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映画『ライオン少年(雄狮少年)』の感想

NHKの中国語講座で以前紹介されていて、観よう観ようと思っていたら時が過ぎてしまっていた。先日やっと視聴したが思いがけず泣かされたので紹介したい。

片田舎で出稼ぎをしている父母の帰りを待つ貧しい少年チュンは、ある日、華麗な獅子舞バトルで屈強な男を倒した、同じ名前の少女チュンから、獅子頭を譲り受けた。チュンは、ちょっぴり情けない仲間のマオやワン公と獅子舞バトル全国大会を目指すことを決意する。
飲んだくれの元獅子舞選手チアンを口説き落として師匠に迎え、その妻アジェンの励ましを受け、特訓の日々を送る。しかし、大会目前でチュンの父が病に倒れてしまう。一家を支えるためにはチュンが出稼ぎに行くしかない。大都市での労働は夢を追う時間もないほどに過酷だった。疲れ果てたチュンの前に、あの少女が再び現れた――。

映画『ライオン少年』公式HP

映画のテーマである獅子舞は、日本の獅子舞と違い色も様々あり、それぞれの色と三国志の武将が結びついて説明されるシーンもあった(張飛が黒、馬超は白、劉備は黄色、関羽は赤との事)。

そして演舞がものすごくアクロバティック!実際はどこまでアクロバティックか分からないが、曲芸をしたり武術を基礎にしている舞もあるそうだ。

この獅子舞を通した少年の成長物語が、見事に綺麗な起承転結で描かれている。「成長」を描く話は世の中に多くあるし、ある程度パターンは決まっている印象もある中で、この「ライオン少年」は奇をてらってなくとも、話が進むにつれてどんどん引き込まれてしまう。王道の内容を飽きずに楽しめる話は本当に面白いコンテンツなのだと思う。

冒頭で獅子舞の説明があり、本編が始まった瞬間に痩せた猫が出てくる。おそらく初期の主人公チュンの象徴だろう。そんな弱かったチュンが、自分の弱さや強い人に対する羨ましさと向き合い、変わろうとしていく姿にしっかり胸を打たれてしまった。彼が成長するについれて呂蒙(中国・三国時代)の名言が頭に浮かんで来た。

男子三日会わざれば刮目して見よ

周囲のキャラクターで言えば、獅子舞の師匠(チアン)とその奥さん(アジェン)の描かれた方が二人の関係性含めて特に良かった。キャラクターに奥行きが感じられ、リアルにいそうな人たちだ。

物語から外せない象徴的なアイテムとして木綿(キワタ)の花というのが出てくる。この映画で初めて私は認識したがとても綺麗だ(映画ポスターのタイトル付近にもある)。この木綿の花や、色とりどりの獅子のCGアニメーションが美しく、獅子舞のシーンに至ってはスピード感と迫力まであった。とてもクオリティが高いCGだったと思う。いろいろと「コンテンツ力」が高い。

途中重たい気持ちになる展開はあるものの、最後は観て良かったと思える最高のラストだった。あんなに爽快な終わり方はなかなかない。思い出しながらちょっとまだ涙ぐんでしまう。

そしてエンディングの途中で映画のラストその後の様子が少しだけ見られる。ラストシーンの余韻をじゃましない程度に、言葉ではなく映像だけで説明される。ちなみに私の母がそうだったのだが、窓の外を見てどこか分からなかった方は、中国の特に有名な大都市を映像で検索してみてほしい。

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