
じゃあ許すか…ってなります。以上です。正解は続編のどこかにあるかな?
ない気がする。

死体の登場方法は描写がグロかった!!姑獲鳥…水子、赤子絡みの殺人となれば孕んだ腹部をどうこうってのは最悪の予測として予測できたけど一段上をいく気持ち悪さで げえやりやがった!って膝を打ちました。
血飛沫で濡れてジューシーなのではなく屍蝋でテカテカなのは丁寧な仕上げだと思ったよ 濡らして新鮮さを演出なんて回転寿司屋じゃあるまいしね

トリックに関しては

【叙述トリック】
…視野が狭まるという事←場面の異様さは際立つけど無茶苦茶な…
ここを固めたいからこその前半のアレだったのね…
でもエノさんの異常性で覆い隠した部分はあーずっこい〜!となり
【双子トリック】
…叙述に続きベタベタの鉄板をやってきたなとなり
更に入れ子構造の多重人格…ベタ三連星をフル活用か?で思ったより人格多くて驚く
それらをつなぐ呪いとお薬と虐待のストーリーはしんどくて映画映えしそうですな…怒涛の展開にあやうく涼子さんの人となりを忘れかける
やべ、そんな人いたっけ?いたよ依頼人だよ

感想、次作への興味

前に短編集?の巷説百物語を読んでいたけど記憶があまりにもないおかげで
京極作品ってこういう感じなんだ…と新鮮な驚きがありました。忘れちゃいるけど別にトラウマではないはず
ただガチの妖怪変化は出ないであろう事はうっすらとわかっていた。

バリなげえ冒頭、ラノベよろしく美形の変人、まさかやると思わない個別にはコテコテのトリック達
編集者が初見で「著名な作家が編集部のリテラシーを試しているイタズラでは」と思ったのも、そりゃそうなるだろうなあ…知らんけど
ん?それとも心霊や水子云々の解釈の方が倫理的にアカンやつ?わかんないや
倫理語り出したら殺人ミステリ楽しめんもの
オカルト好きとしては個人的にだいぶ広範囲で解釈一致しててそこは嬉しいのでした。
京極氏とはゲゲゲ好き仲間でもあるし、ね!

あ、仲間というか…共通項で思い出した事が一つ。
最初に触れたドグラマグラの話を蒸し返しますと
今作中にはドグラマグラ作中の「胎児の夢」を思い出す部分があり、事前に誰かからも(今作はドグラマグラに影響を受けたのではないか)とする説を耳にしていたのでした。それがあってこそ絶対早めに読むぞと決意できたのです。僕ドグラ・マグラ大好きだかんね!
なんとなく本書を購入した後でそんな噂を聞いたもんだからその時は驚いたけど、「姑獲鳥」に惹かれるあたり巡り合わせに必然を感じなくもないのでした。

なので…次回作がとても読みたい今だけど魍魎の匣ですか、厚そう…(厚い)
そういえば京極氏ファンの友人が魍魎の匣の実写キャストに不平を言ってたっけ
と思い出し、姑獲鳥の夏ももれなく実写化していたと知るも中性的なビスクドールのエノさん役が阿部寛wwwブフォwwあの時は聞き流してたけど友人が言ってたのは絶対それへの文句だったろうな、一番面白いので間違いないっすね。

これが元々はマンガの構想だったというのも至極納得。京極堂さんの真っ黒衣装なんてモロだよね。いえ僕はミステリ無知だからそう感じるだけで陰陽道真っ黒祈祷師は界隈では別段厨二でもないのかもしれないか。
最後の仕上げにマンガ版の絵を見てのけぞった。京極堂イケメンで草〜!!
脳内では作者近影固定です。描写してないだけで指抜きグローブなんでしょ
さて鉄は熱いうちに飲み込めと言うしなる早で次作行こう。寝てからね…


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