地方コリビングのコミュニティ術

2019年夏、亡き父の生まれ故郷である秋田県三種町でコワーキング・コリビングプロェクトTANEHUBのテストオープンをさせてもらった。今回はその時に感じた地方コリビングでのコミュニティ術について書きたい。都会にあるコワーキングスペースとは違う部分もあると思うが、コミュニティ作りというのを考えた時には共通点も多くあると思う。

私MOEは2016年1月にタイの離島タオ島でTAOHUBをオープンした。運営しながら常に思っていることはNOMADの『HOME』でありたいということ。仕事をしながら旅を続ける人たちをデジタルノマドというが、彼らは世界各地を回りつつも、落ち着ける拠点をもち仕事に集中できるHOMEも求めている。TAOHUBをHOMEと感じリピーターとなってくれる人が多くいる。

TANEHUBは、空き家・高齢化・人口減少問題が著しい秋田に滞在するノマドが集い、町が元気になるきっかけを作りたいと思ってはじめた取り組みだ。

観光地ではない本当の日本を知りたいというノマドは多い。外国人慣れしていない地元の人・日本の日常の食卓・日本の家屋・生活スタイル。それを楽しみに欧米人NOMADが訪れる。
欧米人がバカンスでおとずれるタオ島という立地でのTAOHUBと秋田の片田舎にあるTANEHUBの違うところは「周囲が外国人に慣れていない。外国人が自分たちで楽しめるような場所（ビーチ、バー、パーティ）がない。」ことであると思う。NOMADを地方のコリビングで受け入れる際、コミュニティマネージャーとして一番の役割はもちろん通訳である。

日常生活の中の日本語を通訳することは本当に難しい。思っている以上に日本は特殊な文化で、彼らに日本の日常的な文化をわかってもらう説明をするのは安易ではなかった。また、秋田のことをわかっていない私が地元のことを説明するのが難しいことも多々あった。

しかし、難しく考えることはないとも言いたい。NOMAD達が求めているのは現地の人とのコミュニケーションであり、コミュニティマネージャーが全てを担う必要性はない。地元の人たちとのコミュニケーションで、彼らが少しずつ文化の違いを感じ、地元のことを知っていくことがTANEHUB滞在者の楽しみであった。自分たちがコミュニティの一部として受け入れられたという感覚は特別な想いをその土地に抱かせる。ここは自分の第2・第3のHOMEであると思ってもらえるからだ。

コリビングの延長で海外のノマド向けコワーキングスペースでうたわれているCoGiving（滞在者と地元の人がお互いに何かを提供しあうこと）には、当たり前のように地元の人のサポートが必要である。となると頑張るのは地元のサポートをどうやって手に入れるか。

・日々、ご近所の人たちに挨拶をする
・地元のイベントに参加する
・パンやケーキを焼いて近所の人とのコミュニケーションツールとして使い日常での接点を多くもつようにする
・地元のHUB的な（新しい人とのつなぎ役になる）人を見極め、彼らに助けを求める

ホームベーカリーは本当に役立った。野菜や不用品などをくれた人へのお礼として、ご近所への挨拶周りの手土産として手作りのパンはインパクト・経費節約の面からパーフェクトだった。

私は横浜生まれの横浜育ち、秋田の人との接点は今までほぼなかった。しかし、この4ヶ月でたくさんの地元の方と様々な形でつながることができた。また、TANEHUBメンバーにとっても地元とのつながりは本当に大切な『TANEHUB滞在のメリット』であった。さらに外国人や外からの人の受け入れについて懸念していたが、驚くほどに地元からの声は暖かく、私たちTANEHUBがあのエリアにもたらした結果は想像以上に大きかったようだ。

コミュニティマネージャーの役割は舞台の主役に立つことではなく、人と人をつなげ、たずさわる人たちが居やすい舞台をつくることである。そして地方コリビングのコミュニティ術は日々の小さなつながりを、より多くの人たちと積み上げていくことだ。

Coworking・Coliving・CogivingをすすめるNOMADのHOMEを日本にもっともっと広げていきたい。来春本格オープンするTANEHUBを秋田の人・外国人＆日本人NOMAD、たくさんの方が楽しみに待ってくれている。様々な展開を予定しているので、ぜひ遊びにいらしてください。TAOHUBでもお待ちしています。

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TANEHUB
https://tanehub.asia/
https://www.facebook.com/tanehub/

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この投稿はコミュニティマネージャー Advent Calendar 2019用に書きました。https://adventar.org/calendars/3942