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【6冊目】大本営参謀の情報戦記〜情報なき国家の悲劇〜

【タイトル】

大本営参謀の情報戦記〜情報なき国家の悲劇〜

【著者】

堀栄三

【読む目的】

・広報業務を行う上でのヒントにしたい
・太平洋戦争のことをもっと知りたい

【感想】

一昨日、8月15日は終戦記念日でした。皆さんは何故日本が戦争に負けてしまったのかを、考えたことはありますか。私は、今まで、ほとんどありませんでした。
私は歴史好きですが、太平洋戦争についてはあまり詳しくありませんでした。人間誰しも、悲しい過去は振り返りたくないものです。自分の国が悲惨なことになった事実からは目を逸らしたいと思っていました。
ですが、過去の失敗に学ぶことは大切です。この本は「情報」という切り口から太平洋戦争を分析しています。普段仕事で広報関係の仕事をおこない、情報に触れている私への教訓になると考え、また、興味がありながら目を背け続けてきた過去の戦争を知るために、この本を手に取りました。
1996年発行の本で、内容も戦時中の話がメインです。
古臭いんじゃないのと思われるかもしれないがとんでもありません。
現代まで通じる教訓に溢れた、幅広い方におすすめできる本です。

著者がまたすごい。堀栄三さんという方です。
旧日本軍の最高統帥機関で、作戦の立案などを行う「参謀」という役割を、若くして担っていました。
戦後も自衛隊で長く情報関係の第一人者として活躍されました。
そんな方が、当時の戦争、そして現代の情報戦について生々しく記載してい
筆者の堀さんは決してエリートではありません。上官と対立することもありました。
実戦経験が浅く、机上の空論と現場は違うという現実も味わいます。それでも、仲間からの刺激や現場での悪戦苦闘を通して成長していきます。
そして、堀さんの存在が、戦場に大きな影響を与えることになる
アメリカ軍の情報を徹底的に入手、分析し、一矢報いることになります。
堀さんの成長や魅力的な仲間、そして緊迫の戦場の様子は必見です。

この本の副題は、情報なき国家の悲劇です。
内容は、それに尽きます。
特に印象に残ったエピソードを1つだけ紹介します。
米軍と日本軍の最高司令官の場所の違いです。
米軍の最高司令官であるマッカーサーは常に最前線で指揮を取りました。
一方で、日本軍の最高司令部である大本営はずっと東京にありました。
その結果何が起こったか。
情報の正確性も密度もスピードも全てが劣ってしまったんです。
現場感覚とは大きく乖離した、しかも誤った情報に基づいた戦略が立てられ、日本軍は負け続ける。
これは現在の日本の企業にも当てはまると堀さんは言います。
私の会社を振り返ってみると…。
あなたの会社が、現場から離れすぎていないことを祈ります。

最後になりますが、太平洋戦争は私たち日本人が向き合わなくてはならないものだと思います。
なぜ、今の世界がこうなのか、これからの世界がどうなっていくかを知るヒントにもなるはずです。
今戦争を経験した人は、7人に1人にまで減りました。
勇気を出して、過去の日本人の努力と悲劇を見てみませんか。

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