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自社サービス開発を円滑にすすめる全社員参加のハグカム流「かんばん方式」の話

ハグカムは子ども向けオンライン英会話サービスを運営しており、生徒が使用するアプリ(iOS/Android)をはじめ、先生がレッスンやシフト管理をするための専用webページ、CSが利用する管理画面、レッスンに関わる売上や請求管理システムなどなど。すべて自社で開発をしています。

自社サービスを抱えるスタートアップではどうしても開発チームに頼らなければならないことが多く、当初は各セクション(といっても5人ですが)からの依頼内容の吸い上げやタスクの優先順位づけ、進捗管理を円滑にすすめられないといった課題がありました。これらを解決するため試行錯誤して出来上がったのが、ハグカム流の「かんばん方式」です。4年目を迎えだいぶこなれてきたのでは?と感じているので、ハグカム流「かんばん方式」の運用についてまとめたいと思います。

全社員参加の開発ミーティングに「かんばん」を導入

ハグカムでは毎週月曜日、全社員参加で開発ミーティングを行っています。進捗確認やタスク整理など開発にかかわる意思決定や共有のための時間です。「かんばん」導入前も開発ミーティングは行っていたのですが、"進捗がよくわからない"、"1つのタスクに対する議論の時間が長引く"、"優先順位づけがうまくいかない"といった課題があり、「かんばん方式」を試すことにしました。

「かんばん」では開発が必要なタスクを1つずつ付箋に書き出し、ホワイトボード上で付箋を動かしながら各タスクの優先順位づけや進捗管理をします。(方法はあくまでハグカム流です。かんばん方式について詳しくはこちらをご覧ください。)

タスクの優先順位を管理

優先順位づけを正しく行えるようタスクを管理する必要があります。まずはたくさんのタスクをカテゴリで分類しました。

【サービス改善】サービスのユーザーが触れる部分に関するタスク

【先生マイページ】先生専用webページに関するタスク

【運営オペレーション(生徒)】生徒向けのCSに関するタスク

【運営オペレーション(先生)】先生向けのCSに関するタスク

【マーケティング】マーケティングに関するタスク

【開発】インフラ整備、サーバの諸々など

分類したら、各カテゴリの中で優先順位を決めていきます。

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各カテゴリごとに上から優先順に並んでいます。新しく挙がったタスクはこの付箋を見ながら順位づけができます。整理されたタスクが可視化されていると順位付けもしやすいです。

12月と書いてあるのは12月までに必要かどうか、の目安に引いた線です。年末前に棚卸しした際、書いた記憶があります。

※付箋の端に書いてある1、2、3、大というのは開発工数(規模)の目安です。※絶対に動かせない期限があるものは目立つように付箋に期限を書いています。

タスクの進捗を管理

次に、進捗管理をするためのコーナーを作ります。

【ToDo】今週の開発タスク

【Doing】現在着手中のタスク(開発メンバー別で貼ります)

【Cheking】最終チェック待ちのタスク

【Done】リリース済みのタスク

【右上】1週間ごとの営業日数、稼働人数、Doneにできた開発工数(付箋に書いてある数字の合計)

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ミーティング中の「かんばん」の使い方

まず、"開発チームに依頼したいことが出来たときはSlackの#requestへ書き込む。"どんな機能・対応が必要が、理由なども簡潔に添えます。

ミーティングの流れはこんなかんじです。

1.月曜日の午前中に開発チームで先週#requestに挙がっていた分のタスクを確認。各タスクの開発工数(規模)イメージを出して、付箋に書き出す。

2.月曜日の午後に全社員参加で開発ミーティング

3.まずは先週の進捗管理。進捗管理コーナーを見ながら現状を共有し、Doneになった工数を書き出します。

4.次に先週挙がったタスクの整理。新しい付箋を、タスク管理コーナーの各カテゴリに分類、優先順位づけをします。※タスクの中で話し合いが必要なものはなるべくここで。長引きそうであれば別でミーティングを設定します。

5.タスク管理コーナーの付箋から、今週のタスクとして依頼するものを決める。今月はマーケティング優先しようとか、この機能まではサービス改善を最優先ですすめようとか相談しながらToDoへ移動します。※営業日数や開発メンバーの体調なども考慮して入れる工数を調整します。

導入初期に起きたこと

大きく3つ。

【開発工数が正しいのか、週の進捗が適切なのかわからない】規模感の共通認識や工数の予測はしばらく運用していくことで正しくなっていきます。開発チームを信じます。

【依頼内容の書き方がわかりにくいと開発工数がだせない】仕様書までいかずとも、依頼するときはどんな機能をなぜほしいのかを書かないと開発工数や最適な方法を考えることができません。こちらもしばらく運用していくことで洗練されていきます。優しく根気強く確認してくれてありがとうございます。

【優先度低いタスクが溜まりがち】初期は各カテゴリに貼るスペースがないくらい大量の付箋が溜まっていったので、1ヶ月単位で棚卸しをしていました。ひと月経ってみると他の機能でカバーできたものやタスクにしておかなくても良いと思えるものが出てくるので整理されます。付箋の断捨離です。しばらくして慣れてくるとタスクが溜まりすぎることなく運用できます。

導入して良かったこと

導入前の課題はほとんど解決しました♡

開発スケジュールが正しく共有できる。依頼タスク量が適切に。全員が何をしているか、優先したい理由、大切に考えていることがわかる。今何のタスクを誰がやっているか、がわかるので依頼者とエンジニアのコミュニケーションがとりやすい。知らぬ間に機能リリースが終わってたということがなくなりCS側で把握できる&全員で喜べる&感謝できる。全員が依頼したいことをお願いしやすく。ミーティングが長引かなくなる。ユーザーの声を全員が同じ温度感で認識でき、ユーザーファーストなサービス開発ができる。などなど・・・!

「かんばん」を取り入れることでルールが明確になり、上記の解決に繋がったのだと思います。ハグカムの企業文化にもなっていったなぁと感じています。

Oraへ移行しました

最近、ハグカムの「かんばん」を長年愛用していたホワイトボードからOraへ移行しました。アナログ特有の良さ(付箋をDoneに移動するときにみんなで喜ぶ)があった分、移行するのを長いこと渋っていたのですが外で作業したり移動中に確認したいときに不便なので。

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Oraでもホワイトボードと同じカテゴリを用意し、運用の流れも変わらずです。タスクの担当者や工数目安も入れられます。Requestのカテゴリを作ったので、依頼したいことがあればSlackではなく直接Oraへ書き込めるようになりました。Oraめっちゃ便利・・・!


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