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世界の女性たちは、どのように“声”をあげているのか? “はふぽのコラム”番外編

こんにちは。ハフポスト日本版・“はふぽのコラム”担当の榊原すずみです。

実はいま1冊の本を読んでいます。
それは、ブレイディみかこさんが書かれた『女たちのテロル』(岩波書店)です。
100年前を生きた実在する三人の女性、無戸籍で虐待を受け、貧しい境遇で育ちながら国と対決した金子文子さん(1903‐1926)、イングランドの女性参政権活動家のエミリー・デイヴィソンさん(1872‐1913)、そしてアイルランド独立を求めてイースター蜂起を行ったスナイパー、マーガレット・スキニダーさん(1892‐1971)の話です。
三人の女性たちは、国と社会と闘っています。

そして100年経った現在、私たちが生きる社会はどうでしょうか?男女の差別、格差は大きく、2019年に発表された日本のジェンダーギャップ指数は過去最低の121位。

3月8日は国際女性デーでした。100年前の闘う女性たちの物語を読みながら、現代の女性たちはどのように闘い、声を上げているのだろう? ととても興味を持ちました。

そこで、ハフポスト日本版に原稿を寄せてくださっているジャーナリスト、コラムニストのみなさんに、2020年の国際女性デーが世界でどのように過ごされたのか書いていただくことにしました。
集まったのは5ヵ国。
今回は“はふぽのコラム”番外として、国際女性デー・各国レポートをご紹介したいと思います。

●アメリカ編 佐久間裕美子さん
必要なのは、女性たちの努力ではない。「リーン・イン」を求めることである

世界経済フォーラムが今年出したリポートによると、世界全体の男女の賃金格差が埋まるのには257年かかると言われているそうです。
そんな中アメリカでは、ニコール・キッドマン、ジェニファー・ロペス、レディ・ガガ、テイラー・スウィフト、リアーナ、ヒラリー・クリントン、カーラ・デルヴィーニュなどの著名人たちが、何らかの形で声を上げたり、行動したりしました。
ただその中身は、ポジティブなものからリアルな問題を指摘したものまで、さまざまでした。
「“女性が性別に関係なく”尊重され、自由に生きられるように“誰もが”考えるべき」と佐久間さんは強く主張します。

●ベトナム編 東洋子さん
男性が家事を引き受け、会社はボーナスも。その理由は「教育」か「贖罪」か?

ベトナムの国際女性デーは、すべての国民にとって大事な日なのだとか。
男性は、プレゼントを送り、さらには家事を全部引き受けます。
歴史の授業で国の発展に寄与した女性について学ぶので、自然と女性への敬意が生まれるのではないかという話は新鮮でした。
とは言いつつ、普段男性は、仕事が終わると飲みに出かけ、家事をすることも少ないとか。
なんとも、現実との乖離は大きいようですね。

●フランス編 吉田理沙さん
女性たちの怒りが集結。「暴力反対」を訴えた

日本が121位の、ジェンダーギャップ指数が世界15位のフランスでは、約6万人の人々がデモに参加したそうです。
ジェンダー平等に関して先進的なフランスでさえも直面する、男女格差問題があるからです。
特に、問題視されているのが、配偶者やパートナーによる「フェミサイド(女性殺し)」。
2019年の1年間で126人、つまり、約3日に1人のペースで、パートナーによって女性の命が奪われました。
暴力反対を訴えて、女性たちが声を上げています。

●デンマーク編 さわひろあやさん
歴史的アートも男性視点。美術館のガイドツアーでわかったこと

デンマークでは、チケットが即完売した国際女性デー限定の美術作品鑑賞ツアーが行われたそうです。
数々の芸術作品ををフェミニズム的視点で見直してみたら……?
美術の教科書や美術館で見る裸婦像や、裸婦画。
「これが芸術というものなのだろう」と何となくわかった気になっていた人も多いのではないでしょうか。
しかし芸術は、長らく男性による男性のためのものだったそうです。ジェンダーの視点が入ると、その解釈は大きく変わります。

●イギリス編 小林恭子さん
中絶反対運動者の嫌がらせを、一人の女性が止めさせた

人工妊娠中絶が合法化されてるイギリスでも、中絶反対運動をする人たちはいます。
クリニックの前で反対運動をする人たちを見て、一人で運動を始めたのがグリオ=ホワイトさんでした。
「女性には、何にも干渉されず中絶するかどうかを決める権利がある」。
その考えをもとに、彼女は中絶反対運動者たちの嫌がらせを止めることに成功しました。
そして、BBCでテレビの出演者を女性と男性を50:50にしようという「50:50プロジェクト」も、一人の男性のアイディアから生まれたものでした。

たった一人の力でも社会を変える可能性はあります。

石川優実さんのはじめた #KuTooのように ……。
あなたのアイディアも男女差別を変えるかもしれません。



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